適応障害とは?|症状や原因・うつ病との違い

適応障害とは、生活上の重大な変化や強いストレスに対して個人の対応能力を超えた際に発症するメンタルヘルス疾患です。
不安、抑うつといった情緒的な障害、あるいは無断欠勤、無謀運転といった行動上の障害を引き起こすのが主な症状です。

うつ病や不安障害に該当するほど重篤な症状ではなく、ストレッサーの発生から1~3カ月以内に発症することが多く、通常症状は6カ月以上は続かないと言われています。

適応障害とは

適応障害についてICD(世界保健機構の診断ガイドライン)では、「ストレスが原因で引き起こされる情緒面や行動面の症状」で、「社会的機能が著しく障害されている状態」と定義しています。また、「発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結して6カ月以上症状が持続することはない」とされています。

適応障害は、ある特定の状況や出来事(仕事、人間関係など)に負担を感じ、うまく状況に適応せずに行動や心境に支障が出ますがストレスとなる状況や出来事が改善されたり解消されたりすれば、症状はしだいに改善していきます。

しかし、ストレスが改善・解消されずに慢性的に存在すると、適用障害の症状も慢性化してしまいます。環境の変化に本人が耐えられるうちはいいですが、それを苦痛に感じてしまい健康な生活ができなくなると、それはメンタルヘルス疾患の範疇に入ります。その意味では、適応障害は病気と健康の境目にある状態ということができるでしょう。

(1)適応障害の6つの主な症状

適応障害はこれといった特有の症状があらわれるわけではないことから、診断が大変難しい疾患です。ただしよくある症状として挙げられるのは、以下の6つです。

①抑うつ気分
憂うつ感や絶望感を感じて、感情をコントロールできなくなることがありますが、うつ病ほど強い症状ではありません。
思考力、集中力、判断力の低下が見られることがあります。

②不安感
漠然とした不安感や神経過敏などの症状から、呼吸困難に陥ることがあります。不安症と診断されるほど強い症状ではありません。

③抑うつ気分と不安感の混合
まず身体の不調を感じてその後心の不調を感じた場合には、抑うつ気分と不安感の混合タイプの適応障害が見られることがあります。

④社会機関や規則の違反行為
無謀な運転や無断欠勤など、規則違反などの行動が見られることがあります。

⑤身体的愁訴
発刊やめまい、動悸、呼吸困難、腹痛、便秘、下痢などの身体的愁訴があらわれることがあります。

⑥引きこもり
大人の場合は転勤や異動、子どもの場合は進学や進級などの環境の変化に対応できず、不登校や引きこもりにつながることがあります。

(2)適応障害の原因は?

適応障害の発生の原因は、ストレスです。
日常生活で大きなストレスを感じる出来事が起こると、それは心や身体にさまざまな不調をもたらします。

したがって解決するためにはストレスを感じる環境を変えることです。
つまり不快になる人と会わない、いやな会社は辞めるなどストレスの要因を取り除くことができればよいということになります。しかし会社は簡単に辞められるものではありませんし、同僚や家族のように離れられない関係がストレスの原因であることもあります。

また、適応障害の原因は、親子、配偶者、同僚などの人間関係だけでなく、病気やケガ、後遺症などの健康問題や、結婚、妊娠、出産など通常は喜ばしいとされる出来事がきっかけとなることがあります。
このような事態にうまく対応できないと適応障害を起こし、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。

そこで、根本的な解決方法のひとつとしてストレスに対する耐性をつけることを挙げることができます。
実際の治療では、カウンセリングなどを通じてストレスの原因を突き止め、ストレス耐性を高めてストレスをストレスと感じない状態を目指します。

(3)適応障害とうつ病との違い

うつ病とは、ストレスなどをきかっけに脳内物質セロトニンの分泌が異常をきたし、精神的・身体的な症状があらわれるメンタルヘルス疾患です。
意欲が低下し憂うつ感を感じ、頭痛や下痢・便秘といった症状が出ることがあります。
適応障害とうつ病は、抑うつ症状や不安症状、身体的愁訴など症状が似ていることから混同されることが多く、軽症の状態で病気を見極めるのは非常に難しいとされます。

適応障害はストレスが原因となって発症し、発症原因となっているストレスを取り除くことができれば6カ月以内の改善が見込めます。
一方、うつ病はストレスがきっかけになることもありますが、脳の一部に障害が起こっているので、ストレス要因が存在しなくても発症することがあります。

ただし、適応障害が軽い病気でうつ病が重い病気というわけではありません。ストレスの強さや種類によっては、適応障害でもつらい症状が出て日常生活に支障が出るケースは多々あります。また適応障害をきっかけにうつ病などに移行するケースもあります。
したがって適応障害と診断されたら、「軽い病気なのだ」と考えずに、治療に取り組むようにしましょう。

(4)適応障害の治療法は?

適応障害の治療法としては、心理療法、生活療法、薬物療法などがあります。
起床、就寝、食事といった生活リズムを整えながら、精神的にリラックスして過ごします。長時間の昼寝は生活リズムをくずし睡眠障害を招くので避けるようにします。
軽いウォーキング、掃除などは気分転換にもなるのでおすすめです。

心理療法・生活療法と並行してしばしば薬物療法も行われます。
これは症状を軽減して日常生活を少しでも楽にするためのもので、根本的な治療にはなりません。また、繰り返し薬物療法を行っていると、依存性のリスクが高まるため十分なっ注意が必要です。
しかしだからと言って、服用していた薬を突然やめてしまうのもリスクがあります。症状が再発してしまうだけでなくそれまで効果が出ていた薬の量では足りなくなってしまったり、副作用がひどくなってしまったりするからです。
自己判断せずにかならず医師に相談し、指示に従って焦らずに治療に向き合うことが大切です。

(5)適応障害かなと思ったら

適応障害のサインに気づいたら、早めに医師に相談してください。
身体的愁訴の場合には、自分で診療科の判断がつかないことがあると思いますが、その場合にはかかりつけの医師に相談してみましょう。心と体の状態を話せば、専門医を紹介してくれることがあります。

仕事のストレスが大きい、またはストレスチェックで高ストレス者と判断された場合には、産業医に相談するのもおすすめです。産業医が専門医でない場合でも地域のクリニックや精神保健福祉センターなどを紹介してくれます。

精神科や心療内科は初めて受診するケースがほとんどで、緊張するという方もいらっしゃいますが、通常の内科や外科と同じように病歴や症状を自分なりの言葉で話せば大丈夫です。
うまく話す自信がないのであれば、受診前に自分の症状をメモしたり家族や友人に同伴してもらったりするのもよいでしょう。

まとめ

以上、適応障害の症状や原因や治療方法、うつ病との違いなどにつてご紹介しました。
適応障害は、薬を飲めば治るというものではありません。快方に向かうためにはまず本人が不調に気づくことが最も重要です。そして、必要に応じて診察を受けること、本人が治療に前向きに取り組むこと、そして家族や職場の人々が症状について正しく理解することが大変重要です。

本人が不調に気づくためには、ストレス要因やストレス反応について正しい知識を持つことのほか、心の状態を客観的に見る目を養うことも大切です。
たとえば、帰宅後就寝までの時間、あるいは週末に自分のストレス状態を客観的にみることを習慣にすることも有効です。
また、職場のメンタルヘルス担当者はストレスチェックなどを活用してストレスに気づきを促すこと、気軽にメンタルヘルス不調について相談できる体制を整えること、メンタルヘルスに関する正しい知識を提供することなどが求められます。

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