リワークプログラムとは?種類や進め方を解説

休職後、少し体調が落ち着いてくると、「そろそろ職場に戻らなければ」と気持ちが焦ってしまう人は少なくありません。しかし、十分な回復を待たずに復職すると、環境の変化や業務負荷が引き金となり、再び体調を崩してしまうことがあります。企業側としても、どのタイミングで、どのように復帰を進めるべきか判断に迷う場面が出てきます。そこで、再発を防ぎながら段階的な職場復帰を支援するリハビリテーションとして開発されたのが、リワークプログラムです。
リワークプログラムとは、会社に復職することを想定した訓練で、医療機関や職業センター、企業内等で行われます。

リワークプログラムとは

リワークプログラムの「リワーク」とは、「return to work」の略語で、休職と復職を繰り返す従業員や、治りづらい抑うつ状態にある患者を対象として開発されたプログラムです。
リワークプログラムには、医療機関で行うものや、企業内で行われるものなどがあり、それぞれのプログラムに従ってリハビリテーションが行われます。

ストレスチェッカーとは

リワークプログラムとあわせて考えたいのが、ストレスチェックの活用です。
リワークは復職前後の個別支援に強みがありますが、ストレスチェックは組織全体の傾向を可視化できる点に意味があります。ストレスチェックの集団分析と重ねて見ることで、再発を防ぐための職場改善につなげやすくなります。
「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
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(1)リワークプログラムのメリット

メンタルヘルス不調の回復には、数カ月から半年程度の時間がかかることも珍しくなく、状態は一直線に良くなるのではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に安定していくのが一般的です。復職できそうだと感じる段階に入っても、集中力や判断力、対人対応といった仕事に欠かせない力は、まだ十分に戻っていない場合が多くあります。その状態で無理に復職すると負荷に耐えきれず、再び体調を崩して再休職を繰り返してしまうケースも少なくありません。
独立行政法人「労働政策研究・研修機構が2012年に実施した調査によれば、休職した労働者の再発・再休職率は身体疾患では20%であるのに対して、精神疾患では復職率が45.9%と低く、さらに退職率も42.3%と高いという報告がされています。

参考:> 独立行政法人労働政策研究・研修機構「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」

上記の調査結果からも分かるように、メンタルヘルス不調は、まずは主治医や産業医と相談しながら、無理のないように復職の準備を進めていくことが大切です。
そして、このようなときに活用を検討したいのが、リワークプログラムです。

リワークプログラムでは、休職に至ったプロセスを見つめ直し、集団生活に慣れ、ストレスへの対処の仕方などを通じて、復職後ふたたび休職する状況にならないための準備を行っていくことができます。

また、リワークプログラムを通じて、従業員が「休職の要因が自分側にもある」と客観的に理解できるようになると、復職後の働き方やストレスへの向き合い方を見直すきっかけにもなります。仮に復職後に再休職し、最終的に退職という選択に至った場合でも、「会社に無理やり辞めさせられた」といった受け止め方になりにくく、感情的な対立や労務トラブルに発展するリスクを抑えられる点も、企業側にとって重要なメリットです。

(2)リワークプログラムの種類

リワークプログラムには、大きく①医療機関で実施されるリワークプログラム(以下、医療リワーク)、②職業センターで実施されるリワークプログラム(以下、職リハリワーク)、③企業内やEAP(従業員支援プログラムなどで行われるリワークプログラム(以下、職場リワーク)の3つの種類があります。

対象 主な目的 実施期間 費用
医療リワーク 休職者 再休職予防 医療機関 健康保険
職リハリワーク 休職者事業主 支援プランに基づく支援 職業センター 労働保険
職場リワーク 休職者 労働させて良いかの判断 企業内、EAPなど 企業負担

(3)医療リワーク

医療リワークは、医療機関で実施されるリワークプログラムです。
第1段階では生活リズムを整えながら病状の安定と回復を図ります。
第2段階では、自身の疾病への理解を深め、発症に至った要因を振り返り、それまでの考え方や行動パターンを見直していきます。
さらに第3段階では、さまざまなストレス状況への対処方法を学び、対人関係能力の向上を目指します。プログラム全体を通じて、休職前と同じ結果を繰り返さないよう対処法を調整し、復職後を見据えたフォローアップや集団認知行動療法を行うことで、再休職の予防につなげます。
医療リワークは健康保険を財源としており、原則として自己負担は3割、自立支援医療制度が適用される場合は1割となります。

(4)職リハリワーク

職リハリワークは、職業センターで実施されるリワークプログラムです。
厚生労働省所管の独立行政法人である高齢・障がい・求職者支援機構によって、原則として都道府県に1カ所以上設置されている地域障がい者職業センターで行われます。
主な内容は、休職中の労働者に対する職場復帰支援や職場適応の促進、あわせて雇用主側への助言や調整支援です。
病状の改善そのものを目的とする治療ではなく、復職に向けて企業担当者や主治医、本人の間をつなぎ、現実的な復帰計画を整える点が医療リワークとの大きな違いといえます。職リハリワークは労働保険を財源としており、原則として利用料はかかりません。

(5)職場リワーク

職場リワークは、企業内で実施される復職支援のためのプログラムで、従業員が無理なく安全に職場へ戻れるようにすることを目的として行われます。厚生労働省は「心の健康問題により休職した労働者の職場復帰支援の手引」という指針を示しており、そこに盛り込まれている試し出勤やリハビリ出勤も、職場リワークの一環と位置づけられています。業務そのものは行わず、決まった時間に出勤できるか、職場の雰囲気に適応できるかを確認しながら、復職後も安定した就労が続けられるかを慎重に見極めていくための取り組みです。

短期型リワークプログラムとは

メンタルヘルス不調による求職者を対象としたリワークプログラムは、復職後の就労継続率を高める点で有効だとされています。一方で、プログラムの参加期間が半年以上に及ぶケースも多く、生活費や将来への不安、年齢や家庭の事情などから、長期間の参加が難しいと感じる人が少なくありません。
企業側にとっても、復職までの期間が長引くことで対応に悩む場面があります。
こうした課題を踏まえ、近年では内容を絞り込み、短期間でも一定の効果が期待できるリワークプログラムの開発や実証が進められています。

(1)短期型リワークプログラムの特徴

短期型リワークプログラムは、「主観的な評価ではうつ症状は比較的軽いものの、生活リズムが安定していない」といった状態の休職者が利用するケースが多いとされています。すでに症状そのものは落ち着きつつある一方で、決まった時間に起きる、外出する、集中して活動する、といった日常のリズムが整っていない人にとって、復職は大きな負荷になりがちです。
そのため、治療を主軸とした医療的支援よりも、働くことを前提にした職業リハビリテーションに重点を置いた支援が求められます。
この点で、短期型リワークは地域障がい者職業センターなどで実施されているリワークプログラムと親和性が高く、現実的な復職準備の場として位置づけられています。

(2)短期型リワークプログラムの事例

国立精神・神経医療研究センターの臨床心理部では、「仕事場面に焦点化した認知行動療法」と「職場連携」に力を入れたリワークデイケア(復職支援のための認知行動療法)を行っています。

参考:> 国立精神・神経医療研究センター「リワークデイケアについて」

認知行動療法のスキルを学び、ものの見方(認知)に働きかけ、問題解決のための対処ができるようになることで、ストレス対処力を高めていきます。また、栄養士やキャリアコンサルタント、産業医、社会保険労務士などの協力のもと、疾病、服薬、睡眠、栄養管理などに関する心理教育なども行っています。
国立精神・神経医療研究センターの短期型リワークプログラムでは、休職を失敗ととらえず、これまでの自分の働き方を振り返り、今後どのように生きていくか考える機会と捉え、キャリアデザインの演習を行います。

(3)リワークプログラムを利用するには

リワークプログラムを利用する場合には、企業の担当者は必ず本人の同意を得たうえで、主治医やリワークスタッフと継続的に連携を取ることが重要です。本人の自己申告だけでなく、第三者の専門的な視点からの情報を得ることで、状態を過大評価・過小評価するリスクを避け、より現実的で客観性のある支援が可能になります。

また、「どの段階で受け入れるのが適切か」「復職にあたって最低限クリアすべき条件は何か」といった会社側の考えや制約を、事前に本人とリワークスタッフへ共有しておくことは、認識のズレを防ぐうえでも有効です。
リワークは復職直前の対症的な対応ではなく、休職の早い段階から選択肢として検討しておくことで、復職までのプロセスをよりスムーズに進めることができます。

まとめ

リワークプログラムの利用を検討するうえでは、休職者も企業側も「主体的にリワークプログラムを利用する」という意識を持つことが大切です。
医療従事者と目的や活用方法を相談しながら、リワークプログラムを利用し、スムーズに復職を目指すようすすめていきましょう。

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