大坂なおみ選手の事例から考えるメンタルヘルス対策

メンタルヘルスへの注目度の高まり

新型コロナによる様々な影響としてウイルスへの罹患だけでなく、仕事や生活環境の変化によるメンタルヘルスへの影響についても注視されている。ただそれ以前から、メンタルヘルスへの注目度は高くなっていると感じる。そう考えられる理由の1つとして、報道を通じ有名人の自殺や諸外国のパワハラ訴訟などが世間の関心を得ているからである。全仏オープンを棄権した女子テニスプレーヤー大坂なおみ選手のうつ症状の告白は、彼女のサクセスストーリーを見てきた我々にとって正に衝撃である。つづけて、元中日2軍の門倉コーチの失踪もうつ病に関連しているとなれば、メンタル不調をかかえる怖さは予想を超えるものではないか。大坂なおみ選手の事例をまじえて、メンタルヘルス対策を考えてみる。

「良いストレス」と「悪いストレス」とは

そもそもストレスには、良いストレスと悪いストレスがある。スポーツ選手、特に一流と言われる選手はストレスの使い方がうまいといつも思う。厳しいトレーニングや数々のタフな試合を経て、特定のストレスに自分を慣らすのであろう。画面に登場した頃の大坂なおみ選手と世界ランク2位となった今を比べると、技術以外の違いも見えてくる。

ストレス対処法“場数を踏む”

いわゆる“場数を踏む”ことはストレス対処法の1つだ。しかしそれにも限界がある。自分の許容量を超えて悪いストレスを抱えてしまった場合、負傷した時と違ってメンタルの不調は目に見えず周囲の理解を得にくい。うつ症状に対する偏見はいまだ強く(※)、自分がメンタル不調に陥っていると告白することは我々のような普通の社会人でも勇気がいることだ。それが一流スポーツ選手となれば、スポンサーとの利害関係も考えるとなおさらであろう。

(※)メンタル不調者に対し企業の認識の6割強が「本人の性格の問題」と捉えられている

(出典: 厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の推進について」

ストレス対処法“その場から避難する”

次に考えられるストレス対処法は“その場から避難する”ことだ。ストレス要因となる人や場所、それが職場であればしばらく休業することで一旦離れてみるのである。大坂なおみ選手がヘッドフォンをしてコートに入場してくる場面が記憶にあるが、ぎりぎりまで不安やプレッシャーから避難する身近な方法だったのではと推測する。また、今後について「一度コートを離れたい」と明かしたことも専門家のアドバイスがあったのではないだろうか。彼女は今、ストレスから避難するという選択をすることで、ストレスへの対処を試みていると考えられる。

まずは自分のストレス状態を自身で認識すること

ストレスへの対処法は様々あるものの、メンタルヘルス対策の基本はまず自分のストレス状態を自身で認識することである。体重が増加したことに気づいたからダイエットしようと試みるのと同様に、ストレス状態が続いていると認識できれば、対処しなくてはという気になる。是非、自分のストレス状態を意識するように心がけてほしい。

【働く方へ】5分でできるストレスセルフチェック 厚生労働省

【事業者の方へ】ストレスチェッカー HRデータラボ

人は生きていく上で、ストレスに囲まれながら生活しているといっても過言ではない。ストレスが無くならないのであれば、ストレスを上手く役立てようと考えるのも、1つの対処法になりうる。
その日のストレスはその日のうちに解消することが理想であるが、私はその日のストレスを少しでも小さくして一日を終えるイメージで生活している。これまでのところ深刻なメンタル不調に陥っていないので効果あり!と感じている。では最後に、私の好きな言葉の1つを紹介して締めたいと思う。
「ストレスは人生のスパイスである」-ハンス・セリエ博士(カナダの生理学者)」

HRデータラボ
公認心理師 山本久美

法人向けストレスチェッカーへのお問合せ

法人向けストレスチェッカーは、官公庁、テレビ局、大学等に導入いただいている日本最大級のストレスチェックツールです。

社内の実施事務従事者にストレスチェックのシステムをご利用いただく『無料プラン』もございます。お気軽にお問い合わせください。