
アブセンティーズムとは、心身の不調などによって従業員が欠勤・休職し、働けない状態が表面化している状態です。
経済産業省が推進する健康経営銘柄や、健康経営優良法人の上位認定であるホワイト500では、アブセンティーズムやプレゼンティーズム、ワークエンゲージメントなどの従業員パフォーマンス指標を測定し、その方法や実績を開示することが重視されています。これは、従業員の健康状態を感覚ではなくデータで把握し、改善につなげる姿勢が求められているためです。
この記事では、基本的な意味や原因、主な指標、職場でできる対策を解説します。
目次
アブセンティーズムとは
アブセンティーズムとは、心身の不調などにより従業員が仕事を休んでいる状態を指します。具体的には、病気やメンタルヘルス不調、慢性的な疲労、強いストレスなどによる欠勤や休職です。
ただし、単に欠勤日数だけを見るのではなく、その背景にある職場環境や働き方の問題にも目を向けることが大切です。
心身の不調などにより、仕事を休んでいる状態
アブセンティーズムは、心身の不調などにより、事を休んでいる状態です。欠勤日数、病欠の回数、休職の有無などに表れるため、企業側が状況を確認しやすい指標といえます。
早い段階で変化に気づければ、上司との面談、産業医や専門職への相談、業務量の調整など、具体的な支援につなげることができます。
欠勤や休職として表れる労働損失のひとつ
アブセンティーズムは労働損失であり、勤怠データとして把握しやすい「目に見える生産性の損失」といえます。
アブセンティーズムが発生すると、予定していた業務が止まったり、納期が遅れたりするだけでなく、代替要員の確保、周囲の従業員の残業増加、管理職の調整負担なども生じます。
また、健康経営の観点では、アブセンティーズムやプレゼンティーズムを減らすことは、従業員の健康維持だけでなく、生産性の改善や人材定着にも関わる重要な取り組みとされています。そのため、欠勤や休職を単なる勤怠上の問題として扱うのではなく、健康状態や職場環境を見直すサインとして捉えることが大切です。
アブセンティーズムとプレゼンティーズムの違い
アブセンティーズムとプレゼンティーズムは、どちらも健康問題による労働損失を示す考え方です。大きな違いは、仕事を休んでいるか、出勤しているかにあります。
アブセンティーズムは欠勤や休職として表れ、勤怠データで把握しやすい一方、プレゼンティーズムは出勤していても不調により集中力や作業効率が落ちている状態です。
アブセンティーズムが注目される理由
アブセンティーズムが注目される理由は、欠勤や休職が本人だけでなく、職場全体の生産性に影響するリスクがあるからです。また、欠勤や休職が長引けば、離職につながる可能性もあります。
業務の遅延や周囲の従業員の負担増につながる
人手不足の職場では、1人が休むだけでも残されたメンバーに業務が集中し、残業の増加や疲労の蓄積を招きます。その状態が続けば、周囲の従業員まで体調を崩したり、不満を抱えて離職を考えたりする可能性もあります。
人員不足や代替対応によるコストが発生する
従業員が欠勤・休職すると、その業務を周囲のメンバーがカバーする必要があり、残業代や深夜手当が増える場合があります。急ぎで代替要員を確保する場合は、派遣社員の手配や外部委託など、予定外の費用が発生することもあります。
欠勤や休職が長引くと離職リスクが高まる
休職が長期化すると、労務管理や産業医面談、復職支援などに関わる事務的・時間的な負担も増えます。さらに、そのまま離職につながれば、これまでの採用費や教育研修にかけた投資が失われ、新たな人材を採用・育成するコストも必要になります。
職場環境の問題が表面化している場合もある
突発的な欠勤や休職が続いている場合には、ハラスメント、人間関係の悪化、長時間労働、過度な業務負担などが背景にある可能性があります。
アブセンティーズムが起こる主な原因
アブセンティーズムが起こる原因は、従業員本人の体調不良だけに限るものではありません。風邪や持病、睡眠不足、慢性的な疲労などの身体的な不調に加え、メンタルヘルス不調や強いストレスも大きな要因になります。
また、職場の人間関係やハラスメントも、アブセンティーズムを引き起こす原因になります。
身体的な不調や慢性的な疲労
長時間労働や休日出勤、深夜勤務などが続くと、十分な睡眠や休息が取れず、疲労が蓄積します。
また、デスクワークや立ち仕事、重い物を扱う作業では、肩こりや腰痛などの筋骨格系の不調が起こることがあります。
メンタルヘルス不調や強いストレス
職場では、上司や同僚との人間関係、ハラスメント、顧客からの理不尽な要求、過度な業務量、長時間労働、人員不足による負担増などがストレス要因になりやすいものです。また、仕事の裁量が少ない、評価基準が分かりにくい、役割が曖昧な状態も、心理的な負担を高めることがあります。
こうしたストレスは、最初は出勤していても十分に力を発揮できないプレゼンティーズムとして現れ、その後、欠勤や休職といったアブセンティーズムにつながることがあります。
育児・介護など仕事以外の事情
アブセンティーズムが起こる原因には、育児や介護など、仕事以外の事情もあります。本人が健康で働く意欲があっても、子どもの急な発熱や感染症、保育園や学校からの呼び出し、預け先の確保が難しい状況などにより、欠勤や遅刻、早退が必要になることがあります。
また、親の介護では、通院の付き添い、要介護認定の手続き、介護サービスの調整などで、単発の欠勤や一定期間の休業が発生する場合があります。
育児や介護による欠勤は、本人の努力だけで防げるものではありません。そのため、企業側には、柔軟な勤務制度や休暇制度、相談しやすい体制を整え、仕事との両立を支える視点が求められます。
アブセンティーズムを把握する主な指標
アブセンティーズムを把握する指標としては、一定期間の欠勤状況を見るアブセンティーズム率、短期間の欠勤が繰り返されていないかを確認するブラッドフォード・ファクター、休職者数や休職率、復職後の再休職率などがあります。
また、有給休暇の取得状況、遅刻・早退の頻度、離職率も、職場の負担感や働き続けやすさを考える材料になります。さらに、出勤していても不調で生産性が落ちているプレゼンティーズム、仕事への前向きさを示すワークエンゲージメント、従業員満足度もあわせて見ると、欠勤の背景をより立体的に把握できます。
アブセンティーズム率(欠勤率)
アブセンティーズム率、いわゆる欠勤率は、従業員が本来働くはずだった時間や日数のうち、心身の不調などによって働けなかった割合を示す指標です。
日数で見る場合は「欠勤日数 ÷ 所定労働日数 × 100」、時間で見る場合は「欠勤・休職・遅刻・早退などの合計時間 ÷ 所定労働時間 × 100」で算出します。
単なる欠勤日数だけでは従業員数や勤務日数の違いに左右されますが、率にすることで、自社の過去データや部署ごとの比較ができます。
ただし、通常の有給休暇や慶弔休暇まで含めると、健康問題による労働損失を正しく把握できなくなります。そのため、病気やメンタルヘルス不調による欠勤・休職と、計画的な休暇は分けて見ることが大切です。また、少数の長期休職者によって数値が大きく変動する場合もあるため、短期欠勤の増加なのか、長期休職の影響なのかを分けて分析する必要があります。
ブラッドフォード・ファクター
ブラッドフォード・ファクターは、アブセンティーズムの中でも、突発的な短期欠勤がどれくらい繰り返されているかを見るための指標です。総欠勤日数だけでなく、欠勤の「回数」に重みを置くため、同じ10日間の欠勤でも、1回で10日休んだ場合と、1日ずつ10回休んだ場合ではスコアが大きく変わります。
計算方法
ブラッドフォード・ファクターは、一般的に「S² × D」で算出します。Sは一定期間内の欠勤回数、Dは同期間内の総欠勤日数を表します。たとえば、1回で10日休んだ場合は「1² × 10」で10点です。一方、1日欠勤を10回繰り返した場合は「10² × 10」で1,000点になります。
活用時の注意点
この指標は、短期欠勤の繰り返しによる職場への影響を把握しやすい一方で、欠勤の背景までは分かりません。体調不良、メンタルヘルス不調、持病、育児や介護など、欠勤にはさまざまな理由があります。そのため、スコアだけで問題視するのではなく、本人への聞き取りや勤務状況、職場環境の確認とあわせて活用することが大切です。
休職者数、休職率、復職後の再休職率
休職者数、休職率、復職後の再休職率は、アブセンティーズムの中でも、長期的な労働損失や職場の支援体制を確認するうえで役立つ指標です。欠勤日数だけでは見えにくい、休職の広がりや復職後の定着状況を把握する材料になります。
休職者数
休職者数は、一定期間または現在時点で、心身の不調などにより長期間仕事を離れている従業員の実数です。何人分の労働力が失われているかを把握することができ、現場の負担増や人員配置の見直しを考える際の判断材料になります。
休職率
休職率は、「休職者数 ÷ 全従業員数 × 100」で算出するのが一般的です。人数ではなく割合で見ることで、部署間や時期ごとの比較が容易になります。特定の部署だけ休職率が高い場合は、業務量の偏り、人間関係、マネジメント上の課題などを確認するきっかけになります。
復職後の再休職率
復職後の再休職率は、一度復職した従業員のうち、一定期間内に再び休職した人の割合です。再休職が多い場合、復職時の業務量調整、上司との連携、段階的な復帰支援が十分だったかを見直す必要があります。休職者を戻すだけでなく、無理なく働き続けられる環境を整えることが大切です。
有給休暇の取得状況、遅刻・早退の頻度、離職率
有給休暇の取得状況、遅刻・早退の頻度、離職率は、アブセンティーズムを早めに把握するうえで役立つ指標です。欠勤や休職がすでに起きた後だけでなく、その前段階の変化や、職場全体への影響を判断する材料になります。
有給休暇の取得状況
有給休暇は本来、心身を休めるためにも大切な制度です。有休取得率が低い職場では、疲労やストレスが蓄積しやすく、後から欠勤や休職につながる場合があります。一方で、突発的な有休取得が増えている場合は、体調不良や通院など、表面化していない不調が隠れている可能性もあります。
遅刻・早退の頻度
遅刻や早退が増えている場合、睡眠不足、強いストレス、メンタルヘルス不調、家庭事情などが背景にあることがあります。いきなり長期休職になるのではなく、まず遅刻や早退、単発の欠勤として表れるケースもあるため、早めに気づくためのサインとして確認することが大切です。
離職率
欠勤や休職が続き、職場環境の改善や復職支援が十分でない場合、最終的に離職につながることがあります。また、休職者の業務を周囲が抱え続けることで、他の従業員の負担が増え、連鎖的な離職につながるおそれもあります。
プレゼンティーズム
プレゼンティーズムは、出勤しているものの、心身の不調によって本来の力を発揮できていない状態を指します。アブセンティーズムが欠勤や休職として表れる「見えやすい損失」だとすれば、プレゼンティーズムは勤怠データだけでは見えにくい「隠れた生産性低下」といえます。
アブセンティーズムとの関係
従業員がいきなり長期休職に入るとは限りません。はじめは体調不良やメンタルヘルス不調を抱えながら出勤し、集中力の低下、ミスの増加、作業効率の低下といった形で表れることがあります。この状態が続くと、やがて欠勤や休職につながる場合もあります。
測定する意味
プレゼンティーズムは、表面上は出勤しているため見過ごされやすい指標です。しかし、職場の不調を早めに把握するうえでは重要です。欠勤者数だけを見ていると、無理をして出勤している従業員の不調を見逃す可能性があります。
主な測定方法
プレゼンティーズムは、勤怠データでは把握しにくいため、アンケート形式の尺度で測定されます。代表的なものに、SPQ、WLQ、WAIなどがあります。アブセンティーズム率とあわせて見ることで、職場の健康状態をより正確に把握することができます。
ワークエンゲージメント
ワークエンゲージメントは、従業員が仕事に前向きに関わり、いきいきと働いている状態を示す指標です。アブセンティーズムは欠勤や休職として表れるため目に見えやすい一方で、その前段階にある仕事への意欲低下や疲労感は、勤怠データだけでは把握しにくい場合があります。
そのため、ワークエンゲージメントをあわせて見ることで、欠勤や休職の背景をより正確に把握することができます。
ワークエンゲージメントの3つの要素
ワークエンゲージメントは、一般的に「活力」「熱意」「没頭」の3つで説明されます。活力は仕事に向かうエネルギーがある状態、熱意は仕事にやりがいや誇りを感じている状態、没頭は仕事に集中して取り組んでいる状態を指します。
アブセンティーズムとの関係
ワークエンゲージメントが低下している職場では、疲労感ややらされ感が強まり、プレゼンティーズムや欠勤につながることがあります。逆に、仕事への前向きさや支援体制が保たれている職場では、不調の早期相談や業務調整につなげることができます。
活用時の注意点
ワークエンゲージメントだけで、欠勤や休職の原因を断定することはできません。アブセンティーズム率、プレゼンティーズム、従業員満足度、ストレスチェックの集団分析などと組み合わせて見ることで、職場の状態をより現実に近い形で把握することができます。
従業員満足度
従業員満足度は、従業員が仕事内容、職場環境、人間関係、待遇、評価、働き方などにどの程度納得しているかを示す指標です。アブセンティーズム率や休職率が、すでに起きた欠勤・休職の結果を見る指標だとすれば、従業員満足度は、その背景にある職場の状態を把握するための指標といえます。
アブセンティーズムとの関係
従業員満足度が低い職場では、評価への不満、上司との関係性、業務量の偏り、休みにくさなどがストレス要因となり、プレゼンティーズムや欠勤につながる場合があります。ただし、満足度が低いから必ず欠勤が増えると断定するのではなく、職場課題を見つけるための参考指標として見ることが大切です。
確認できる職場課題
従業員満足度調査を行うと、どの部署で、どの項目への不満が強いのかを把握できます。たとえば、上司とのコミュニケーション、業務量、評価の公平性、休暇の取りやすさなどの項目を見ることで、欠勤や休職の背景にある職場環境の問題を考える材料になります。
測定方法
従業員満足度は、年1回から数回のアンケートや、短い質問を定期的に行うパルスサーベイで測定されることがあります。アブセンティーズム率、プレゼンティーズム、ワークエンゲージメントなどと組み合わせて見ることで、職場の状態をより多面的に把握できます。
ストレスチェックの集団分析
ストレスチェックの集団分析は、部署やチームごとのストレス傾向を把握するための指標です。個人のストレスチェック結果は、本人の同意なく会社が直接見ることはできませんが、一定の人数以上で集計・分析することで、個人を特定せずに職場単位の傾向を確認できます。アブセンティーズムを考えるうえでも、欠勤や休職が起きる前の職場環境を把握する材料になります。
集団分析で分かること
集団分析では、仕事の量的負担、仕事のコントロール、上司や同僚からの支援などを確認できます。業務量が多いのに裁量が少ない、周囲のサポートが弱いといった職場ではストレスが高まることがあり、欠勤や休職につながるリスクを考えるきっかけになります。
健康リスクの見方
仕事のストレス判定図では、全国平均を100として健康リスクを数値化します。たとえば健康リスクが120の場合、全国平均より健康問題が起きるリスクが高い状態と見ます。ただし、この数値だけで原因を断定するのではなく、勤怠データや残業時間、遅刻・早退の頻度などとあわせて確認することが大切です。
アブセンティーズム対策への活用
まだ休職者が出ていない部署でも、集団分析でストレス傾向が高く出ている場合は、早めに業務量の調整や管理職へのヒアリング、相談体制の見直しを行うきっかけになります。。
アブセンティーズムだけを見ても不十分
アブセンティーズムは欠勤や休職として表れますが、アブセンティーズムだけを見ていても、従業員や組織の健康状態を十分に把握できるとは限りません。欠勤率が低くても、不調を抱えながら無理に出勤している人がいる場合もあるからです。
休んでいなくても不調を抱えている人がいる
体調不良やメンタルヘルス不調を抱えながら出勤している状態は、プレゼンティーズムと呼ばれます。勤怠データ上は問題がないように見えても、集中力の低下やミスの増加、強い疲労感が続いている場合、後から欠勤や休職につながることがあります。
欠勤率が低くても職場が健康とは限らない
欠勤率が低い職場でも、休みにくい雰囲気や人手不足、強い責任感によって、従業員が無理をしている可能性があります。「休んでいない=問題がない」と判断すると、職場のストレスや不満を見逃してしまうおそれがあります。
職場でできるアブセンティーズム対策
職場でできるアブセンティーズム対策は、欠勤を減らすことだけを目的にするのではなく、不調が起きにくい働き方や職場環境を整えることを目的とするのが基本です。
たとえば、テレワークや時差出勤、短時間勤務などを取り入れることで、従業員の負担を調整することができます。
また、上司や人事、産業医、外部相談窓口などに早めに相談できる体制を整えることも大切です。
柔軟な働き方を導入し、負担を調整する
柔軟な働き方を導入することで、従業員の負担を調整することが期待できます。
働く時間や場所を調整する
フレックスタイム制、時差出勤、時間単位の有給休暇、テレワークなどを活用すると、通院、朝の体調不良、子どもの送迎、家族の介護などに対応することができ、短時間の休暇や在宅勤務によって、業務を続けられる場合があります。
業務量を調整する
制度を用意するだけでなく、本人の業務負荷を見直すことも大切です。1on1や面談で残業時間、疲労感、仕事量の偏りを確認し、必要に応じてタスクを減らしたり、他のメンバーに分散したりします。
休みやすい体制を作る
特定の人しかできない仕事が多いと、本人は「自分が休むと迷惑がかかる」と感じます。マニュアル化や主・副担当制を進め、業務を共有しておくことで、必要なときに休みやすくなります。
相談しやすい体制や窓口を整える
相談しやすい体制や窓口を整えることは、アブセンティーズムを防ぐうえで大切な対策です。
相談先を複数用意する
直属の上司との1on1、人事への相談窓口、産業医や保健師、外部相談窓口など、複数の相談ルートを用意しておくと、従業員が状況に応じて話しやすい相手を選べます。ハラスメントや評価への不安がある場合は、社外窓口や匿名相談の仕組みも役立ちます。
管理職の対応力を高める
相談を受ける側の理解も重要です。管理職が不調のサインに気づき、否定せずに話を聴き、必要に応じて人事や産業医につなげられる体制を整えることで、早期対応が可能となります。
健康増進と職場環境の改善に取り組む
健康増進と職場環境の改善は、アブセンティーズムを未然に防ぐための基本的な対策です。欠勤や休職が起きてから対応するだけでなく、不調が生まれにくい職場をつくる視点が大切です。
身体の不調を防ぐ
腰痛や肩こりが起きやすい職場では、休憩の取りやすさや作業環境の見直しが重要です。
職場環境を見直す
長時間労働、業務量の偏り、人間関係の悪化は、欠勤や休職の背景になることがあります。ストレスチェックの集団分析や勤怠データも参考にしながら、業務量、人員配置、管理職の関わり方を見直します。
休業・復職支援プログラムを整備する
休業・復職支援プログラムを整備することは、アブセンティーズム対策の中でも、長期休職や再休職を防ぐために重要です。心身の不調で休んだ従業員が、安心して療養し、無理なく職場に戻れる仕組みがないと、復職後に再び体調を崩したり、そのまま離職につながったりする場合があります。
休業中の不安を減らす
休業開始時には、治療に専念してよいこと、休業中の連絡方法、各種手続きの流れを明確にしておくことが大切です。会社との関係が途切れたように感じると、従業員の不安が強くなるため、人事や産業保健スタッフが適度に関わる体制を整えます。
復職の判断を慎重に行う
主治医の意見だけでなく、産業医や人事、上司が連携し、本人の体調や業務内容を確認したうえで復職の可否を考えます。日常生活が戻っていても、すぐに通常業務へ戻れるとは限らないためです。
復職後の負担を調整する
復職直後は、短時間勤務、残業の制限、業務量の調整、定期面談などを行い、段階的に通常勤務へ戻すことが大切です。休職者を職場に戻すだけで終わらせず、復職後も働き続けられる環境を整えることが、アブセンティーズムの再発防止につながります。
欠勤を減らすことだけを目的にしない
アブセンティーズム対策では、欠勤や休職の数を減らすことだけを目的にしない視点が大切です。欠勤率は職場の状態を把握する重要な指標ですが、数字だけを下げようとすると、従業員が体調不良を抱えたまま無理に出勤する可能性があります。
欠勤率が低くても安心しない
欠勤が少ない職場でも、人手不足や休みにくい雰囲気によって、従業員が我慢しているだけのケースがあります。欠勤率だけで「問題がない」と判断せず、ストレスチェックの集団分析などもあわせて確認することが重要です。
本来の目的を見失わない
アブセンティーズム対策の目的は、休む人を無理に出勤させることではありません。従業員が心身の不調を早めに相談でき、必要なときに休み、回復後に無理なく働き続けられる環境を整えることです。欠勤率は、職場の歪みや従業員のSOSを見つけるためのサインとして活用するのが適切です。
まとめ
アブセンティーズムとは、心身の不調などにより従業員が欠勤・休職し、本来働くはずだった時間が失われている状態を指します。代表的な測定指標には、アブセンティーズム率、ブラッドフォード・ファクター、休職者数、休職率、復職後の再休職率、遅刻・早退の頻度、離職率などがあります。
出勤していても不調を抱えるプレゼンティーズムや、ワークエンゲージメント、従業員満足度もあわせて見ることが大切です。
ストレスチェックの集団分析は、部署ごとのストレス傾向や職場環境の課題を把握する手段として活用できます。
ストレスチェックは、従業員のストレス状態を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした制度です。現在は従業員50人以上の事業場で義務化されていますが、今後は50人未満の企業にも対象が拡大される予定です。
ストレスチェックを活用すれば、部署ごとの負荷や心理的な傾向を可視化でき、早めの相談体制づくりや業務改善につなげられます。失敗を責めるのではなく、学びながら前に進む職場づくりにも役立ちます。
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