やらされ仕事とは?増える原因と企業の対策

やらされ仕事とは、自分の意思で取り組んでいるというより、「言われたからやる」「指示されたから進める」という感覚で仕事をしている状態のことです。
こうした状態が続く原因には、仕事の目的が十分に共有されていないことや、上司からの指示が一方的になっていることなどがあります。
この記事では、やらされ仕事による職場への影響、企業が見直したい仕事の任せ方や関わり方について解説します。

やらされ仕事とは

やらされ仕事とは、自分で納得して取り組むというより、「指示されたからやる」「やらなければならない」と感じながら進める仕事を指す言葉です。
職場研究では、自分で判断できる余地や仕事の意味を感じられることが、仕事への意欲や満足度と関係することが示されています。自己決定理論でも、自律性は働く人の動機づけやウェルビーイングに関わる重要な要素とされています。

主体性を持てず、指示された仕事をこなす状態

やらされ仕事とは、仕事の目的や自分の役割を十分に理解できないまま、指示された内容をこなすことが優先されてしまっている状態です。

たとえば、上司から毎週決まった集計作業を任されていても、その数字を誰が何のために使うのか分からなければ、本人にとっては「決められた手順どおりに処理する仕事」になりがちです。集計方法を見直したり、必要な情報を追加したりするより、指示された作業を終えることが優先されます。

この状態が続くと、自分で考えて工夫する余地が少なくなり、「なぜこの仕事をするのか」よりも「言われたからやる」という受け身の姿勢が続きます。
やらされ仕事とは、こうしたように、仕事に自分の判断や納得を持ち込めないまま進めている状態を指します。

主体的に取り組む仕事との違い

やらされ仕事と主体的に取り組む仕事の違いは、その仕事の目的や自分の役割を理解し、自分なりに考えながら進められるかどうかです。たとえば、上司から同じ資料作成を依頼された場合でも、「来週の経営会議で新規事業を検討するために必要な資料」と目的が分かっていれば、どの情報を入れるべきか、どの順番で見せるべきかを自分で考えることができるでしょう。
仕事に意味を感じることは、ワーク・エンゲージメントや仕事満足度、組織へのコミットメントと強く関連することが、44件の研究をまとめたメタ分析でも報告されています。

やらされ仕事が生まれる原因

やらされ仕事が生まれる背景には、本人の性格や「やる気」だけでなく、仕事の与え方や職場のマネジメントも関係します。仕事の目的が分からない、進め方を自分で決められない、上司から指示だけが続くといった状況では、自分の判断を仕事に反映する余地が少なくなります。自己決定理論の職場研究でも、自律性や仕事への納得感は、働く人の動機づけやウェルビーイングと関係するとされています。近年のレビューでも、職場での自律性や動機づけの質が、仕事上のさまざまな結果と結びつくことが確認されています。

仕事の目的や意義が共有されていない

仕事の目的が分からないまま作業だけを指示されると、「何のためにやっているのか」が見えなくなります。自分の仕事が誰に役立つのか、どの業務につながるのかが分からなければ、内容を工夫するよりも、指示された作業を終えることが優先されるようになります。
仕事に意味を感じることについては、44件の研究をまとめたメタ分析で、ワーク・エンゲージメント、仕事満足度、組織へのコミットメントなどとの強い関連が報告されています。

仕事の進め方を自分で決められない

仕事内容だけでなく、手順や順番、方法まで細かく決められていると、自分で判断する余地がなくなります。何か工夫したいと思っても、「決められたとおりに進めること」が優先されれば、本人は指示を実行する役割にとどまります。

自己決定理論では、自分の行動を自分の意思で選んでいると感じられる「自律性」が、働く人の動機づけやウェルビーイングに関わる重要な要素とされています。また、仕事上の裁量がストレスやモチベーションと関係することは、別の職業心理学の研究でも報告されています。

上司から一方的に指示される

上司からの指示で問題になるのは、仕事の背景や目的が説明されず、部下の意見を聞く機会もないまま、「これをやって」「この方法で進めて」と指示だけが続く状態です。
上司から一方的な指示が続くと、部下は自分の考えを伝えたり、進め方を提案したりする余地を持てません。その結果、仕事の目的やより良い方法を考えるよりも、指示されたとおりに進めることが優先されてしまいます。

自己決定理論の研究では、上司が部下の意見を聞き、自分で判断できる範囲を持たせることが、仕事への主体性や意欲と関係するとされています。反対に、細かな指示や管理が続き、自分で決められることがほとんどないと、「自分で仕事を進めている」という感覚は弱くなってしまいます。
参考:Journal of Management Studies/Outcomes of Meaningful Work: A Meta-Analysis
参考:Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior/Self-Determination Theory in Work Organizations: The State of a Science

やらされ仕事が職場に広がるとどうなる?

自分で考えるより指示を待つ場面が増えれば、改善案や新しい提案も出なくなってしまいます。また、仕事の意味や自分の役割を感じられない状態が続くと、仕事への納得感や意欲が下がり、職場を離れたいという気持ちにつながることもあります。仕事の自律性や意味、動機づけと、エンゲージメントや離職意向との関連は、職場研究でも繰り返し報告されています。

「言われたことだけやる」が増える

やらされ仕事が続く職場では、自分で考えて動くよりも、「指示されたことだけを終わらせる」という働き方が定着していきます。
自分で判断できる範囲が限られていると、仕事の進め方を工夫したり、必要に応じて行動を変えたりする余地も少なくなります。その結果、「自分で考えて進める」よりも、「まず指示を待つ」「言われた範囲だけ対応する」といった受け身の働き方につながります。
自己決定理論では、自分で判断できる余地を持つことは「自律性」と呼ばれ、自律的な動機づけや仕事の成果、ウェルビーイングと関係するとされています。2026年に発表されたレビューでも、1,192本の研究を分析し、自律性などの基本的心理欲求や動機づけの質が、職場での行動や成果と関係する重要な要素として整理されています。

仕事への納得感や意欲が失われる

自分の仕事が何のために必要なのか分からず、進め方も細かく決められている状態が続けば、仕事を「自分が納得して取り組むもの」と感じられなくなります。
最初は意欲を持っていた社員でも、自分の考えを仕事に反映できず、指示どおりに進めることだけを求められていれば、「何のためにこの仕事をしているのか」という疑問を持つようになります。仕事そのものへの関心が薄れ、必要最低限のことだけをこなす働き方に変わる場合もあります。

離職意向につながることがある

仕事の意味を感じられず、自分の考えを反映する余地も少ない状態が続くと、仕事への納得感は薄れていきます。目の前の業務をこなしていても、「この仕事を続ける意味はあるのか」「この職場で働き続けたいのか」と考えるようになることもあります。
離職を考えるきっかけは、給与や勤務時間だけではありません。仕事に意味を感じられないことや、自分の判断や工夫を仕事に生かせないことも、転職や退職を考える理由になります。

仕事の意味に関するメタ分析では、仕事に意味を感じている人ほど、仕事満足度や組織へのコミットメントが高く、離職意向は低い傾向が確認されています。また、自己決定理論に関する研究では、仕事を「自分で選んで取り組んでいる」と感じられる人ほど、離職意向が低い傾向が報告されています。
参考:Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior/Self-Determination Theory in Work Organizations: The State of a Science

参考:PMC/Self-Determination Theory and Workplace Outcomes: A Meta-Analysis

企業が「やらされ仕事」を減らすためにできること

やらされ仕事を減らすには、社員本人の意識だけを変えようとするのではなく、仕事の任せ方や上司の関わり方を見直す必要があります。仕事の目的を伝え、自分で判断できる範囲を設け、結果だけでなく考え方や工夫にも目を向けることで、社員が自分の仕事として取り組める環境を構築することができます。また、ストレスチェックの集団分析を活用すると、部署ごとの仕事量や裁量、上司・同僚からの支援などを確認し、職場全体の問題を見直す手がかりになります。

指示するときに「なぜ必要か」まで伝える

仕事を依頼するときは、「何をしてほしいか」だけでなく、「なぜその仕事が必要なのか」まで伝えることが重要です。目的が分からないまま作業だけを任されると、社員は仕事の意味を理解できず、指示された内容をこなすことに終始してしまいます。

たとえば、顧客データの集計を依頼する場合でも、「来月の営業方針を考えるために、どの商品がどの顧客層に選ばれているのかを確認したい」と目的まで伝えれば、社員は必要なデータを選び、どのように整理すべきかを自分で考えることができます。また、自分の仕事がどの判断につながるのかを理解したうえで取り組むことができるようになります。
仕事の目的や意味を理解できることは、仕事への納得感や動機づけと関係します。職務設計に関する研究でも、自分の仕事に意味を感じられることは、仕事への満足度や意欲、成果と関係する重要な要素として整理されています。

任せる範囲と本人が決められる範囲を明確にする

仕事を任せても、進め方まで上司が細かく決めてしまうと、社員は自分で考える余地を持てません。したがって、何を任せるのかだけでなく、どこまで本人の判断に委ねるのかを明確にすることが重要です。

たとえば、営業企画の作成を任せる場合、予算や提出期限、最終的に盛り込むべき項目は上司が示し、情報の集め方や分析方法、資料の構成は担当者に任せます。すべてを自由にするのではなく、守るべき条件と本人が決めてよい部分を分けて伝えることで、担当者は自分で考えながら仕事を進めることができるようにあります。

職場研究では、仕事上の自律性は、動機づけや仕事の成果、ワーク・エンゲージメントなどと関連することが報告されています。自己決定理論でも、自分で判断できる余地を持つことは、自分の意思で仕事に取り組むための重要な要素とされています。

結果だけでなく、考え方や工夫も確認する

仕事の結果だけを見て評価していると、社員がどのように考え、どのような工夫をしたのかが評価されなくなってしまいます。

たとえば、営業担当者が新しい提案資料を作成した場合には、上司が売上や受注の結果だけを確認するのではなく、「顧客の課題を踏まえて、前回の資料からどこを変えたのか」「なぜこの提案内容にしたのか」と仕事の進め方についても聞きます。
フィードバックに関する研究では、単に結果を伝えるだけでなく、仕事の進め方や判断に関する具体的な情報を示すことが重要だとされています。上司が「できた・できなかった」だけで評価を終えるのではなく、社員がどのように考え、どこを工夫したのかまで確認することで、本人の判断や取り組み方も評価することができます。

ストレスチェックの集団分析から職場の負担を見直す

やらされ仕事が続き、自分で仕事の進め方を決められない状態が続くと、心理的な負担につながることがあります。仕事の裁量が少ないことや、上司からの支援が十分でないことは、職場のストレスと関係する要因として研究でも指摘されています。

こうした負担が個人だけに生じているのか、それとも部署全体に共通しているのかを確認する際に役立つのが、ストレスチェックの集団分析です。
集団分析では、部署や職場ごとに、仕事の量的負担、仕事のコントロール、上司の支援、同僚の支援などを確認することができます。たとえば、「仕事量は多いのに、自分で進め方を決められる範囲が狭い」「上司から十分な支援を受けられていない」といった傾向が見えれば、仕事の任せ方やマネジメントを見直す手がかりになります。

集団分析では、仕事の量や裁量、上司・同僚からの支援といった項目を部署ごとに確認することができます。こうした結果を、残業時間や休業者数、現場から寄せられた意見などと照らし合わせることで、どの部署にどのような負担が集中しているのかを整理することができ、仕事の任せ方や職場の支援体制を見直す材料として活用できます。
参考:Motivation and Emotion/Leader autonomy support in the workplace: A meta-analytic review
参考:Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior/Self-Determination Theory in Work Organizations: The State of a Science
参考:Journal of Applied Psychology/Integrating Motivational, Social, and Contextual Work Design Features: A Meta-Analytic Summary and Theoretical Extension of the Work Design Literature

 

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しています。
また、無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下である「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場でも実施義務化が進むため、早めの準備が大切です。
導入や運用については、ぜひお気軽にご相談ください。

ストレスチェック導入のご相談はこちら

 

まとめ

やらされ仕事が続く背景には、仕事の目的が共有されていないこと、自分で判断できる範囲が少ないこと、上司から一方的な指示が続くことなどがあります。こうした状態が続くと、「言われたことだけやる」という働き方が増え、改善案や新しい提案が出なくなってしまいます。また、仕事への納得感や意欲が低下し、離職意向につながることもあります。
やらされ仕事が続いている職場では、仕事量や裁量、上司・同僚からの支援といった職場環境にも目を向ける必要があります。ストレスチェックの集団分析を活用すれば、こうした項目を部署ごとに確認することができます。結果をもとに、仕事の任せ方や上司の関わり方に偏りがないかを見直すことで、社員が主体的に働ける職場づくりにつなげることができます。

ストレスチェッカーは、官公庁・上場企業・医療機関などで採用されている国内最大級のストレスチェックツールです。自動リマインド、面接指導者管理、進捗確認機能を標準搭載し、2025年5月からは無料プランでも「プレゼンティーイズム(生産性低下)」の測定に対応しております。
導入方法や実施方法など、お気軽にお問い合わせください。

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