
プレイングマネージャーとは、自らも現場の担当者として業務を行いながら、チームの目標管理や部下の育成、業務調整などのマネジメントも担う管理職です。
この記事では、プレイングマネージャーの役割や広がった背景、課題、企業側がプレイングマネージャーの負担を減らすためにできることについて解説します。
目次
プレイングマネージャーとは
プレイングマネージャーとは、自らも現場の仕事を担当しながら、チームの目標管理やメンバーの育成、業務の調整など、管理職としての役割も担う人を指します。マネジメントを中心に行う管理職とは異なり、プレイヤーとして自分の担当業務を持ち、さらにチーム全体の成果にも責任を持つ点が大きな違いです。
リクルートワークス研究所が2019年に現役のマネージャー2,183人を対象に実施した調査では、87.4%が、このプレイングマネージャーに該当しました。さらに、リクルートマネジメントソリューションズが2026年に実施した調査でも、多くの管理職がマネジメント業務に加えてプレイヤー業務を担っていることされています。
参考:リクルートワークス研究所/新しいプレイングマネジャーの働き方
参考:リクルートマネジメントソリューションズ/マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026
プレイヤーとして自分の業務を担当する
プレイングマネージャーは、管理職でありながら、自分自身もチームの一員として現場の実務を担当します。このように、管理職自身が行う営業、開発、企画などの実務を「プレイング業務」と呼びます。
たとえば営業職であれば顧客対応や商談、開発職であれば設計やコーディング、企画職であれば企画立案や資料作成などがプレイング業務にあたります。
ただし、プレイヤーとして担当する仕事が多くなると、目標管理やメンバーの育成、業務調整など、管理職としての仕事に充てる時間が限られます。
リクルートワークス研究所の2019年調査では、プレイング業務の割合が20~30%の層でチーム成果の指標が最も高く、それより割合が高くなるにつれて低下する傾向が確認されています。
参考:リクルートワークス研究所/プレイングマネジャーの時代
チームの目標と業務を管理する
プレイングマネージャーには、自分の担当業務だけでなく、チーム全体で何を達成するのかを決め、そのために必要な仕事を整理してメンバーに割り振る役割があります。
目標を設定した後は、進捗を確認し、予定どおり進んでいない業務があれば原因を確認します。仕事が一部のメンバーに偏っている場合には担当を見直し、優先順位を変更するなど、チーム全体が目標に向かって仕事を進められるよう調整します。
リクルートワークス研究所では、こうした一連の流れを「ジョブ・アサインメント」として整理しています。チームの目標を具体的な仕事に分け、誰に何を任せるかを決め、仕事が完了するまで支援することが、マネージャーの重要な役割とされています。
参考:リクルートワークス研究所/ジョブ・アサインメントモデルのすべて
メンバーを育成・支援する
メンバーの育成や支援も、プレイングマネージャーの重要な役割です。単に仕事のやり方を教えるだけではなく、一人ひとりの経験や能力を確認し、現在の力量だけでなく今後の成長も考えながら仕事を任せます。
たとえば、これまで経験していない業務を任せる場合には、目的や求める成果を説明し、必要なところでは途中で助言します。仕事が終わった後には、結果だけでなく、うまくできた点や改善すべき点をフィードバックすることも育成の一部です。
また、1on1や面談を通して、現在抱えている業務上の悩みや今後身につけたい能力について確認することもあります。
リクルートワークス研究所は、仕事の割り振りを単なる業務分担ではなく、チームの業績達成とメンバーの成長を同時に進めるためのマネジメントとして位置づけています。誰にどの仕事を任せるかを考えること自体が、人材育成にもつながります。
参考:リクルートワークス研究所/ジョブ・アサインメントスキルがマネジャーを変える
参考:リクルートマネジメントスクール/部下の成長につながる「1on1」の進め方研修セミナー
経営層と現場をつなぐ
プレイングマネージャーには、経営層や上位管理職が示した方針を理解し、現場で実行できるように具体的な業務や行動へ落とし込む役割もあります。
たとえば、会社から「既存顧客との取引を拡大する」という方針が示された場合、そのままメンバーに伝えるだけでは実際の行動にはつながりません。そこで、プレイングマネージャーが、どの顧客を重点的に担当するのか、何を提案するのか、誰が担当するのかといった形まで具体化する必要があります。
反対に、現場で起きている問題を上位層へ伝えることも管理職の役割です。人員が足りない、予定していた業務量では期限に間に合わない、顧客から新たな要望が出ているといった情報を整理し、必要に応じて方針や優先順位の見直しを求めます。
プレイングマネージャーは、自ら現場の業務を担当しているため、日々の仕事を通じて、現場の課題やメンバーの状況を把握することができます。そうした状況を踏まえながら、経営層や上位管理職の方針を具体的な業務に落とし込み、必要に応じて現場の課題や意見を上位層へ伝えることが大切です。
参考:リクルートワークス研究所/「管理のマネジメント」からの卒業と「オーダーメイド型のマネジメント」
プレイングマネージャーが広く見られる背景
日本企業では、管理職がマネジメントに専念するのではなく、自らも現場の実務を担うケースが広く見られます。その背景には、管理職にもプレイヤーとしての役割が残っていることに加え、管理職に求められる仕事の範囲が広がっていること、管理職候補となる人材の確保が課題になっていることなどがあります。
管理職にも現場の成果が求められている
プレイングマネージャーが広く見られる背景には、管理職になった後も、マネジメントだけでなく、現場の実務を担って成果を出すことを求められる職場が多いことが挙げられます。
その理由のひとつが、現場の人手やスキルの不足です。管理職としては、チームの目標管理やメンバーの育成に時間を使う必要がありますが、現場の人員に余裕がなかったり、専門的な業務を任せられる人材が十分に育っていなかったりすると、管理職自身も実務を担当することになります。
たとえば営業部門では、チーム全体の売上を管理しながら、自分自身も重要な顧客を担当する管理職がいます。技術部門でも、メンバーの進捗を管理しながら、高度な知識や経験が必要な開発や設計を自ら担当するケースがあります。
リクルートマネジメントソリューションズが2026年に行った調査では、管理職がプレイヤー業務を行う理由として、「メンバーに知識・スキルが不足しており仕事を一任できない」「メンバーに時間的な余裕がなく仕事を一任できない」といった回答が上位に挙げられています。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ/マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026
管理職を担う人材が不足している
管理職を担う人材の確保も、多くの企業で課題となっています。
リクルートマネジメントソリューションズが2026年に人事担当者と管理職を対象として行った調査では、人事担当者が感じている管理職の課題として、「管理職候補が不足している」が上位に挙がりました。また、管理職候補の育成や選抜に関する課題では、「課長・マネジャーになりたいという社員が減っている」が最も多い回答となっています。
同社が別に行った2026年の調査でも、一般社員のうち「管理職になりたい」「どちらかといえばなりたい」と回答した人は2割弱にとどまり、6割以上が管理職になることに否定的な回答をしています。その理由として、責任や業務負荷への懸念などが挙げられました。
管理職候補の不足とプレイングマネージャーの増加について、直接的な因果関係まで確認されているわけではありません。ただし、管理職を担う人材を確保・育成することが難しくなっている現状は、一人ひとりの管理職の役割や業務量を考えるうえで無視できない問題です。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ/マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026
参考:リクルートマネジメントソリューションズ/管理職と一般社員、双方の意向から探る持続可能な管理職
プレイングマネージャーが抱える課題
プレイングマネージャーは、自分自身も現場の仕事を担当しながら、チームの目標管理やメンバーの育成、評価なども行います。そのため、担当する仕事の範囲が広くなり、限られた時間の中でプレイヤー業務とマネジメント業務の両方に対応しなければなりません。また、自分自身の成果とチーム全体の成果のどちらも求められることで、評価や労働時間の面でも課題が生じます。
プレイヤー業務と管理業務で仕事量が増える
プレイングマネージャーは、自分の担当業務に加えて、チームの進捗管理やメンバーの育成、評価、他部署との調整なども担います。
たとえば、自分の顧客対応や資料作成を進めながら、部下からの相談に対応し、会議に参加し、評価面談の準備も行うといった状況です。それぞれは必要な業務でも、同時に抱えることで一人あたりの負担は大きくなります。
リクルートマネジメントソリューションズが2026年に行った調査でも、人事担当者が感じている管理職の課題として、「管理職の仕事の増加や期待の高まりにより、負担が大きくなっている」ことが上位に挙げられています。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ/マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026
参考:リクルートワークス研究所/マネジャーのケア行動はなぜ不可欠になったのか
マネジメントに使える時間が不足する
プレイングマネージャーには、仕事量だけでなく、マネジメントに使える時間が限られるという課題もあります。
自分が担当する顧客対応や資料作成、開発業務などには、締め切りや納期があります。一方、メンバーとの面談や育成、チーム内の課題を整理する時間は、目の前の締め切りがある仕事に比べると後回しになってしまうことがあります。
その結果、メンバーとの対話や育成、進捗確認などに十分な時間を使えず、管理職として本来行うべき仕事が滞る場合があります。
リクルートマネジメントソリューションズの2026年調査でも、プレイヤー業務を担当している管理職が多く、マネジメント業務に十分な時間を確保できていない状況が示されています。リクルートワークス研究所の調査でも、自分自身の営業活動や社内への報告業務によって、部下への指導時間が十分に取れないという管理職の声が紹介されています。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ/マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026
参考:リクルートワークス研究所/部下の指導時間を妨げているものは何か
プレイヤーと管理職の評価基準が曖昧になる
プレイングマネージャーは、プレイヤーとしての成果と、管理職としての成果の両方を求められます。そのため、何をどの程度評価するのかが明確でないと、本人にとっても評価の基準が分かりづらくなってしまいます。
たとえば営業部門では、自分自身の売上が高くても、部下の育成やチーム全体の成果が十分でない場合があります。反対に、自分の売上はそれほど大きくなくても、メンバーを育て、チーム全体の成果を伸ばしている管理職もいます。
どちらを重く評価するのかが曖昧なままだと、プレイングマネージャー自身が何を優先すべきか判断に迷う原因になります。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ/マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2023年
長時間労働や残業管理にも注意が必要になる
プレイングマネージャーは、自分自身の実務とマネジメント業務の両方を担うため、仕事量が多くなり、労働時間が長くなることがあります。
労働政策研究・研修機構が管理職を対象に行ったヒアリング調査でも、管理職はプレイングマネージャーとして自分の担当業務を持っているケースが多く、そこに部下の管理や業務調整などが加わることで、多忙になり、労働時間も長くなる傾向が確認されています。
ここで人事担当者が区別しておきたいのが、「管理者・管理職」と、労働基準法上の「管理監督者」です。
企業では、課長や部長、マネージャーなどを「管理職」や「管理者」と呼ぶことがあります。しかし、こうした社内での役職や呼び方だけで、労働基準法上の管理監督者に該当するわけではありません。
労働基準法上の管理監督者とは、労働条件の決定や労務管理について、経営者と一体的な立場にある人を指します。該当するかどうかは、肩書ではなく、実際にどのような仕事をしているのか、どの程度の責任や権限を持っているのか、自分の出退勤や労働時間をどの程度自分で決められるのか、その立場に見合った待遇を受けているのかといった点から総合的に判断されます。
そのため、たとえば「課長」という肩書が付いていても、重要な意思決定を行う権限がなく、勤務時間も一般社員と同じように管理されている場合には、管理監督者に該当しないことがあります。
管理監督者に該当しないプレイングマネージャーには、一般の労働者と同じように労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されます。法定労働時間を超えて働かせた場合などには、時間外労働や休日労働に対する割増賃金も必要です。
一方、管理監督者に該当する場合は、労働基準法上の労働時間、休憩、休日に関する規定の適用対象外となります。ただし、深夜労働に対する割増賃金まで対象外になるわけではありません。
プレイングマネージャーは、肩書上は管理職であっても、実際には一般社員と同じように現場の仕事を多く担当しているケースがあります。長時間労働の問題を考える際には、「管理職だから残業代は必要ない」と一律に判断せず、実際の職務内容や権限、働き方を確認することが重要です。
参考:労働政策研究・研修機構/管理職ヒアリング調査結果―管理職の働き方と職場マネジメント―
参考:厚生労働省 確かめよう労働条件/管理監督者
参考:厚生労働省 確かめよう労働条件/時間外・休日労働と割増賃金
プレイングマネージャーの負担を減らす方法
プレイングマネージャーの負担を減らすには、本人の時間管理や仕事の進め方だけに任せるのではなく、会社側が役割や業務量を見直す必要があります。どこまでプレイヤー業務を担当するのかを整理し、メンバーに任せられる仕事は委譲することも重要です。また、評価制度や上司・人事からの支援を整え、管理職だけで問題を抱え込まない体制をつくることも求められます。
プレイヤー業務の割合を決める
プレイングマネージャーの負担を減らすには、まず、プレイヤーとしてどの程度の業務を担当するのかを会社側で明確にしておくことが重要です。
最初に、顧客対応や営業、開発、資料作成などのプレイヤー業務に、本人が実際にどのくらいの時間を使っているのかを確認します。そのうえで、目標管理や部下との面談、育成、評価、業務調整など、管理職として必要な業務に使う時間を確保します。プレイヤー業務については、管理職として必要な業務に使う時間を確保したうえで、無理のない範囲に調整します。
たとえば、1on1や進捗確認、評価面談の準備などに使う時間までプレイヤー業務で埋まっている場合は、担当顧客を減らす、案件の一部をメンバーへ引き継ぐ、定型的な業務を別の担当者へ任せるなど、実務の量を見直す必要があります。
リクルートワークス研究所が管理職2,183人を対象に行った調査では、プレイング業務の割合が20%以上30%未満の層でチーム成果の指標が最も高く、それより割合が高くなるにつれて、全体としてチーム成果が低下する傾向が確認されています。
この数値を一律の基準にする必要はありませんが、プレイヤー業務の割合が大きくなりすぎていないかを確認する目安にはなります。重要なのは、本人の頑張りに任せるのではなく、マネジメントに必要な時間を確保したうえで、担当する実務の量を会社側でも調整することです。
参考:リクルートワークス研究所/プレイングマネジャーの時代
業務を棚卸ししてメンバーへ権限を委譲する
プレイングマネージャーの負担を減らすには、現在抱えている仕事を一度すべて洗い出し、「自分が担当すべき仕事」と「メンバーに任せられる仕事」を分けることが重要です。
たとえば、最終的な意思決定や評価、他部署との重要な調整などは管理職が担う一方で、定型的な資料作成や進捗確認、一定範囲の顧客対応などは、メンバーへ任せます。また、以前から続いている業務でも、目的が曖昧になっていたり、現在は必要性が低くなっていたりするものは、続ける前提で考えず廃止や簡素化も検討します。
リクルートワークス研究所のジョブ・アサインメントモデルでも、目標達成に必要な仕事を洗い出し、不要な仕事を整理したうえで、誰に何を任せるかを決めることが示されています。
なお、仕事を任せる際は、作業だけを渡すのではなく、必要な判断権限も合わせて委譲することが大切です。たとえば、「この金額までは本人の判断で進めてよい」「この段階になったら上司に相談する」といった範囲をあらかじめ決めておきます。
仕事だけを任せて判断権限を残したままにすると、細かな確認がその都度マネージャーに戻り、負担を減らすことができなくなってしまいます。業務の担当者と判断できる範囲をセットで決めることで、マネージャーへの確認を減らし、メンバー自身も仕事を進めることができるようになります。
参考:リクルートワークス研究所/ジョブ・アサインメントモデルの全貌(1)目標設定
参考:リクルートワークス研究所/ジョブ・アサインメントモデルの全貌(2)職務分担
プレイヤー業務とマネジメント業務を分けて評価する
プレイングマネージャーにプレイヤーと管理職の両方の役割を求めるのであれば、評価についても、それぞれを分けて考える必要があります。
たとえば営業部門では、本人の売上や受注件数だけを重く評価すると、プレイヤーとして自分の成果を上げることが優先されがちです。しかし、管理職には、自分で成果を出すことだけでなく、チーム全体の目標を達成することや、メンバーを育成すること、仕事が一部の人に偏らないように調整することなども求められます。
そのため、評価項目を「プレイヤーとしての成果」と「マネージャーとしての成果」に分け、それぞれ何を評価するのかを明確にしておくことが大切です。たとえば、プレイヤーとしては売上や担当案件の成果、マネージャーとしてはチーム目標の達成状況、部下の育成、業務配分や組織運営などを確認する方法があります。
また、二つの役割をどの程度の比重で評価するのかも重要です。会社がプレイヤー業務を多く求めているにもかかわらず、評価ではマネジメント成果だけを重く見ると、本人に求める役割と評価基準が一致しません。反対に、管理職としての役割を期待しながら、個人の売上や案件数ばかりを評価する場合も同じです。
管理職だけに問題解決を任せない
プレイングマネージャーの負担を減らすには、職場で起きている問題を、管理職本人の工夫や努力だけで解決させないことも重要です。
たとえば、人員が足りず一部のメンバーに仕事が集中している、複数の部署から急な依頼が重なっている、欠員が続いているため育成の時間を確保できないといった問題は、管理職が仕事の進め方を工夫するだけでは解決することはできません。人員配置や業務量、部署間の役割分担など、会社側で見直さなければ変えられない問題も多々あります。
そのため、人事や上位管理職が定期的に状況を確認し、管理職だけでは解決できない問題を切り分けることが大切です。
たとえば、慢性的に業務量が多いのであれば人員配置や仕事の分担を見直す、他部署からの依頼が集中しているのであれば部署間で優先順位や役割を調整するなど、組織側で対応します。
また、管理職が一人で判断に迷ったときに、上司や人事、ほかの管理職へ相談できる場を用意することも負担の軽減につながります。
リクルートマネジメントソリューションズの2026年調査では、実際に企業で行われている支援で評価されている支援のひとつとして、「管理職同士がマネジメントについて意見交換する場」が挙げられています。
また、現在は十分に行われていないものの、今後必要だと考えられている支援では、「マネジメント業務の負荷を軽減するための取り組み」が最も多く挙げられました。管理職同士が相談できる場を設けることに加えて、業務量そのものを減らす支援も求められていることが分かります。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ/マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026
参考:リクルートワークス研究所/マネジャーを誰が支えるのか―組織における支援の実態と効果
ストレスチェックの集団分析を職場改善に活用する
プレイングマネージャーの負担を減らすには、本人への聞き取りだけでなく、ストレスチェックの集団分析を使って、職場全体の仕事量や支援体制を確認する方法もあります。
ストレスチェックの集団分析とは、部署や課など一定の集団ごとに結果を集計し、その職場でどのようなストレス要因が生じているのかを確認するために行います。
たとえば「職業性ストレス簡易調査票」を用いた仕事のストレス判定図では、「仕事の量的負担」「仕事のコントロール」「上司の支援」「同僚の支援」などから、職場の健康リスクを確認することができます。
プレイングマネージャーの負担を考える場合には、こうした結果を労働時間や担当業務、人員配置などと合わせて見ることが重要です。
たとえば、ある部署で仕事の量的負担が高く、プレイングマネージャーの時間外労働も長い場合には、まず実際の仕事の配分を確認します。本人が担当顧客や案件を多く抱えているうえに、部下の育成や評価、他部署との調整まで集中しているのであれば、プレイヤー業務の量やチーム内の役割分担を見直す必要があります。
また、「仕事のコントロール」が低い場合には、管理職という立場でありながら、自分で仕事の優先順位や進め方を決められる範囲が限られていないかを確認します。上位管理職や他部署からの依頼を断れず、次々と仕事が追加されているのであれば、本人の時間管理ではなく、依頼のルールや優先順位の決め方を見直す必要があります。
「上司の支援」や「同僚の支援」が低い職場では、プレイングマネージャーが問題を一人で抱えていないかも確認します。上位管理職が業務量を調整する、ほかの管理職へ相談できる場を設ける、繁忙時には他部署から応援を出すなど、周囲から支援できる体制を検討します。
厚生労働省も、集団分析の結果だけで判断するのではなく、部署の業務内容や労働時間などの情報と合わせて評価し、職場環境の改善につなげることを示しています。改善例としては、勤務時間や職場体制の見直し、作業手順の変更、職場内の相互支援体制の見直し、人事制度の見直しなどが挙げられています。
参考:厚生労働省 こころの耳/仕事のストレス判定図
参考:厚生労働省/ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策
まとめ
プレイングマネージャーは、自ら現場の実務を担当しながら、チームの目標管理やメンバーの育成、評価なども担う管理職です。日本企業では広く見られる働き方ですが、プレイヤー業務とマネジメント業務の両方を抱えることで、仕事量の増加や時間不足、評価の分かりにくさ、長時間労働といった課題が生じることがあります。
負担を減らすには、本人の時間管理だけに任せるのではなく、会社側がプレイヤー業務の割合を整理し、業務の棚卸しや権限委譲、評価制度の見直しを行うことが重要です。また、人員不足や業務量の偏りなど、管理職本人では解決できない問題については、人事や上位管理職が対応する必要があります。
ストレスチェックの集団分析も、仕事の量や裁量、上司・同僚からの支援など、職場全体の状況を確認する材料になります。プレイングマネージャー本人の問題として捉えるのではなく、業務量や人員配置、支援体制を含めて職場の仕組みを見直すことが、負担の軽減につながります。
ストレスチェッカーは、官公庁・上場企業・医療機関などで採用されている国内最大級のストレスチェックツールです。自動リマインド、面接指導者管理、進捗確認機能を標準搭載し、2025年5月からは無料プランでも「プレゼンティーイズム(生産性低下)」の測定に対応しております。
導入方法や実施方法など、お気軽にお問い合わせください。

