
コーヒーナップとは、コーヒーなどでカフェインを摂取したあとに、15~20分ほどの短い仮眠を取る休息法です。短時間の仮眠には眠気を和らげる働きがあり、さらにカフェインが眠気に関わるアデノシンの受容体を遮断することで、目覚めた後の眠気を抑え、覚醒状態を保ちやすくなると考えられています。
この記事では、コーヒーナップの仕組みや期待できる作用、基本的なやり方、実践する際の注意点を分かりやすく解説します。
目次
コーヒーナップとは
コーヒーナップとは、コーヒーなどでカフェインを摂取したあとに、15~20分程度の短い仮眠を取る休息方法です。短時間の仮眠には眠気を和らげたり、一部の作業成績を改善したりする働きが報告されています。さらに、仮眠前にカフェインを摂取することで、目覚めた後の眠気を抑え、覚醒状態を保てる可能性があります。
カフェインは、眠気や睡眠の調節に関わるアデノシンが脳内の受容体に作用するのを妨げることで、覚醒作用をもたらします。そのため、午後の仕事中などに眠気を感じた際の休息方法として注目されています。
参考:PubMed/Suppression of sleepiness in drivers: combination of caffeine with a short nap
参考:PubMed/The recuperative value of brief and ultra-brief naps on alertness and cognitive performance
参考:PubMed/The role of adenosine receptors in the central action of caffeine
参考:PubMed/Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed
飲む量はコーヒー1杯程度
コーヒーナップで飲むコーヒーは、1杯程度が目安えす。食品安全委員会の資料では、一般的なコーヒーのカフェイン量は100ml当たり約60mgで、150~200mlなら約90~120mgです。ただし、豆の種類や抽出方法、商品によって含有量は異なります。
カフェインを過剰に取ると、動悸や緊張感、不眠などが現れる場合があるため、普段の摂取量や体質を踏まえて調整することが大切です。短時間の仮眠とカフェインの併用による眠気の軽減は研究で報告されていますが、適量には個人差があります。
仮眠時間は15~20分程度が目安
コーヒーナップの仮眠時間は、15~20分程度が目安です。短時間の仮眠には、午後の眠気や疲労感を和らげ、注意力や作業能力の回復を助ける効果が報告されています。一方、仮眠が長くなると深い睡眠に移行する場合があり、起床直後に頭がぼんやりしたり、判断力や反応速度が一時的に低下したりする「睡眠慣性」が現れることがあります。
また、カフェインの作用が現れ始める時刻にも個人差があります。仮眠前にコーヒーを飲み、15~20分程度で起きることで、短時間の仮眠による休息効果とカフェインの覚醒作用が重なり、目覚めた後の眠気が軽減される可能性があります。長い昼寝は夜間の睡眠に影響することもあるため、仕事中に取り入れる場合はタイマーを設定し、短時間で切り上げることが大切です。
コーヒーナップで眠気が軽減される仕組み
コーヒーナップで眠気が軽減されるのは、短時間の仮眠とカフェインの作用が重なるためです。覚醒時間が長くなると、脳内では睡眠圧に関わるアデノシンの働きが強まり、眠気が生じます。15~20分程度の仮眠は、眠気や注意力の低下を和らげると報告されています。
さらに、カフェインはアデノシン受容体に結合し、眠気を促す作用を妨げます。仮眠前にコーヒーを飲むことで、目覚めた後の眠気の軽減が期待できます。
カフェインがアデノシン受容体の働きを妨げる
アデノシンは、細胞のエネルギー代謝と関係して生じ、睡眠と覚醒の調節に関わる物質です。動物を対象とした研究では、長く覚醒していると脳の一部で細胞外のアデノシン濃度が上昇し、睡眠中には低下することが確認されています。こうした知見から、アデノシンは睡眠欲求が高まる仕組みに関わる物質の一つと考えられています。
ただし、15~20分程度の短い仮眠を取ることで、脳内のアデノシンが急速に分解・除去されると確認されているわけではありません。短時間仮眠については、眠気を軽減し、日中の覚醒水準を保ったり、一部の課題成績を維持・改善したりすることが報告されています。
コーヒーナップでは、こうした短時間仮眠による休息に、カフェインの覚醒作用を組み合わせます。カフェインはアデノシンそのものを減らすのではなく、主にアデノシン受容体に作用し、アデノシンの働きを妨げます。
参考:J-STAGE/午後の眠気対策としての短時間仮眠
コーヒーナップに期待できる効果
コーヒーナップには、午後に生じる眠気やだるさを和らげ、集中力や作業効率の回復を助ける効果が期待できます。短時間の仮眠だけでも、覚醒度や注意力、認知課題の成績が改善したとの報告があります。
さらに、仮眠前にカフェインを摂取した研究では、仮眠のみの場合などと比べ、起床後の主観的な眠気や作業成績が改善したとの報告もあります。
効果の大きさには、睡眠不足の程度や体質、カフェインの摂取習慣などによる個人差がありますが、コーヒーナップは一時的な眠気への対策として試す価値はあります。
参考:PubMed/短時間仮眠後のカフェインによる覚醒効果に関する研究
参考:PubMed/カフェインと短時間仮眠による運転中の眠気抑制に関する研究
午後の眠気やだるさを和らげる
コーヒーナップは、午後に感じる眠気への対策として活用できます。人は昼食を取ったことだけが原因ではなく、体内時計などの影響によって、午後に眠気が強くなったり、作業のパフォーマンスが低下したりすることがあります。こうした午後の一時的な眠気や覚醒度の低下は、「ポストランチ・ディップ」と呼ばれることがあります。
短時間の仮眠については、15~20分程度でも主観的な眠気が軽減し、覚醒水準の維持や一部の課題成績に良い影響を与えることが報告されています。さらに、健康な若年成人を対象に、カフェインを摂取してから20分間の仮眠を取った小規模研究では、仮眠のみの場合などと比べて、起床後の眠気やパフォーマンスの指標でより良好な結果が示されました。
ただし、コーヒーナップをすれば誰でも目覚めた直後から集中力が高まるとは限りません。仮眠の長さや時間帯、もともとの睡眠不足の程度、カフェインへの反応などによっても違いがあります。コーヒーナップは日中の一時的な眠気に対処する方法の一つであり、日常的な睡眠不足を短い仮眠やカフェインだけで補えるわけではありません。
参考:J-STAGE/午後の眠気対策としての短時間仮眠
参考:PubMed/The effects of a 20-min nap before post-lunch dip
コーヒーナップのやり方と注意点
コーヒーナップでは、コーヒーを飲んだ後、時間を空けずに15~20分程度の仮眠を取ります。あらかじめタイマーを設定し、長時間眠らないことがポイントです。カフェインの作用が現れる時間には個人差がありますが、目覚める頃に覚醒作用が重なることで、眠気の軽減が期待できます。
ただし、夕方以降のカフェイン摂取は夜の睡眠に影響する可能性があります。コーヒー以外の茶類やエナジードリンクなどに含まれる量も含め、過剰摂取を避け、体質や普段の摂取量に合わせて調整しましょう。
コーヒーを飲んだら時間を空けずに仮眠する
コーヒーナップでは、コーヒーを飲み終えたら、時間を空けずに15~20分程度の仮眠に入ります。カフェインは摂取後すぐに最大の作用が現れるわけではなく、一般に血中濃度がピークに達するまで30~60分程度かかります。そのため、カフェインの吸収が進む時間を利用して短く眠り、仮眠による休息と、目覚めた頃から現れるカフェインの覚醒作用を組み合わせるのが基本的な考え方です。
ただし、カフェインが吸収される速さや作用の現れ方には個人差があります。摂取方法によっても違いがあるため、「飲んで20分後に必ず効く」「10分ほど時間を空けると眠れなくなる」といった決まった時間があるわけではありません。
カフェインを摂取してから20分程度の仮眠を取った研究では、仮眠だけの場合などと比べて、起床後の主観的な眠気やパフォーマンスの指標でより良好な結果が報告されています。また、日本の小規模研究でも、カフェインを含むコーヒーを飲んだあとに短時間仮眠を取る方法が検討されています。
実践する際は、コーヒーを無理に一気飲みする必要はありません。飲み終えたあとにスマートフォンを見たり作業を続けたりせず、タイマーを設定してそのまま休める状態をつくるとよいでしょう。
参考:J-STAGE/午後の眠気対策としてのコーヒーナップの効果
夕方以降やカフェインの過剰摂取を避ける
コーヒーナップを行う際は、実践する時間帯とカフェインの摂取量に注意しましょう。カフェインの代謝速度には個人差がありますが、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、日本人の血中半減期はおおむね3~7時間とされています。夕方以降に摂取すると、就寝時刻になっても体内にカフェインが残り、寝つきや睡眠時間、深い睡眠などに影響する可能性があります。
そのため、「午後3時まで」などと一律に時間を決めるより、普段の就寝時刻やカフェインへの反応を考えながら、遅い時間帯のコーヒーナップを避けることが大切です。厚生労働省も、良質な睡眠を確保するため、カフェインの摂取量を減らすとともに、夕方以降はカフェインを含む飲食物を控えることを勧めています。
また、カフェインを過剰に摂取すると、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢、吐き気などが現れることがあります。欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な一般成人について、1回200mgまで、1日を通して400mgまでのカフェイン摂取であれば、安全上の懸念は生じないと評価しています。ただし、これは誰にでも適した摂取量を示すものではなく、カフェインへの反応には個人差があります。
コーヒーだけでなく、茶類やエナジードリンクなどにもカフェインは含まれています。コーヒーナップを取り入れる場合は、その日に摂取したカフェイン全体を考え、飲み過ぎないようにしましょう。
参考:厚生労働省/健康づくりのための睡眠ガイド2023
参考:厚生労働省/食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A
参考:欧州食品安全機関(EFSA)/Caffeine
まとめ
コーヒーナップとは、コーヒーを飲んだ後に15~20分程度の短い仮眠を取る休息法です。仮眠による休息効果とカフェインの覚醒作用が重なることで、午後の眠気やだるさを和らげ、集中力や作業能力の回復を助ける効果が期待できます。実践する際は、コーヒーを飲んだら時間を空けずに仮眠を始め、タイマーを設定して長時間の睡眠を避けましょう。
なお、コーヒーナップは気や疲労への対策として活用できますが、慢性的な睡眠不足や強いストレスを解消するものではありません。ストレスチェックの結果なども参考にしながら、睡眠時間や仕事の進め方、休憩の取り方を見直すことが大切です。
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