
フレネミーとは、「friend(友人)」と「enemy(敵)」を組み合わせた言葉で、表面上は親しげに接しながら、陰では相手を批判したり、不利益につながる行動を取ったりする人を指します。
あからさまに敵対してくるわけではないため、「悪意があるのか、それとも自分が気にしすぎているだけなのか」と判断しにくいのが厄介なところです。
この記事では、職場のフレネミーに見られる言動や見分ける際のポイント、必要以上に振り回されないための対処法を紹介します。
目次
フレネミーとは友達のように振る舞う「敵」
フレネミーとは、「friend(友人)」と「enemy(敵)」を組み合わせた言葉で、親しげに振る舞いながら、陰では相手を傷つけたり、立場を悪くするような言動を取ったりする人を指す俗語です。
たとえば、表向きは応援しているのに失敗談を周囲に広める、相談に乗るふりをして聞いた話をほかの人に漏らす、といったケースです。
嫌いな人やライバルとは何が違う?
フレネミーは、「嫌いな人」や「仕事上のライバル」を指す言葉ではありません。
仕事上のライバルであれば、昇進や営業成績などをめぐって競うことはあっても、お互いが競争相手であることは分かっています。また、苦手な同僚であれば、必要以上に関わらないなど、ある程度距離を取って付き合うこともできます。
しかし、フレネミーは、普段は親しげに接してくるため、最初から警戒するのは難しい相手です。「応援している」「何でも相談して」と言いながら、別の場では失敗を周囲に話したり、相談で聞いた内容を本人の知らないところで広めたりすることがあります。表向きの態度だけでは本心が分かりにくいため、「悪意があるのか、それとも考えすぎなのか」と迷うことが多いのです。
職場のフレネミーが厄介な理由
職場のフレネミーが厄介なのは、単純に縁を切れば終わる関係ではないからです。
同じ部署やチームで働いていれば、会議やチャット、共同作業などで関わる機会が続きます。
さらにフレネミーの場合、普段は親切で協力的に振る舞うため、周囲からは問題が見えづらいのです。そのため、自分だけが嫌な思いをしていても、「悪気はなかったのかもしれない」「自分が考えすぎているのかもしれない」と受け止め、はっきり指摘できないまま関係が続くこともあるでしょう。
そして、相手の発言を必要以上に気にしたり、どこまで話してよいのか慎重になったりと、仕事以外のことにも気を使うようになります。表立った対立がないからこそどう対応すればいいか、分からない。それが職場のフレネミーとの付き合いを難しくする要因の一つです。
職場にいるフレネミーによく見られる言動
職場のフレネミーは、正面から攻撃してきません。相談に乗り、味方のような顔をしながら、気づいた頃には、周囲からの評価が少しずつ下がっている。そういう関係です。一つひとつの言動は「冗談」「親切」「悪気なし」で片付けられますが、同じパターンが繰り返されているなら、それはもう偶然ではありません。
褒めているようで微妙に傷つけてくる
フレネミーに見られる言動の一つが、褒める言葉の中に、相手を低く見るような一言を混ぜることです。
「○○さんにしては、今回はかなり良かったね」「普段あまり発言しないのに、今日はすごかったね」といった言い方は、褒めているようで、「普段はそれほど評価していない」という意味にも受け取れます。
成果を出した同僚に「あのお客さんなら、誰が担当しても契約できたと思うけどね」と言うのも同じです。本人の努力や成果を認めるのではなく、運や周囲の条件によるものとして扱っています。
もちろん、単に言葉選びが不器用なだけの場合もあります。ただ、成果を出すたびに「でも」「意外と」「○○さんにしては」といった言葉が繰り返されるなら、その言葉だけでなく、普段の言動も合わせて注意してみるのがおすすめです。
相談した話や秘密を他人に話す
フレネミーは、本人から聞いた相談内容や秘密を、許可なくほかの人に話すことがあります。「ここだけの話」と伝えたはずなのに、数日後には別の人まで知っていた、といったケースです。
たとえば、上司との関係や転職の検討、給与・評価への不満などを打ち明けた際に、「心配だったから」と本人の了承を得ず、別の社員や上司に伝えてしまうケースです。善意のつもりだったとしても、本人が知られたくない情報を勝手に共有すれば、信頼関係を損なう原因になります。
また、秘密をそのまま話すのではなく、雑談の中で少しずつ情報を漏らす場合もあります。「最近○○さん、大変みたいだよ」「詳しくは言えないけど、転職を考えているみたい」といった一言から始まり、話が周囲に広がります。親身になって話を聞いてくれるからといって、聞いた内容まで慎重に扱ってくれるとは限りません。
本人の前といないところで態度が変わる
フレネミーは、本人の前では親しげに接しているのに、本人がいない場では否定的な発言をすることがあります。
たとえば、本人には「いつも助かっている」と伝えながら、席を外したあとに「でも、あの人は細かいミスが多いよね」と周囲に話すようなケースです。
もちろん、相手や場面によって話し方や伝える内容が変わること自体は珍しくありません。注意したいのは、本人の前では好意的な態度を取りながら、本人のいないところでは否定的な話を繰り返している場合です。
成功よりも失敗に強く反応する
フレネミーは、相手の成功にはあまり関心を示さない一方で、失敗やトラブルには強く反応することがあります。
たとえば、昇進を報告しても「そうなんだ」と簡単に済ませるのに、プレゼンで失敗した翌日には「昨日、大丈夫だった?」「みんな驚いていたよ」と詳しく聞いてくるようなケースです。心配しているように見えても、失敗したときだけ急に関心を示すのであれば、少し注意して見たほうがよいでしょう。
人前でプライベートな話や失敗談を持ち出す
フレネミーは、本人が人に知られたくないプライベートな話や過去の失敗を、第三者がいる場で持ち出すことがあります。
たとえば、前職を辞めた経緯や取引先でのトラブル、家庭の事情などを、「仲がいいから知っている」という感覚で話題にするケースです。本人にとっては触れてほしくない内容でも、話す側は冗談や思い出話のつもりで口にすることがあります。
親しい間柄であっても、本人から聞いた話をどこまで他人に話してよいかは別の問題です。自分から周囲に話していない内容を何度も持ち出されるのであれば、その相手に伝える情報を控えるなど、付き合い方を見直すことも必要です。
もしかしてフレネミー?見分けるときのポイント
フレネミーは、普段は親切に接し、相談にも乗ってくれるため、すぐに気づけるとは限りません。
大切なのは、表向きの言葉だけで相手を判断しないことです。自分が話した内容が知らないうちに周囲へ広まっていないか、本人のいないところで評価を下げるような話をされていないか、成功したときと失敗したときで態度が大きく変わらないかなど、実際の行動やその後の状況にも目を向けてみましょう。
一度だけなら、単なる失言や行き違いということもあります。似たようなことが繰り返されている場合は、その人との関わり方を見直す一つの目安になります。
言葉よりも行動を見る
フレネミーかどうかを考えるときは、相手が何を言っているかだけでなく、実際にどのような行動を取っているかを見ることが大切です。
「あなたのことを心配している」「応援している」「味方だから言うんだけど」といった言葉は、相手を気遣っているように聞こえます。しかし、フレネミーは、その言葉とは裏腹に、本人の了承なく情報を周囲に伝えたり、求めていない助言を繰り返したり、人前で必要以上に指摘したりすることもあります。
本人は「あなたのため」と考えていたとしても、その行動によって相手が困ったり、立場が悪くなったりしているのであれば、言葉だけをそのまま受け取る必要はありません
一度の失言だけでフレネミーと決めつけない
不快なことを言われたとしても、その一言だけで相手をフレネミーと決めつけるのは適切ではありません。誰でも言葉を選び間違えることはありますし、冗談のつもりで相手を傷つけてしまうこともあります。
たとえば、「今回は意外とうまくいったね」と言われて嫌な気持ちになったとしても、その一言だけで悪意があったとは判断することはできません。普段は成果をきちんと認め、困っているときには手を貸してくれる人であれば、単に表現が適切ではなかった可能性もあります。
一方で、成果を出すたびに「運が良かっただけ」「誰にでもできる」と言われたり、失敗したときだけ周囲に話を広められたりする状態が続いているのであれば、普段の関わり方も含めて考えてみましょう。
同じような言動が繰り返されていないか確認する
フレネミーかどうかを考える際は、一つひとつの出来事だけでなく、似たようなことが繰り返されていないかを見ることも大切です。
たとえば、「ここだけの話」と伝えた内容が一度ほかの人に伝わっただけなら、どこまで話してよいかについて認識の違いがあった可能性もあります。しかし、相談するたびに内容が周囲へ広まる、成果を褒めるときには毎回皮肉を添える、失敗すると決まってその話をほかの人にするなど、同じような行動が続いている場合は注意が必要です。
一度だけでは判断しにくいことも、何度か続くことで相手の接し方の傾向が見えてくることがあります。個々の出来事だけで判断せず、これまでのやり取りを振り返りながら考えるとよいでしょう。
単なる相性の悪さや価値観の違いと区別する
話が合わない、仕事の進め方が違う、考え方に共感できない人が、フレネミーというわけではありません。職場では、価値観や仕事の進め方が異なる人と一緒に働くことも珍しくないからです。
フレネミーか否か判断する際に確認したいのは、自分と考え方が合うかどうかではなく、信頼を損なうような行動が繰り返されているかどうかです。
職場のフレネミーにはどう対処する?
職場でフレネミーと思われる相手に違和感を覚えても、正面から問い詰めたり、「あなたはフレネミーだ」と決めつけたりする必要はありません。仕事上の関係を完全に断つことが難しい場合も多く、無理に対立すると、かえって精神的に疲れてしまいます。
大切なのは、相手を変えようとすることではなく、自分が必要以上に振り回されないように関わり方を変えることです。個人的な情報をむやみに話さない、仕事上のやり取りは記録に残す、必要以上に距離を縮めないなど、できる範囲で対応していくのがおすすめです。
プライベートな情報を話さない
一度「この人には話した内容が広がるかもしれない」と感じたら、無理に信頼関係を修復しようとせず、渡す情報を減らしていきます。家庭の事情、恋愛、転職の予定、給与への不満、上司への愚痴など、仕事に必要のない話は自分から提供しないのが基本です。
雑談まで拒否する必要はありません。「週末は家でゆっくりしていました」「最近この店に行きました」など、誰に知られても困らない話だけで十分です。
特に注意したいのは、相手が急に相談役のような立場を取ってきたときです。「最近元気ないけど大丈夫?」「部長とうまくいってない?」と聞かれると、つい本音を話したくなることがあります。しかし、過去に情報を漏らされた経験があるなら、その場で詳しく説明する義務はありません。
「ちょっと忙しいだけです」「大丈夫ですよ」と短く返すのも立派な対応です。距離を置くことは冷たい態度ではありません。
相手を変えようとせず適度な距離を取る
フレネミーに対しては、「本当は悪い人じゃないはず」「ちゃんと話せば分かってくれるかもしれない」と考えて、何度も関係を修復しようとすることがあります。しかし、説得にエネルギーを使うより、接点を必要な範囲に整える方が現実的です。
同じ職場で働いているからといって、全員と深い信頼関係を築く必要はありません。挨拶をする、仕事の連絡には答える、会議では必要な意見を伝える。それだけでも仕事上の関係は成立します。
ランチに毎回付き合う必要もなければ、仕事帰りの飲みに誘われるたび参加する必要もありません。個人的な相談を持ちかけられても、無理に聞き役になる必要はありません。
距離を取るときも、急に無視したり敵意を見せたりするより、「仕事では普通に接する。ただし深く入り込まない」という姿勢の方が穏当です。
悪口や仕返しには参加しない
フレネミーと思われる相手に嫌なことをされたとしても、悪口を言い返したり、相手の秘密を周囲に話したりするのは避けたほうがよいでしょう。仕返しをすると、自分まで同じような行動を取る人だと思われ、周囲からの信用を損なう可能性があるからです。
さらに、相手の悪口を別の同僚に話せば、その内容が本人に伝わり、さらに関係がこじれることがあります。
相手の言動に腹が立っても、同じ方法で対抗する必要はありません。必要以上に悪口や噂話に関わらず、自分は仕事上のやり取りに徹することが、自分の立場や信用を守ることにつながります。
仕事に支障が出たら上司や人事に相談する
距離を取っても問題が続き、仕事に影響が出ているなら、一人で処理し続ける必要はありません。上司や人事、社内の相談窓口などに相談することも選択肢です。
その際、「○○さんはフレネミーなんです」と説明するだけでは、状況が伝わりません。「相談した家庭の事情を本人の許可なく部署内で話された」「会議で繰り返し過去の失敗を持ち出される」「担当していないミスを自分の責任として上司に報告された」など、具体的な出来事を伝えましょう。
日時、場所、発言内容、メールやチャットの記録があれば、それも整理しておきます。さらに、その結果として業務にどんな影響が出ているのかを説明すると、会社側も状況を把握することができます。
「この程度で相談していいのかな」と迷う人もいるでしょう。しかし、相談は相手を処罰してもらうためだけに行うものではありません。担当を分ける、席やチームを調整する、第三者を交えて話すなど、仕事を続けるための方法を考えるきっかけにもなります。
フレネミーとの人間関係で疲れていない?
フレネミーとの関係で厄介なのは、はっきりした対立がないまま精神的な負担が続くことです。「また何か言われるかも」「この話も誰かに伝わるかも」と相手を警戒しながら働けば、本来の業務とは別のところで神経を使います。
厚生労働省の労働安全衛生調査でも、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」は、仕事や職業生活における強いストレスの原因として調査項目に挙げられています。相手がフレネミーかどうかを考え続けるより、自分がどれくらい疲れているのかにも目を向けてみましょう。
職場の人間関係によるストレスは積み重なる
「あの人と話した後だけ、どっと疲れる」「出社すると、まず相手の機嫌を確認してしまう」「何を話していいのか毎回考える」。そんな状態が続いているなら、人間関係が仕事の負担の一部になっている可能性があります。厚生労働省の調査でも、仕事の量や失敗・責任の発生などと並び、対人関係は職業生活における強いストレスの要因として挙げられています。
フレネミーとの関係では、露骨な攻撃がないからこそ、「この程度で疲れる自分がおかしいのかな」と考えてしまうこともあります。
しかし、大きなトラブルが起きているかどうかと、自分が負担を感じているかどうかは別の話です。相手の発言を何度も思い返す、休日まで職場の人間関係を考える、仕事への集中が途切れるといった状態が続くなら、「相手が悪いか」を判定することより、自分の負担を減らす方法を考えることが大切です。
ストレスチェックで今の状態を確認してみよう
人間関係に悩んでいると、どうしても「相手が何をしたか」に意識が向きます。しかし、ときには相手から視線を外して、自分自身の状態を確認することも必要です。
ストレスチェックは質問票への回答を通じて自分のストレス状態を把握し、セルフケアや必要に応じた医師の面接指導、職場環境の改善などにつなげ、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための制度です。
ストレスチェックは「あなたは病気です」と診断するためのものではありませんから、結果が良かったから無理を続けてよいわけでも、高ストレスという結果だけで病気と決まるわけでもありません。
「最近ちょっと疲れているかも」と感じたとき、自分の状態を客観的に振り返るきっかけとして活用してみましょう。フレネミーのことを考える時間が増えているなら、一度チェックしてみるのも一つの方法です。
つらいときは一人で抱え込まず相談する
距離を取る、話す内容を減らす、記録を残す。それでも気持ちが楽にならず、仕事や日常生活までつらくなってきたら、一人で何とかしようとする必要はありません。職場で起きている問題なら、信頼できる上司、人事・労務担当者、産業医や社内相談窓口などに相談する方法があります。
相談するときは「相手がフレネミーだから」ではなく、「秘密にしてほしいと伝えた情報を部署内で話された」「会議で繰り返し失敗談を持ち出される」など、実際に起きたことを具体的に伝えると状況を共有することができます。
社内では話しづらい場合、外部の相談窓口を利用する方法もあります。厚生労働省の「こころの耳」では、働く人や家族を対象に、人間関係や仕事、メンタルヘルスなどの相談を電話・SNS・メールで受け付けています。
相手をフレネミーだと証明できなければ相談してはいけない、ということはありません。「この人との関係で仕事がつらい」という時点で、自分の働き方や環境を見直す十分な理由になります。
まとめ
フレネミーとは、友人のように親しく接しながら、陰では相手の評価を下げたり、不利益につながる言動を取ったりする人を表す言葉です。職場では、褒め言葉に皮肉を混ぜる、相談内容を他人に話す、本人の前と陰で態度を変えるなどの形で現れることがあります。ただし、一度の失言や相性の悪さだけで決めつけるのは禁物です。言葉より行動を見て、同じパターンが続いていないか確認しましょう。負担を感じる場合は、話す情報を選び、仕事の記録を残し、適度な距離を取ることが大切です。人間関係のストレスが続くときは、自分の状態にも目を向け、必要に応じて上司に相談したり相談窓口を活用したりすることをおすすめします。
ストレスチェックとは、従業員のストレス状態を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした制度です。現在は従業員50人以上の事業場で義務化されていますが、2028年4月1日からは、50人未満の企業にも対象が拡大されます。
ストレスチェックを活用すれば、部署ごとの負荷や心理的な傾向を可視化でき、早めの相談体制づくりや業務改善につなげられます。失敗を責めるのではなく、学びながら前に進む職場づくりにも役立ちます。
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