
ペシミスティックとは、物事の先行きや結果を悲観的に捉えることを指し、一方、オプティミスティックとは、物事を楽観的に捉え、よい結果を期待することを指します。
なお、ペシミスティックだから悪い、オプティミスティックだからよいというわけではありません。
慎重な考えが失敗への備えにつながることもあれば、楽観的な見通しが新しい挑戦を後押しすることもあるからです。
この記事では、ペシミスティックとオプティミスティックの意味や違い、仕事での考え方の違い、それぞれが強みとなる場面について解説します。
目次
ペシミスティックとオプティミスティックとは?
ペシミスティックは「悲観的」、オプティミスティックは「楽観的」という意味を持ち、対になる言葉として使われます。
しかし、人の考え方を「悲観的なタイプ」と「楽観的なタイプ」の二つに分けるための言葉ではありません。同じ人でも、仕事の内容や置かれた状況によって慎重に考えることもあれば、よい結果を期待して行動することもあります。
心理学では、楽観性と悲観性は、必ずしも一方だけを持つものとは考えられていません。人は、よい結果を期待しながら、同時に悪い結果も想定することがあります。
つまり、ペシミスティックとオプティミスティックは、単純にどちらか一方へ分けられるものではなく、状況に応じて両方の考え方が表れるものだということです。
ペシミスティックは「悲観的」
ペシミスティック(pessimistic)は、「悲観的」という意味を持つ言葉です。物事の先行きについて、よい結果よりも悪い結果を予想したり、問題が起こる可能性を強く意識したりする考え方を表します。
たとえば、新しいプロジェクトを任されたときに、「予定どおり進まないかもしれない」「想定以上に費用がかかるかもしれない」「取引先から同意を得られないかもしれない」と、起こり得る問題を先に考えるのは、ペシミスティックな見方の一例です。
ただし、ペシミスティックだからといって、何に対しても否定的だったり、行動する前から諦めていたりするとは限りません。悪い結果を想定したうえで、必要な準備を増やしたり、別の対応策を考えたりする人もいます。
そのため、ペシミスティックは単に「後ろ向きな性格」を指す言葉として捉えるよりも、「これから起こることについて、悪い結果も含めて慎重に見通す考え方」と理解すると分かりやすいでしょう。
オプティミスティックは「楽観的」
オプティミスティック(optimistic)は、「楽観的」という意味を持つ言葉です。物事の先行きについて、悪い結果よりもよい結果を期待し、「うまくいく可能性がある」と考える姿勢を表します。
たとえば、新しい企画を任されたときに、課題や不確定な点があっても、「工夫すれば形にできるだろう」「必要な準備を進めれば実現できるかもしれない」と考えるのは、オプティミスティックな見方の一例です。また、仕事で失敗した場合でも、「今回の反省を次に生かせばよい」と考え、次の行動へ意識を向けることがあります。
このように、オプティミスティックな考え方では、問題や失敗があったとしても、それだけで今後の結果まで悪くなると決めつけません。課題を認識したうえで、改善できる点や今後の可能性にも目を向けます。
違いは「将来をどう見通すか」
ペシミスティックとオプティミスティックの大きな違いは、これから起こることに対して、どのような結果を予想するかにあります。
大きな商談を控えている場面で見て見ると、ペシミスティックな見方では、「先方から条件面を指摘されるかもしれない」「契約に至らない可能性もある」と、うまくいかなかった場合を想定します。
一方、オプティミスティックな見方では、「これまでの提案内容なら評価してもらえるだろう」「条件を調整すれば契約につながる可能性がある」と、よい結果を期待します。
ここで大切なのは、どちらの考え方も、その後の行動まで決めるものではないという点です。
悪い結果を予想した人が、商談を諦めるとは限りません。「質問されそうな点を整理しておこう」「別の提案も用意しておこう」と考え、準備を増やすこともできます。
反対に、よい結果を期待する人も、何の準備もせずに商談へ臨むわけではありません。成功を期待しながら、必要な資料をそろえ、想定される質問への回答を準備することもできます。
また、人の考え方を「ペシミスティックな人」と「オプティミスティックな人」の二つに完全に分けることもできません。日本の研究でも、楽観性と悲観性にはそれぞれ独立した側面があると報告されています。
つまり、ペシミスティックとオプティミスティックの違いは、これから起こることに対して、悪い結果をより強く予想するのか、よい結果をより強く期待するのかという、将来の見通し方の違いとして捉えられます。
参考:公益社団法人日本心理学会/楽観・悲観性尺度の作成ならびに信頼性・妥当性の検討
ペシミスティックとオプティミスティックの具体例
ペシミスティックとオプティミスティックの違いは、実際の仕事の場面に当てはめると、より具体的に理解することができます。
たとえば、重要な仕事を任されたときに、「失敗した場合はどうするか」とリスクを先に考える人もいれば、「どうすれば成功につなげられるか」と可能性に目を向ける人もいます。
こうした違いは、仕事を任された直後だけでなく、トラブルが起きたときや、新しい仕事に挑戦するときにも表れます。
仕事を任されたとき
上司から重要な仕事を任されたときは、最初に何を考えるかによって、その後の準備や仕事の進め方が変わります。
ペシミスティックな考え方
「期限までに終わらないかもしれない」「自分の経験だけで対応できるだろうか」「途中で想定外の問題が起こるかもしれない」と、失敗やトラブルの可能性を先に考えます。
こうした予測は、不安を大きくすることもありますが、事前の準備に生かすこともできます。たとえば、「分からない部分は早めに上司へ確認しよう」「予定が遅れた場合に備えて、余裕を持ったスケジュールを組もう」と考えれば、心配している点が具体的な対応策に変わります。
どのような問題が起こる可能性があるのかを事前に整理することで、確認しておくことや、準備しておくことも明確になります。悪い結果を予想することが、そのまま仕事への消極的な姿勢につながるわけではありません。
オプティミスティックな考え方
「これまでの経験を生かせば対応できるだろう」「分からないことが出てきても、その都度調べながら進めよう」と、仕事をやり遂げる方法や、うまく進む可能性に目を向けます。
よい結果を期待できれば、経験のない仕事でも「まず取り組んでみよう」と考えるきっかけになります。そのうえで、必要な情報を集めたり、スケジュールを立てたり、周囲に協力を求めたりすれば、前向きな見通しを具体的な行動につなげることができます。
トラブルが起きたとき
仕事でトラブルが起きたときは、目の前の問題をどう受け止め、その後の展開をどう予測するかによって考え方に違いが表れます。
ペシミスティックな考え方
たとえば、取引先から厳しい指摘を受けた場合、「このまま契約を打ち切られるかもしれない」「ほかの案件でも同じ問題が起こるかもしれない」と、現在のトラブルから今後起こり得る悪い結果まで考えます。
先のリスクまで考えることで、不安が大きくなることもあります。その一方で、「なぜ問題が起きたのかを詳しく確認しよう」「ほかの案件でも同じことが起きないように見直そう」と考えれば、原因の究明や再発防止につなげることができます。
オプティミスティックな考え方
「指摘された部分を修正すれば関係を立て直せるだろう」「今回の経験を次の案件に生かそう」と、問題が起きたあとに改善できる可能性へ目を向けます。
トラブルが起きても、「ここから何ができるか」と考えることで、次の対応へ意識を切り替えることができます。取引先への説明や修正案の提示、社内での情報共有など、立て直すために必要な行動を考えるきっかけにもなります。
新しいことを始めるとき
新規事業への参加や転職、新しいシステムの導入など、これまで経験したことのないことに取り組む場面でも、ペシミスティックとオプティミスティックの違いが表れます。変化によって起こる問題を先に考える人もいれば、新しく得られる可能性に目を向ける人もいます。
ペシミスティックな考え方
「期待した成果が出ないかもしれない」「今のやり方を変えることで、かえって業務が複雑になるかもしれない」「想定以上に費用や時間がかかるかもしれない」と、変化によって生じるリスクを先に考えます。
こうした見方は、事前に確認すべき点を整理するきっかけにもなります。たとえば、新しいシステムを導入する場合であれば、必要な費用や人員、導入後の運用方法、問題が起きた場合の対応まで確認しておくことで、想定外の事態に備えることができます。
オプティミスティックな考え方
「新しい方法を取り入れれば、今までできなかったことができるかもしれない」「まず試してみて、問題が出たら改善していこう」と、変化によって得られる可能性に目を向けます。
新しいことに対して前向きな見通しを持つことで、これまでのやり方にとらわれず、試行錯誤しながら取り組むきっかけになります。新規事業であれば、新しい顧客層への展開や業務の改善など、実現できることを具体的に考えながら計画を進めることができます。
参考:日本パーソナリティ心理学会/認知的方略の違いがセルフ・ハンディキャッピングやストレス対処方略の採用に及ぼす影響
仕事ではどちらが強みになる?
ペシミスティックとオプティミスティックのどちらが仕事でより有利に働くかは、仕事の内容や置かれている状況によって異なります。
仕事には、問題が起こる可能性を洗い出し、慎重に判断する場面もあれば、不確実な状況でも可能性を見つけ、まず行動を起こす場面もあるからです。
また、悲観的な見通しを持つ人が消極的に行動するとは限らず、楽観的な人が準備を怠るとも限りません。重要なのは、自分の考え方を仕事の目的にどう生かすかです。
慎重さが必要な仕事や場面
慎重な判断が求められる仕事では、ペシミスティックな考え方が強みになります。悪い結果や起こり得る問題を先に考えるため、リスクを事前に洗い出し、必要な対策を準備できるからです。
たとえば、契約内容の確認や予算管理、品質管理、安全管理、システム運用などでは、小さな見落としが大きな損失につながることがありますから、「問題なく進むだろう」と考えるよりも、「どこで問題が起こる可能性があるか」「予定どおりに進まなかった場合はどうするか」と考える視点が役立ちます。
新しいプロジェクトを始める場面でも、「予定が遅れた場合はどうするか」「予算を超えた場合はどこを見直すか」「担当者が不在になった場合は誰が対応するか」と事前に考えておけば、問題が起きた際の対応を準備することができます。
ペシミスティックな考え方の強みは、悪い結果を予想することそのものではありません。予想したリスクを具体的な確認や準備につなげられる点にあります
楽観性が必要な仕事や場面
新しい企画や事業、営業活動、業務改善など、結果を事前に確定できない仕事では、オプティミスティックな考え方が強みになります。成功する可能性や改善の余地に目を向けることで、不確実な状況でも次の行動を考えられるからです。
新しい企画を始める前には、すべてのリスクをなくすことはできません。新商品の企画であれば、実際に販売してみなければ顧客の反応が分からないこともあります。業務改善でも、新しい方法が想定どおりの成果につながるかは、試して初めて分かる部分があります。こうした場面では、失敗の可能性だけを理由に見送るのではなく、「まず試して、結果を見ながら改善する」という考え方が役に立ちます。
オプティミスティックな考え方の強みは、根拠なく「うまくいく」と考えることではありません。思いどおりの結果にならなかった場合でも、「ここから何を変えられるか」「次に何を試せるか」と考え、行動を続けられる点にあります。
そのため、正解があらかじめ決まっていない仕事や、試行錯誤を重ねながら成果を目指す場面では、オプティミスティックな考え方の「可能性や次の選択肢に目を向ける視点」が強みになります。
チームには両方の視点が必要
チームで仕事を進める場合は、ペシミスティックな視点とオプティミスティックな視点の両方を取り入れることが大切です。一方がリスクを確認し、もう一方が可能性を考えることで、計画をさまざまな角度から検討できるからです。
たとえば、新規事業を検討する会議で、「新しい顧客を獲得できそうだ」「まず小規模に始めてみよう」といった意見が中心になると、事業を始めることで得られる成果に意識が向きます。ここに「想定より費用が増えた場合はどうするか」「計画どおりに顧客を獲得できなかった場合はどうするか」という意見が加われば、事業を始める前に確認すべき課題も整理することができます。
反対に、リスクばかりを検討していると、「問題が起きる可能性は分かったが、それでも取り組む価値があるのか」という視点が抜けてしまうことがあります。そこで、「この事業によって何を実現できるのか」「どの条件が整えば実行できるのか」と考えることができれば、リスクを確認しながら事業の可能性も検討することができます。
ペシミスティックな視点は、計画の弱点や起こり得る問題を確認する場面で強みになります。オプティミスティックな視点は、実現できることや次の選択肢を考える場面で強みを発揮します。チームの意思決定では、どちらか一方を正解とするのではなく、それぞれの視点から出た意見を判断材料として整理することが大切です。
参考:日本情報経営学会/集団意思決定の2つのプロセスとGDSSの効果
まとめ
ペシミスティックは悲観的、オプティミスティックは楽観的な見通しを表す言葉です。ペシミスティックな視点はリスクの確認や事前準備に役立ち、オプティミスティックな視点は、新しい可能性や次の行動を考える場面で力を発揮します。
なお、仕事への不安やストレスを「自分が悲観的だから」と性格だけの問題にする必要はありません。仕事量や人間関係、裁量の範囲、周囲からの支援など、職場環境が影響している場合もあります。従業員がどのようなストレスを抱えているのかを把握し、職場環境の見直しにつなげる方法の一つがストレスチェックです。
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