ストレスチェック実施2カ月前

ストレスチェック制度とは、平成27年(2015年)から、50人以上の事業場に義務づけられた制度です。
昨今、仕事による強いストレスが原因でメンタルヘルス不調を発症し労災認定されるケースが急増したことを受けて、労働安全衛生法の一部を改正してストレスチェック制度が創設されました。
この記事では、ストレスチェック実施の2カ月前にすべきことをご紹介します。

ストレスチェック制度を実施する2カ月前に会社が行うこと

ストレスチェック制度を実施する2カ月前に、会社が行うことを時系列に整理すると、以下の5項目にまとめられます。

(1)事業者による方針の表明
  ↓
(2)衛生委員会の設置
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(3)社内規定の整備
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(4)ストレスチェック実施者の選任
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(5)ストレスチェックツールの選定

▶ ストレスチェック実施1カ月前にすべきこと

▶ ストレスチェック実施期間にすべきこと

▶ ストレスチェック実施後にすべきこと

(1)事業者による方針の表明

会社は、ストレスチェック制度を実施する旨を明文化して表明します。
表明方法は、社内のフォルダに格納する方法や社内掲示板に掲載する方法などが考えられます。

(2)衛生委員会の設置

会社は、衛生委員会を設置してストレスチェック制度の実施方法および実施状況、さらにそれを踏まえた実施方法の改善などについて調査審議を行うことが必要です。
常時使用労働者数が50人以上の事業場では衛生委員会の設置が義務となります。(また特定の業種では安全委員会の設置も義務となります。その場合、両者を統合した安全衛生委員会を設置するのがおすすめです)。

◆委員会の一般的な構成
・委員会の一般的な構成は、下記のとおりです。
「議長」人事部長が担当するケースが一般的です。
「衛生管理者」人事課長担当するケースが一般的です。(会社側)
「委員」人事労務担当者が担当するケースが一般的です。(会社側)
「産業医」出席していただく必要があります。(会社側)
「労働者」主要部署のリーダークラス3名(労働者側)
 
◆委員の氏名
委員の氏名は会社が行います。ただし委員の半数(労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は)は、労働組合の推薦に基づき指名しなければなりません。
 
◆定例会の開催
毎月定例会を開催する必要がありますので、開催日時を決めます。

(3)社内規定の整備

会社は、ストレスチェックの実施前に衛生委員会などの調査審議の結果を踏まえて、ストレスチェックを実施する旨を社内規定に反映させて、あらかじめ従業員に周知します。正しく理解してもらうために、必要に応じてセミナーを行います。

(4)ストレスチェック実施者・産業医の選任

◆ストレスチェック実施者の選任
ストレスチェックの実施者を選定します。
ストレスチェックの実施者は誰でもなれるわけではなく実施者になれる人は、医師、保健師、精神保健福祉士などの有資格者に限られています。産業医を選任するのが最も望ましいとされています。

◆50人以上の従業員がいる事業所は産業医を選任
労働安全衛生法で50人以上の従業員がいる事業所は産業医を選任する必要があると規定されていますので、産業医を選任した場合にはあわせてストレスチェックの実施も担当していただくのがスムーズでしょう。
なお、産業医には衛生委員会の月次定例会に出席していただく必要があります。
 
※ストレスチェッカーでは産業医の先生の会社を無料でご紹介しております。必要があればお問合せください。
▶ ストレスチェッカー お問合せ

 
◆ストレスチェックの実施事務従事者を選定
ストレスチェックの実施事務従事者を選定しましょう。
実施事務従事者とは、実施者の指示によってストレスチェックの実施の事務(個人データの入力、結果の出力および記録の保存などを行う人です。

実施事務従事者は社内の人事部のスタッフが担当するケースが多いですが、人事を決める権限を有している人は実施事務従事者にはなれませんので、注意してください。

※実施事務従事者は事前にストレスチェック実施マニュアルを確認し、ストレスチェックの概要や目的、実施項目などについて理解しておく必要があります。
 
◆面接指導担当者の選定
ストレスチェックを実施した後は、希望する従業員に対して面接指導を実施する必要があります。そのため面接指導担当者を選定します。前述したとおり、50人以上の従業員がいる事業所は産業医を選任する必要がありますので、その場合には契約した産業医の先生に担当していただくのがスムーズでしょう。

(5)ストレスチェックツールの選定

ストレスチェックを実施するツールを選定します。
厚生労働省でも、無料でダウンロードできるストレスチェックが提供されていますが、プログラムをダウンロードする前に動作環境を確認する必要がありますし、プログラムをダウンロードしたあとも高いセキュリティ対策を求められるので、導入する前に自社でそれらの対策を行うことができるのか検討することをおすすめします。

※厚生労働省版ストレスチェックについては、以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。

「厚生労働省版ストレスチェック」の動作環境について

「厚生労働省版ストレスチェック」のセキュリティについて

「厚生労働省版ストレスチェック」の保存期間について

ストレスチェックツールを選ぶポイント

ストレスチェックに関する従業員の情報は、適切に管理されることが大変重要です。
実施者や実施事務従事者には守秘義務が課せられますし、情報が漏えいするなどの事態が起こらないように万全な体制で管理することが求められます。

また、自社に適切なプランが用意されているか、状況に応じて利用できるオプションが用意されているのかも検討するとよいでしょう。

(1)セキュリティ対策が完備されているか

ストレスチェックの結果は、心の健康に関する情報です。したがって、ストレスチェックツールを選ぶ時には、実施方法から記録の保存に至るまで従業員の個人情報が適切に保護されるか、セキュリティ対策は万全かという点を最も重視すべきです。
そこで、ストレスチェックツールを選ぶ時には下記6点が実装されているのかを確認してください。

1.ファイヤーウォール
2.WAF(Webアプリケーションファイヤーウォール)
3.IDS(不正侵入検知システム)
4.ADS(不正侵入防止システム)
5.WEB改ざん検知システム
6.全WebページSSL暗号化通信

ストレスチェッカーは、上記6点のセキュリティ対策を完備しているうえ、無料でご利用いただくことができます。

(2)プランをカスタマイズできるか

会社によって状況はことなりますので、自社の状況に応じてプランをカスタマイズできるか否かも重要なポイントです。
ストレスチェッカーは無料プラン、WEBプラン、紙プラン、WEB代行プランと紙プランの組み合わせなど企業様の状況に応じて自由に選択していただくことができます。

(3)オプションが充実しているか

ストレスチェックは実施することが目的ではありません。
メンタルヘルス不調を未然に防止し職場改善につなげることが、本来の目的です。また、実施後も必要に応じて、従業員に面接指導を実施する必要があります。
ストレスチェッカーでは、集団分析のカスタマイズ、対面カウンセリング、研修などさまざまなオプションをご用意しております。

まとめ

以上、ストレスチェックの実施前に行うべき項目についてご紹介しました。
ストレスチェックの実施前には、社内規定の整備や衛生委員会の設置実施者、産業医の選任、ストレスチェックツールの選定などさまざまな作業が必要となります。
不明点や疑問点等、いつでもお気軽にお問合せください。