「ミスが増えた…」原因と対策を解説

ミスが増える背景には、単なる注意不足だけでなく、ストレスや疲労、睡眠不足、仕事量の増加、情報や作業手順の整理不足など、さまざまな要因が関係します。
この記事では、ミスが増えたときに考えたい原因、仕事の進め方の見直し方、ミスをした後の対応、周囲ができるサポートまで具体的に解説します。

「ミスが増えた…」と感じたときに考えたい原因

「以前なら間違えなかったのに、最近は確認漏れが続く」「入力ミスや予定の勘違いが増えた」という場合に、すぐに自分の注意力の問題だと決めつける必要はありません。仕事のミスには、ストレスや疲労、睡眠不足といった本人の状態だけでなく、仕事量の増加や作業手順、情報の整理方法など、仕事を取り巻く環境も関係します。
とくに、以前と比べて急にミスが増えた場合は、その前後で仕事量や勤務時間、睡眠、体調、担当業務などに変化がなかったかを振り返ることが大切です。原因は一つとは限らず、複数の要因が重なっている場合もあります。

ストレスや心身の不調で集中力が落ちている

強いストレスが続いていると、仕事以外のことが頭から離れず、目の前の作業に十分な注意を向けられなくなる場合があります。

2024年に『産業ストレス研究』に掲載された総説では、ストレスとヒューマンエラーの関係について示されています。
ストレスを感じているとき、人は「どうしよう」「うまくいかなかったらどうなる」といった不安や考えが頭の中を占めます。この状態は、脳が情報を一時的に保持しながら判断や処理を行う「ワーキングメモリ」を消費します。
そして、ワーキングメモリは容量に限りがあるため、ストレスによって埋まってしまうと、本来の作業に必要な情報処理や注意のコントロールに使えるリソースが減り、ミスが起きやすくなるという仕組みです。

たとえば、仕事上のトラブルや人間関係について気になっている状態でメールを作成すると、文章を書くことに加えて別のことにも意識が向いています。その結果、宛先や添付ファイルの確認など、普段なら問題なく行っている作業まで十分に確認できなくなる可能性があります。

また、強い不安や緊張も仕事のパフォーマンスに影響します。普段は意識せずに行えている作業でも、「絶対に間違えてはいけない」と一つひとつの動作を必要以上に意識すると、かえって普段どおりに進められなくなる現象も研究されています。
参考:産業ストレス研究/ストレスがヒューマンエラーの発生に及ぼす影響

疲労や睡眠不足で注意力・判断力が落ちている

疲労や睡眠不足が続いていると、仕事に必要な注意力や判断力にも影響が及びます。

2025年に公表された「眠気とヒューマンエラー」の総説では、活動中の眠気によって認知機能や作業パフォーマンスが低下し、ヒューマンエラーにつながる可能性が整理されています。眠気は、前日の睡眠時間が短かったときだけに生じるものではありません。十分な睡眠を取れない日が続いたときや、眠りが浅い、途中で何度も目が覚めるなど、睡眠の質が低下しているときにも現れます。

仕事中にはっきりと眠気を感じていなくても、疲労や睡眠不足の影響が表れている場合もあります。たとえば、文章を読んでも内容を理解するまでに時間がかかる、同じ箇所を何度も読み直す、簡単な判断で迷う、確認したはずの内容をもう一度確認するといった変化です。以前と比べてこうした状態が増えている場合は、仕事の進め方だけでなく、睡眠や休息が十分に取れているかも確認したいところです。

また、睡眠不足とストレスも深く関係しています。2026年に公表された国内の総説では、長時間労働などの職業性ストレスが睡眠に影響し、睡眠不足によってストレスや不安の訴えが強まる関係も報告されています。
参考:心身医学/職業性ストレスと睡眠医学

仕事量や担当業務が増えている

ミスが増えたと感じる場合は、以前より仕事の負担が増えていないかも確認してみましょう。

たとえば、担当する案件数が増えた、新しい業務が加わった、複数の締め切りが重なっている、問い合わせへの対応で作業を何度も中断しているなど、日々処理しなければならない情報や判断の量が増えているようなケースです。

人間工学では、仕事で求められる作業量や判断の多さ、時間的な制約などを「タスク・ディマンド」と呼びます。そして、その要求に対応するために人にかかる心身の負担を「ワークロード」として捉えます。

たとえば、担当案件が増える、締め切りが重なる、複数の作業を並行して進める、といった状況では、タスク・ディマンドが高まります。その結果、対応するためのワークロードも大きくなり、確認や見直しに使える時間や注意の余裕が減っていきます。

さらに、途中で何度も別の対応に切り替える状況では、そのたびに情報を整理し直す必要があり、ワークロードはより高まります。こうした状態が続くと、見落としや確認漏れが起こる要因になります。
参考:人間工学/タスク・ディマンドとパフォーマンスのインタラクション―人間工学における人間活動の理解のための包括的枠組み―

作業手順や情報が整理されていない

作業手順が統一されていなかったり、必要な情報が複数の場所に分散していたりすると、確認漏れや取り違えが起こる原因になります。

たとえば、同じ業務でも担当者によって進め方が異なる、必要な情報がメールやチャット、共有フォルダに分かれて保存されている、最新版の資料がどれなのか分からない、といった状況です。また、確認すべき項目が決まっておらず、「いつもやっているから覚えているはず」と担当者の記憶に任せている場合も、抜けや漏れが生じる原因になります。

2023年に『安全工学』に掲載された総説では、作業手順書には、作業者の誤った操作を防ぎ、必要な行動を適切に促す役割があると説明されています。一方で、手順書の内容が分かりにくい、実際の作業と合っていない、必要な情報を見つけにくいといった問題があれば、かえって誤解や手順からの逸脱につながると指摘されています。
そのため手順書は、文章や図を使って必要な情報を分かりやすく伝えることに加え、実際に作業する人の意見を取り入れながら、現場の状況に合わせて見直していくことが重要です。

ミスが起きたときに、「次から注意しよう」と本人の注意力だけに任せても、作業手順や情報管理に問題が残っていれば、同じミスを防ぐことはできません。必要な情報を決まった場所で確認できるか、作業を途中で中断しても再開地点が分かるか、確認すべき項目が明確になっているかなど、仕事の進め方そのものを見直す必要があります。
参考:安全工学/作業手順書の制作と運用のあり方

ミスを減らすために見直したいこと

ミスを減らそうとして、「もっと集中しよう」「次から注意しよう」と意識するだけでは、十分な対策にならない場合があります。
複数の仕事を頭の中だけで管理している、作業のたびに確認方法が異なる、次々と別の仕事に切り替えている、疲れた状態で作業を続けているなど、ミスにつながる条件そのものを見直すことも必要です。
まずは、抱えているタスクを整理し、何から取り組むのかを明確にします。そのうえで、確認が必要な作業にはチェックリストを設け、一度に扱う仕事の量を減らします。疲労や睡眠不足が続いているなら、仕事の進め方だけではなく、休憩や睡眠の取り方も見直しましょう。

タスクと優先順位を整理する

複数の仕事を同時に抱えていると、何をいつまでに終わらせるのか、次にどの作業へ取りかかるのかを、頭の中だけで管理するのは難しくなります。やるべきことを覚えておくこと自体に意識を取られ、確認漏れや作業の抜けにつながる原因にもなります。

そこで、まずは現在抱えている仕事を一覧にします。その際、「資料を作成する」と大きな仕事のまま書くのではなく、「必要なデータを集める」「資料を作成する」「上司に確認を依頼する」「修正して提出する」というように、実際に行う作業ごとに分けます。ここまで細かく分けておけば、次に何をすればよいのかが明確になります。
次に、それぞれの締め切りと優先順位を確認します。今日中に終える必要がある仕事、数日後までに対応すればよい仕事、ほかの人からの回答を待っている仕事などに分けると、どの仕事から着手するかを判断することができます。

途中まで進めた仕事については、「どこまで終わったか」「次に何をするか」を簡単に記録しておく方法もあります。別の仕事を挟んだあとでも、再開するときに最初から状況を確認し直さずに済みます。

チェックリストや確認手順を決める

ミスを減らすには、「気をつけて確認する」だけでなく、何を、どのタイミングで、どの順番で確認するのかを決めておくことが大切です。確認方法がその都度変わると、見落としや確認漏れが起こる原因になるからです。

たとえば、資料を提出する前であれば、「数値を確認する」「日付や固有名詞を確認する」「ファイル名と提出先を確認する」といったように、確認する項目と順番をあらかじめ決めておきます。メールであれば、「本文を確認する」「宛先を確認する」「添付ファイルを確認する」「送信する」という流れを決めておきます。
確認項目が多い業務では、チェックリストを使う方法もあります。記憶だけに頼らず、必要な項目を一つずつ確認できるようにしておけば、慣れた作業でも確認を省かないで済むようになります。

また、重要な作業では、本人が確認したあとに別の人が確認するダブルチェックを取り入れる方法もあります。ただし、誰が何を確認するのかが曖昧なままだと、「相手も見ているだろう」と考えて確認が甘くなる場合もあります。ダブルチェックを行うなら、確認する項目や役割まで明確にしておく必要があります。

国内のヒューマンエラー対策に関する研究や実務報告でも、チェックリストやダブルチェックは確認ミスを防ぐ方法として挙げられています。一方で、形式だけ整えても十分ではなく、実際の作業の流れに合っているか、確認項目が多すぎないか、何をもって確認完了とするのかを見直すことが重要です。
ミスが起きたときは、「次から注意する」で終わらせず、確認する内容や順番に抜けがなかったかを見直します。チェックリストと確認手順を実際の業務に合わせて整えることで、本人の記憶や注意力だけに頼らない仕組みを作ることができるようになります。
参考:安全工学/ヒューマンエラー防止へのアプローチ

一度に抱える作業を減らす

ミスを減らすには、一度にいくつもの作業を抱えず、できるだけ一つの仕事に集中できる時間を確保することも大切です。

たとえば、資料を作成している途中でチャットに返信し、その後に電話へ対応してから資料作成に戻ると、そのたびに「どこまで進めていたか」「次に何をする予定だったか」を確認し直さなければならなくなります。こうした切り替えが何度も続くと、作業の流れが途切れ、確認漏れや対応忘れにつながる要因になります。

国内の認知心理学研究でも、複数の課題を同時に行うと、いずれかの課題の成績が低下することが示されています。

数字の確認、文章の校正、見積書の作成など、正確さが求められる仕事では、ほかの対応をなるべく挟まない時間を設けます。メールやチャットを確認する時間を決める、急ぎでない通知を一時的に止める、別の仕事を思い出したときは、その場で着手せずメモに残して後から対応する、といった方法があります。
もちろん、職場では急な連絡や問い合わせへの対応が必要になる場面もあります。すべての仕事を一つずつ完全に終わらせることが目的ではありません。確認ミスを避けたい作業や、集中が必要な仕事については、別の作業へ切り替える回数をできるだけ減らすことがポイントです。
参考:日本認知心理学会/複数課題の同時遂行における個人差

休憩や睡眠で疲労をためない

長時間にわたって集中を続けると、次第に注意が途切れ、確認に時間がかかったり、見落としが増えたりします。疲れているときほど、「もう少しだけ続けよう」と作業を続けてしまうこともありますが、集中力が落ちたまま仕事を続けても、結果としてミスややり直しが増える可能性があります。

2023年に公表されたオフィスワークを想定した研究では、自席で取る短時間の休憩が、作業成績や疲労感などにどのような影響を与えるかが検討されています。作業の合間に短い休憩を取り、目や身体を休めることで、連続して作業を続ける場合よりも疲労の蓄積を抑えられる可能性が示されています。

休憩を取るタイミングも大切です。限界まで疲れてから席を離れるのではなく、同じ文章を何度も読み直している、確認した内容が頭に残らない、簡単な判断に時間がかかるといった変化が出たら、集中が落ちているサインとして捉えます。数分でも作業から離れ、立ち上がる、目を休める、身体を動かすなどして気分を切り替えてから戻る方法があります。

一方、日中の休憩だけでは、慢性的な睡眠不足までは補えません。2025年の「眠気とヒューマンエラー」の総説では、睡眠不足や睡眠の質の低下による眠気が、認知機能や作業パフォーマンスに影響し、ヒューマンエラーにつながる要因になると整理されています。
睡眠時間が短い日が続いている、夜中に何度も目が覚める、朝起きても疲れが取れていない、日中に強い眠気を感じるといった状態が続く場合は、仕事中の工夫だけでなく、睡眠そのものを見直す必要があります。就寝時刻や起床時刻が大きく乱れていないか、残業や夜間の仕事によって睡眠時間が削られていないかなど、生活と働き方の両方から確認します。
参考:日本建築学会環境系論文集/自席における短時間休憩が知的生産性に与える影響に関する研究
参考:睡眠と環境/眠気とヒューマンエラー

仕事量や不調を一人で抱え込まない

タスクを整理したり、確認手順を見直したりしても、抱えている仕事の量そのものが多ければ、本人の工夫だけでは対応しきれないことがあります。

こうしたときは、一人で抱え込まず、上司やチームに現在の状況を共有します。その際は、「忙しい」「仕事が多い」とだけ伝えるのではなく、何を抱えていて、どの業務に支障が出ているのかを具体的に説明します。

たとえば、「今週中に終える必要がある案件が3件重なっている」「問い合わせ対応に時間を取られ、予定していた資料作成が遅れている」「新しい業務が加わった一方で、従来の担当業務も残っている」と伝えれば、どの仕事を優先するのか、期限を調整できるのか、ほかのメンバーに分担できるのかを話し合えます。

また、ミスが増えた時期に、強い疲労が続いている、よく眠れない、朝起きても疲れが残っている、気分が落ち込む、仕事に集中できないといった変化が重なっている場合は、仕事の進め方だけでなく、心身の状態にも目を向ける必要があります。

まずは上司に仕事量や勤務状況を相談し、必要に応じて、産業医や保健師などの産業保健スタッフ、社内外の相談窓口を利用することも検討します。職場に相談先がない場合や、仕事以外の時間にも不調が続いている場合は、医療機関に相談する選択肢もあります。

厚生労働省も、職場のメンタルヘルス対策では、労働時間、仕事の量や質、作業方法、人間関係などを職場環境の要因として挙げています。本人のセルフケアだけに任せるのではなく、管理監督者による職場管理や、労働者から寄せられた意見をもとに問題点を把握し、職場環境の改善につなげることが求められています。
参考:厚生労働省「こころの耳」/メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策の概要

ミスをした後はどう対応する?

仕事でミスに気づくと、「まず謝らなければ」「怒られる前に何とかしなければ」と焦ってしまうものです。

しかし、最初に行いたいのは、何が起きたのかを落ち着いて確認し、どこまで影響が及んでいるのかを把握することです。そのうえで、上司や関係者へ必要な情報を早めに伝え、修正や謝罪が必要であれば順番を決めて対応します。対応が一段落したら、「注意不足だった」で終わらせず、なぜミスが起きたのかを振り返り、仕事量や確認手順、情報共有の方法なども含めて再発防止策を考えます。

まず事実と影響範囲を確認する

ミスに気づいた直後は、すぐに修正しようと行動を起こす前に、まず何が起きたのかを正確に確認します。
最初に確認したいのは、「何を間違えたのか」「誰に影響しているのか」「影響はどこまで広がっているのか」「今すぐ止めたり訂正したりする必要があるものは何か」の4点です。
また、原因の分析は後から行います。ミスに気づいた直後から「自分の確認不足だった」と決めつけるのではなく、まずは事実と影響範囲を把握し、被害や混乱が広がる可能性があれば、その対応を優先します。

たとえば、メールの宛先を間違えた場合は、誰に送信したのか、本文には何が書かれていたのか、添付ファイルは付いていたのかを確認します。添付した資料に個人情報や社外秘の情報が含まれていた場合は、単なる送信ミスではなく、情報管理上の対応が必要になる可能性もあります。

資料の数値を間違えた場合は、誤っている箇所だけでなく、その資料がどこまで共有されているのかを確認します。社内会議で使われただけなのか、すでに取引先へ送付したのか、その数値をもとに見積もりや発注、意思決定が進んでいないかによって、その後の対応は変わります。

スケジュールや納期を間違えた場合は、どの予定に影響するのかを確認します。自分の作業が遅れるだけなのか、ほかの担当者の作業開始や取引先への納品まで遅れるのかを整理しなければ、必要な連絡先や対応の優先順位を決めることができません。

作業そのものを漏らしていた場合は、いつから対応できていなかったのか、その間に誰かが代わりに対応していないか、未処理の案件がどれだけ残っているのかを確認します。単発の漏れなのか、同じ種類の作業が複数残っているのかによっても、必要な対応は異なります。

必要がある場合は上司や関係者に早めに報告する

ミスの内容によっては、自分で修正して完了できるものもあれば、上司や関係者への報告が必要なものもあります。まずは影響の大きさや社内のルールを確認し、報告が必要な場合は、対応が遅れないよう早めに共有します。
社外への影響がなく、その場で修正できる軽微な入力ミスなどは、上司への報告が必要とは限りません。どの程度のミスを報告するかは、業務内容や会社のルールによって異なります。

たとえば、取引先に誤った資料を送った、金額や納期に関わる間違いがあった、ほかの社員の業務にも影響が及んでいる、個人情報や機密情報を誤って扱ったといった場合は、自分だけで判断せず、上司や担当部署に報告する必要があります。
一方で、報告するときは、「ミスをしました」だけで終わらせず、何が起きたのか、いつ起きたのか、どこまで影響しているのか、現在どこまで確認できているのかを整理して伝えます。

たとえば、「本日10時に送信した見積書で金額の記載ミスが見つかりました。A社にはすでに送付済みです。ほかの顧客への送付はありません。正しい金額は確認済みで、現在、訂正版を準備しています」と伝えれば、上司や関係者も次の対応を判断することができます。
原因がまだ分からない場合は、無理に説明をする必要はありません。「原因は現在確認中です」と伝え、まずは事実と影響範囲を共有します。

なお、情報漏えい、金銭、契約、個人情報などが関わる場合は、本人の判断で取引先や顧客へ連絡すると、かえって対応を複雑にする可能性があります。まずは上司や担当部署に報告し、誰がどのように対応するのかを確認することが大切です。

必要な謝罪と修正対応を行う

ミスによって取引先や顧客、社内の関係者に迷惑や追加の負担をかけた場合は、必要な謝罪と修正対応を行います。大切なのは、謝罪だけで終わらせず、何を間違えたのか、どのように訂正するのか、今後どのように対応するのかまで明確に伝えることです。

たとえば、取引先に誤った資料を送ってしまった場合は、「先ほど送付した資料の○ページに誤りがありました。申し訳ありません。正しくは○○です」と具体的に伝え、訂正版を送ります。納期やその後の作業に影響が出る場合は、いつまでに対応できるのかもあわせて説明します。

社内でも、ミスによって上司や同僚に確認や修正、取引先へのフォローなどをお願いした場合は、その負担に対してきちんと謝罪します。「対応をお願いすることになり、申し訳ありません」と伝えたうえで、何を依頼したいのか、自分はどこまで対応するのか、いつまでに進める必要があるのかを整理して共有します。

謝罪の際に、長い言い訳を重ねる必要はありませんが、「申し訳ありませんでした」だけでは、相手はその後の対応を判断することができませんから、謝罪、訂正内容、現在の対応状況、今後の予定を分けて伝えるようにします。
また、必要以上に謝罪を繰り返すよりも、まずは修正やフォローを着実に進めることが大切です。ミスによって生じた影響に向き合い、必要な対応を行ったうえで、同じ問題を繰り返さないための改善につなげていきます。

原因を整理して再発防止につなげる

修正や謝罪など、必要な対応が一段落したら、次は「なぜそのミスが起きたのか」を振り返ります。ここで大切なのは、「自分の注意が足りなかった」「次から気をつける」といった精神論だけで終わらせないことです。

ヒューマンエラーの再発防止では、目の前で起きたミスだけを見るのではなく、その背景にどのような要因があったのかまで確認する必要があります。国内の研究でも、トラブルの経緯や周辺の情報を集め、直接的な原因だけでなく、その背後にある要因まで分析することが、再発防止策を考えるうえで重要だと指摘されています。

たとえば、メールに誤ったファイルを添付した場合、「添付ファイルの確認を忘れた」という事実だけで終わらせず、なぜ確認できなかったのかまで考えます。締め切り直前で作業を急いでいたのか、似た名前のファイルが複数あったのか、保存場所が整理されていなかったのか、送信前に確認する手順が決まっていなかったのか、途中で別の対応が入り作業が中断されたのかによって、必要な対策は変わります。

原因が違えば、対策も変わります。作業時間が足りなかったのであれば、スケジュールや仕事量を見直します。ファイルの管理方法に問題があったのであれば、保存場所やファイル名の付け方を統一します。確認手順が曖昧だったのであれば、送信前のチェック項目を決めます。作業中の中断が多かったのであれば、集中が必要な時間帯に通知や問い合わせ対応を減らすことができないかを検討します。

また、同じ種類のミスが繰り返されている場合は、本人だけの問題と考えず、業務の進め方や部署全体の仕組みに原因がないかも確認します。
2007年に公表された根本原因分析に関する研究でも、個々のトラブルをその都度分析するだけでなく、蓄積した事例をまとめて見ることで、組織に共通する問題を把握し、対策に活かせるとされています。

ミスを振り返る目的は、自分自身を責めることではありません。「何を変えれば、同じミスを繰り返さずに済むのか」を具体的に考え、その内容を仕事の進め方や確認手順、情報管理、役割分担などに反映させることが再発防止につながります。
参考:安全工学/ヒューマンエラーに起因する事故に対する対策導出の考え方
参考:安全工学/根本原因分析を活用した安全管理システム

ミスが増えた人に周囲ができるサポート

同僚や部下のミスが続いていると、「もっと注意してほしい」「同じことを繰り返さないでほしい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、ミスをした背景には、本人の確認不足だけでなく、仕事量の増加、締め切りの重なり、役割分担の曖昧さ、疲労や睡眠不足、作業手順の問題などが関係している場合もあります。

周囲にできるのは、本人を責めたり、代わりにすべての仕事を引き受けたりすることではありません。まずは、最近の仕事量や働き方に変化がなかったかを確認し、必要に応じて優先順位や役割分担、確認方法を見直します。さらに、疲労や不調が見られる場合には、休憩や相談の時間を確保することも大切です。個人への対応だけでなく、同じ部署で負担が偏っていないかを職場全体で確認する視点も必要になります。

責める前に、仕事量や状況を確認する

ミスが続いている人を見ると、「注意が足りないのではないか」「もっと集中してほしい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、ミスの背景には、本人の注意力だけでなく、仕事量の増加や締め切りの重なり、急な依頼の増加、担当業務の変更などが関係している場合もあります。まずは本人を責める前に、最近の働き方や仕事の状況に変化がなかったかを確認することが大切です。

たとえば、以前より担当する案件が増えていないか、新しい業務を任されていないか、急な問い合わせや差し込みの仕事が続いていないか、複数の締め切りが同じ時期に集中していないかなどを確認します。また、作業中に電話やチャットへの対応が何度も入り、集中して仕事を進める時間が取れていない可能性もあります。
こうした状況を確認するときは、「最近ミスが多いけど大丈夫?」とだけ聞くのではなく、本人が答えられるように具体的に声をかけます。「最近、担当する案件が増えているけれど、今の仕事量に無理はない?」「締め切りが重なっているようだけど、どの仕事に時間がかかっている?」など、仕事の状況に沿って確認すると、本人も、困っている点を整理することができます。

本人から話を聞いた結果、仕事量や期限に無理があると分かった場合は、優先順位を見直したり、締め切りを調整したり、ほかのメンバーに一部の業務を分担したりする方法を検討します。単に「気をつけて」と伝えるよりも、ミスが起きている背景を確認し、必要に応じて仕事の条件を整える方が、再発防止につながります。

厚生労働省の「こころの耳」でも、職場環境改善の対象として、仕事の量や責任、労働時間、作業方法などが挙げられています。ミスが増えた人を支えるときは、本人の注意力だけに原因を求めず、仕事量や役割、働き方に無理が生じていないかを周囲も一緒に確認することが大切です。
参考:厚生労働省「こころの耳」/職場環境改善ツール

優先順位や役割分担を一緒に整理する

ミスが増えている人が複数の仕事を同時に抱えている場合は、本人だけに優先順位の判断を任せず、上司やチームも一緒に整理することが大切です。
まずは、現在抱えている仕事を確認し、それぞれの締め切りや重要度、ほかの業務への影響を整理します。たとえば、今日中に対応しなければ取引先の業務が止まるもの、今週中に終えればよいもの、ほかの人に引き継げるものなどに分けると、対応の順番を決めることができます。

期限を延ばせる仕事はないか、ほかのメンバーに分担できる仕事はないか、いったん後回しにできる仕事はないかを検討します。本人が抱えている業務を一覧にしたうえで、優先順位を一緒に決めると、何から着手すべきかが明確になります。
役割分担も同じです。誰がどこまで担当するのかが曖昧なままだと、同じ作業を二重に行ったり、反対に「誰かが対応していると思っていた」ために作業が抜けたりします。本人が担当する範囲、周囲が引き受ける範囲、最終確認を行う人などを明確にしておくことが必要です。

ただし、ミスが増えたからといって、本人の仕事を一方的に減らせばよいわけではありません。どの業務に時間がかかっているのか、どこで作業が止まっているのか、本人はどの仕事を続けたいと考えているのかも確認しながら調整します。業務を減らすことが、必要な経験や成長の機会まで奪うことにならないよう配慮も必要です。

厚生労働省が紹介する職場環境改善の考え方でも、過大な仕事量を避けることや、仕事の役割・責任を明確にすることは、職場のストレス対策の一つとして挙げられています。ミスが増えている人を支えるときは、「もっと気をつけて」と求めるだけでなく、仕事の順番や分担そのものに無理がないかを周囲も一緒に確認することが大切です。
参考:厚生労働省「こころの耳」/職場環境改善ツール

ダブルチェックや確認手順を整える

確認が必要な業務については、周囲も含めて手順を見直します。

たとえば、重要な数値を入力する業務であれば、入力した本人が確認したあとに別の担当者も確認する、見積書や契約書であれば、金額や日付など確認する項目を決めるといった方法があります。

ただし、ダブルチェックは「二人で見れば安心」というものではありません。誰が何を確認するのかが曖昧だと、互いに「相手が確認しているだろう」と考え、かえって確認が不十分になる場合があります。最初の担当者は入力内容を確認し、二人目は数値や宛先など特定の項目を確認するなど、役割を明確にします。
同じミスが繰り返されている場合には、本人の確認方法だけでなく、チェックリストの内容、資料の保存場所、ファイル名の付け方、承認の流れなども見直します。周囲が確認に加わる目的は、本人を監視することではなく、ミスが起きても途中で気づける仕組みを作ることです。

休憩や相談ができる余裕をつくる

ミスが増えている人に疲れた様子が見られるときは、「少し休んだ方がいい」と声をかけるだけでなく、実際に休める状況を整えることも大切です。
仕事量や締め切りが変わらないままであれば、本人は「今ここで休むと、あとでその分の仕事が残る」と考え、休憩を取ることをためらうかもしれません。とくに、急ぎの案件や問い合わせ対応を抱えている場合は、休みたくても席を離れられないことがあります。

そこで、周囲が一時的に電話や問い合わせ対応を引き受ける、急ぎでない仕事の期限を調整する、昼休み中の連絡を控えるなど、本人が安心して仕事から離れられる時間をつくります。単に「休んでください」と伝えるのではなく、休んでも業務が滞らないように周囲が調整することが必要です。
また、ミスが増えたことに加えて、強い疲労が続いている、眠れない、朝起きても疲れが取れない、気分の落ち込みが続いている、仕事に集中できないといった変化が見られる場合は、休憩だけでなく、相談できる環境も整えます。

このとき、周囲が本人の状態を決めつけたり、無理に理由を聞き出したりすることは避けます。「最近かなり疲れているように見えるけれど、仕事量で困っていることはない?」「必要であれば、産業医や相談窓口を利用する方法もあるよ」と、本人が話せる範囲で状況を確認し、利用できる相談先を伝えます。

厚生労働省の「こころの耳」では、管理監督者が行うラインケアとして、普段と異なる部下の様子に気づくこと、相談に対応すること、職場環境を整えることなどを挙げています。上司や同僚の役割は、不調の原因を判断することではなく、変化に気づき、必要に応じて本人が適切な相談先につながれるよう支えることです。
参考:厚生労働省「こころの耳」/気配りしてますか -上司・同僚の方へ-

ストレスチェックの集団分析を確認する

ミスが増えている社員がいる場合、その人だけの問題として捉えるのではなく、部署全体の仕事量や支援体制にも目を向けます。
たとえば、同じ部署で残業が増えている、複数の社員が疲労を訴えている、上司への相談が十分にできていないといった状況があれば、個人への注意や指導だけではなく、職場環境そのものを見直す必要があります。

その際に参考になるのが、ストレスチェックの集団分析です。集団分析では、個人の結果ではなく、部署や職場など一定の集団ごとに、仕事の量的・質的な負担、仕事のコントロール、上司や同僚からの支援などの傾向を確認することができます。

集団分析の結果は、職場の状態を詳しく確認するための手がかりとして活用します。
仕事の負担が高い部署であれば、実際の業務量、残業時間、担当者数、締め切りの設定、役割分担などを確認します。上司からの支援が低い結果であれば、相談する時間が確保されているか、業務上の困りごとを伝えられる体制があるか、上司が部下の状況を把握できているかなども見ていきます。

厚生労働省も、集団分析の結果だけで職場の問題を判断するのではなく、業務内容や労働時間、管理監督者が把握している状況、従業員から寄せられた意見などと合わせて評価し、職場環境の改善につなげることを示しています。
実際に、厚生労働省が紹介する企業の取組事例でも、集団分析の結果を確認したあとにヒアリングを行い、現場の状況やニーズを把握したうえで改善策を検討しています。
ミスが増えている人を個別に支えることはもちろん大切ですが、その人だけに原因を求めず、同じ部署で仕事量や支援体制に共通する問題が起きていないかを確認する視点も必要です。
参考:厚生労働省「こころの耳」/職場のメンタルヘルス対策の取組事例
 

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しています。
また、無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下である「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場でも実施義務化が進むため、早めの準備が大切です。
導入や運用については、ぜひお気軽にご相談ください。

ストレスチェック導入のご相談はこちら

 

まとめ

仕事でミスが増えたと感じたときは、「自分の注意力が落ちた」と決めつけず、ストレスや疲労、睡眠不足、仕事量の増加、作業手順や情報管理の問題など、背景にある要因を一つずつ確認することが大切です。
対策としては、タスクと優先順位を整理する、確認手順を決める、一度に抱える作業を減らす、十分な休憩や睡眠を取るといった方法があります。仕事量そのものに無理がある場合や、心身の不調が続いている場合は、上司や産業保健スタッフなどに相談することも必要です。

また、ミスをした後は、事実と影響範囲を確認し、必要に応じて上司や関係者へ報告します。謝罪や修正対応が終わったら、「次から気をつける」で済ませず、なぜミスが起きたのかを整理し、再発防止につなげます。

周囲も、本人を責めるだけではなく、仕事量や役割分担、確認体制、休憩を取れる環境に問題がないかを確認することが大切です。ストレスチェックの集団分析も、部署全体の仕事の負担や上司・同僚からの支援などを確認し、職場環境を見直すための資料として活用することができます。

ストレスチェッカーは、官公庁・上場企業・医療機関などで採用されている国内最大級のストレスチェックツールです。自動リマインド、面接指導者管理、進捗確認機能を標準搭載し、2025年5月からは無料プランでも「プレゼンティーイズム(生産性低下)」の測定に対応しております。
導入方法や実施方法など、お気軽にお問い合わせください。

    あわせて読みたい

    >ストレスチェックサービスおすすめ22選

    >ジョハリの窓とは?分かりやすく解説

    >マイクロアグレッションとは?

    >メンタルタフネスとは?高める方法は?

    >マインドワンダリングとは?産業医監修

    >リアリティショックとは?対策は?

    >ジョブ・クラフティングとは?産業医 監修

    >隠れ疲労とは?症状とメカニズムを解説

    >インポスター症候群とは?公認心理師 監修

    >職場の人間関係に疲れたら読むコラム

    >職場の人間関係がギスギスしている時の対処法

    >透明性の錯覚とは?職場でどう対応すべき?

    >人間関係リセット症候群とは?公認心理師監修

    >つながらない権利とは?今すべき対応は?

    >職場の孤立|原因・対処法と会社の対策

    >職場のマキャベリストとは?策略家への対処法

    >キャンセル界隈とは?広がる理由と捉え方

    >マイクロブレイクとは?企業ができる取り組みとは?

    >ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)とは

    >ルサンチマンとは?職場での現れ方は?

    >ブルシット・ジョブとは?無意味な仕事が生まれる理由

    >マッチャー・テイカー・ギバーとは?

    >権威バイアスとは?

    >ミラーリング効果とは?職場で使える心理テクニック

    >ステレオタイプとは?職場に潜む思い込みと対処法