退職か休職か迷った時に考えること

「もう退職したほうがいいのか」「まずは休職すべきなのか」と迷う人は少なくありません。特に心身が疲れ切っていると、冷静な判断が難しくなり、勢いで退職を決めてしまうこともあります。ただ、退職と休職では、雇用関係や収入、必要な手続き、その後の選択肢が大きく変わります。
大切なのは、今の不調が一時的なものなのか、職場環境そのものが原因なのかを整理することです。
この記事では、退職と休職の違いや判断前に確認したいポイント、会社側が注意したい対応について解説します。

この記事で分かること
  • 退職と休職の大きな違い
  • 休職を検討したほうがよいケース
  • 退職を考えたほうがよいケース
  • 傷病手当金・失業保険・社会保険料の確認ポイント
  • 会社側が注意したい対応とストレスチェックの活用方法

退職か休職か迷う人は少なくない

退職か休職かで迷う人は少なくありません。退職は会社との雇用関係を終了する選択であり、休職は雇用関係を残したまま、一定期間仕事を離れて回復や治療に専念する制度です。
ただし、私傷病による休職制度は、すべての会社に法律上義務付けられているものではありません。制度の有無や利用条件、休職期間、復職条件などは、会社の就業規則や労働契約によって異なります。
退職と休職では、その後の収入や社会保険、必要な手続きにも違いがあります。心身が疲れているときは判断が極端になりやすいため、まずは利用できる制度や生活費の見通しを確認し、すぐに退職を決めないことが大切です。

退職と休職の大きな違い

退職と休職の大きな違いは、雇用関係が続くかどうかです。休職は雇用契約が続いたまま仕事を離れる制度のため、休職期間中に回復し、会社が定める復職条件を満たせば、職場へ戻れる可能性があります。雇用関係を残しながら、治療や休養に専念できる点は、休職のメリットの一つです。
一方、退職すると会社との雇用関係は終了します。
再び働く場合は、新たな勤務先を探したり、独立など別の働き方を検討したりする必要があります。

項目 休職 退職
雇用関係 会社に在籍したまま仕事を休む 会社との雇用関係が終了する
戻る場所 条件を満たせば復職できる可能性がある 再び働く場合は、新たな就業先などを探す必要がある
収入面 条件を満たせば傷病手当金を受け取れる場合がある 働ける状態であれば雇用保険の基本手当が選択肢になる
検討しやすいケース 回復後も今の会社で働き続けたい場合 職場環境の改善が見込めない場合や、次の道が見えている場合

参考:全国健康保険協会/傷病手当金
参考:ハローワークインターネットサービス/基本手当について

休職にもタイムリミットはある

休職中は雇用関係が続きますが、無期限に在籍できるわけではありません。休職期間は法律で一律に決まっておらず、会社の就業規則などによって異なります。勤続年数、雇用区分、傷病の種類などに応じて、認められる期間が変わる場合もあります。

休職期間が満了しても復職できない場合は、就業規則の定めに基づいて退職扱いとなることがあります。解雇が検討される場合もありますが、実際の対応では就業規則だけでなく、本人の回復状況や配置可能な業務の有無など、個別の事情も考慮されます。

また、復職できたとしても、必ずしも休職前と同じ部署や同じ仕事に戻れるとは限りません。休職前に、休職期間、満了時の扱い、復職条件、復職後の配置などを確認しておくことが大切です。

退職と休職の手続き

退職と休職では、必要な手続きや利用できる制度に違いがあります。

休職中は「傷病手当金」を受け取れる場合がある
業務外の病気やケガで働くことができず、給与が支払われない場合は、健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。
支給額は、原則として支給開始日以前12カ月間の標準報酬月額の平均額をもとに計算した、1日当たりの金額のおおよそ3分の2です。支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6カ月となります。
受給するには、業務外の病気やケガの療養中であること、仕事に就けない状態であること、連続する3日間の待期を含めて4日以上仕事を休んでいること、給与の支払いがないことなどの条件があります。
なお、休業中に給与が一部支払われていても、その額が傷病手当金の支給額を下回る場合は、差額が支給されることがあります。
参考:全国労働金庫健康保険組合/病気で仕事を休んだとき

退職後は「失業保険」が選択肢になる
退職後は、働く意思と能力があり、求職活動を行う場合に、雇用保険の基本手当、いわゆる失業保険の対象になる可能性があります。
ただし、病気やメンタルヘルス不調などにより、すぐに働けない状態では、原則として基本手当を受給できません。離職後、病気やケガなどにより30日以上働けない状態が続く場合は、基本手当の受給期間を延長できることがあります。
退職時点で働けない場合は、退職前から健康保険の傷病手当金の受給条件を満たしているか、退職後も継続して受給できるかを確認しましょう。そのうえで、回復後に求職活動を始める際は、雇用保険の基本手当を受けられるかハローワークに確認します。
参考:ハローワークよくあるご質問(雇用保険について)

社会保険や年金の手続きも変わる
休職中は会社に在籍しているため、健康保険や厚生年金保険の加入は基本的に継続します。ただし、給与が支払われない場合でも、通常の私傷病休職では健康保険料や厚生年金保険料の本人負担分が免除されるわけではありません。
退職後の健康保険については、現在加入している健康保険を任意継続する、国民健康保険に加入する、家族の健康保険の被扶養者になるといった選択肢があります。加入条件や保険料を確認したうえで、自分に合った方法を選びましょう。

また、退職後すぐに厚生年金保険へ再加入しない20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金への切り替え手続きが必要です。自営業者や無職の人などは国民年金第1号被保険者となり、厚生年金保険に加入する配偶者の扶養に入る場合は、国民年金第3号被保険者となります。
参考:日本年金機構/就職・転職・退職

休職を検討したほうがよいケース

休職を検討したほうがよいのは、心身が疲れ切っていて、冷静に判断する余裕がないときです。強いストレスが続くと、「もう退職するしかない」と考えがちですが、疲労や不調の影響で判断が極端になっている可能性もあります。

また、一時的な多忙や人間関係の悩みで参っている場合も、すぐに退職を決める前に、まず休んで状況を整理することが大切です。ただし、会社に休職制度があるか、利用条件を満たしているかは、事前に就業規則などで確認する必要があります。

疲れ切って判断力が落ちている

疲れ切って判断力が落ちているときは、退職を急ぐより、まず休職や休暇の取得を検討したほうがよい場合があります。強い疲労やストレスが続くと、普段ならしない確認漏れや判断ミスが増え、仕事上のトラブルにつながるおそれがあります。

また、無理を続けることで心身の不調が重くなり、回復までに時間がかかることもあります。疲弊していると、「休む」「相談する」といった自分を守る選択肢が見えなくなってしまうことがあります。

冷静に考えられないと感じるときは、退職を決める前に、休職や有給休暇の取得、医療機関への受診、産業医への相談などを選択肢に入れることが大切です。

一時的な多忙や人間関係で参っている

一時的な多忙や人間関係で参っている場合は、すぐに退職を決める前に、休職を検討したほうがよいことがあります。今のつらさが「会社そのものが合わない」ことによるものではなく、仕事量の急増や特定の人との関係など、一時的なストレスによって強まっている可能性があるからです。

休職して職場から一定期間離れることで、心身を休めながら状況を整理できることがあります。
「本当に退職が必要なのか」「部署異動や業務量の調整で改善できるのか」「上司や人事、産業医に相談すれば別の選択肢があるのか」といったことを、落ち着いて考えられるようになります。
また、復職に向けた面談のなかで、業務量の見直しや配置転換、就業上の配慮について相談できる場合もあります。ただし、希望した異動や業務調整が必ず認められるわけではないため、会社の制度や業務上の事情も確認する必要があります。

回復すれば働き続けたい気持ちがある

「回復すれば今の会社で働き続けたい」という気持ちがある場合は、退職を急がず、休職を検討する価値があります。体調が悪いときは思考がネガティブになり、「もう辞めるしかない」と極端に考えてしまうことがあります。
退職すると雇用関係が終了するため、同じ給与やポジション、福利厚生などの条件で元の会社へ戻ることは簡単ではありません。一方、休職であれば、会社に在籍したまま治療や休養に専念し、回復後に復職できる可能性を残せます。

休職は、今の会社で無理なく働き続けられる状態を取り戻すための選択肢の一つです。

退職を考えたほうがよいケース

退職を考えたほうがよいのは、休職しても根本的な問題の解決が見込めない場合です。たとえば、ハラスメントや過度な業務負担、人間関係の悪化などがあり、会社に相談しても改善されないケースでは、復職後に同じ状況へ戻る可能性があります。
また、部署異動や業務調整といった選択肢が現実的でない場合も、退職を検討するタイミングになり得ます。転職や独立、学び直しなど、次の道がある程度見えている場合は、心身を守るために環境を変えるという判断もあります。
ただし、ハラスメントや長時間労働などがある場合は、退職を決める前に、メール、勤怠記録、診断書などの資料を確保し、社内外の相談窓口や専門家に相談することも検討しましょう。

ハラスメントや職場の問題が改善されない

業務量の調整や一時的な多忙であれば、休職や配置転換によって状況が改善する余地があります。しかし、パワーハラスメントなどが続いている、会社に相談しても十分な対応が行われないといった状況では、個人の努力だけで職場環境を変えることは困難です。

休職によって一時的に体調が回復しても、復職後に同じ上司や業務環境のもとで働く場合は、再び同じストレスにさらされる可能性があります。
不健全な環境に長くいると、「自分が悪いのではないか」「ほかの職場でも通用しないのではないか」と考えてしまうこともあります。心身の状態を確認しながら、転職や別の働き方を検討することは、自分の健康とキャリアを守るための選択肢になります。

次の道がある程度見えている

次の道がある程度見えている場合は、休職ではなく退職を検討してもよいタイミングです。たとえば、転職先から内定を得ている、独立や資格取得に向けた準備が進んでいるなど、今後の方向性が見えている場合は、現在の職場で消耗し続けるよりも、新しい環境へ力を移すという選択があります。
心身の不調が深刻になると、新しい環境へ進むための気力や体力まで失ってしまうことがあります。体調に余力がある段階で準備を進めることができれば、次の職場や働き方へ移行しやすくなります。

一方で、勢いだけで退職するのは避けたいところです。内定がある場合は入社日と退職日を調整し、次の予定が確定していない場合は、生活費、健康保険、年金、傷病手当金、雇用保険の基本手当などの見通しを確認しておくことが大切です。

判断を急がないために確認したいこと

退職か休職かで迷うときは、勢いで判断せず、まず確認すべき点を整理することが大切です。休職を選ぶ場合は、会社の就業規則で休職期間、復職の条件、休職期間満了時の扱い、社会保険料の支払い方法などを確認しておきましょう。

あわせて、1カ月の生活費や傷病手当金の見込み額、退職した場合の雇用保険の受給条件も確認する必要があります。

休職制度の内容

休職制度は会社ごとに内容が異なります。制度があることだけを確認するのではなく、利用条件や期間、復職までの手続きなども具体的に確認しましょう。

休職期間

休職期間は会社の就業規則などで定められており、勤続年数や傷病の種類などによって、3カ月、半年、1年など期間が異なる場合があります。
一度復職した後、同じ病気などを理由に再び休職する場合は、前回の休職期間と合算される「通算規定」が設けられていることもあります。
また、休職期間が満了しても復職できない場合は、就業規則の定めに基づいて退職扱いとなることがあります。休職期間だけでなく、期間満了時の扱いや、休職期間を延長できる制度があるかも確認しておきましょう。

復職の条件

休職に入る前は「休めば戻れる」と考えがちですが、実際には、主治医の診断書を提出するだけで復職が決まるとは限りません。会社によっては、産業医との面談や人事部門による確認、復職判定の手続きなどが設けられています。
主治医が復職可能と判断しても、会社側は、通勤を継続できるか、所定労働時間勤務できるか、業務を安全かつ継続的に行えるかなどを確認します。

どの程度まで回復すれば復職できるのかも重要です。休職前と同じ業務をフルタイムで行える状態を求める会社もあれば、短時間勤務や負担の軽い業務から段階的に戻る制度を設けている会社もあります。試し出勤やリハビリ出勤の制度がある場合もあります。
復職後の業務軽減や配置転換について相談できるか、段階的な復職制度を利用できるかも、あわせて確認しておきましょう。
参考:厚生労働省/心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

社会保険料の支払い方法

休職中は給与がゼロになっても、健康保険料や厚生年金保険料の支払いは基本的に続きます。通常の私傷病休職には、産前産後休業や育児休業のような社会保険料の免除制度はありません。
給与から本人負担分を控除できない場合は、会社がいったん納付したうえで、本人が毎月会社へ振り込む方法などが取られます。復職後に精算する会社もありますが、支払い方法は会社によって異なります。
傷病手当金の申請や受取方法によっては、会社を通じた精算が行われる場合もありますが、傷病手当金から社会保険料が自動的に控除される制度ではありません。会社の担当者に、毎月の支払額、振込先、支払期限などを確認しておきましょう。

また、社会保険料とは別に、住民税の支払いも続く場合があります。給与からの特別徴収を継続できない場合は、自分で納付する普通徴収に切り替わることもあります。
休職を考える場合は、人事担当者に「休職中の社会保険料はいくらになるか」「毎月振り込む必要があるか」「住民税の支払い方法はどうなるか」を確認しておくと安心です。

お金の見通し

退職か休職かを判断する前に、お金の見通しを立てておくことが大切です。休職中の主な収入源は、条件を満たした場合に健康保険から支給される傷病手当金です。
一方で、休職中も健康保険料や厚生年金保険料、住民税、家賃、食費、通信費、医療費などの支出は続きます。通常の私傷病休職では、産前産後休業や育児休業と同様の社会保険料免除は受けられません。

確認したいのは、「毎月入るお金」と「毎月出ていくお金」の差額です。生活費、社会保険料、税金、医療費などの合計から、傷病手当金の見込み額を差し引き、毎月いくら貯金を取り崩すのかを計算してみましょう。
傷病手当金は、申請してすぐに支給されるとは限りません。申請書の記載内容や保険者の審査状況によって支給までの期間が異なるため、支給前の生活費を用意できるかも重要です。

傷病手当金の確認

傷病手当金は、業務外の病気やケガで働くことができず、給与が支払われない場合に、健康保険から支給される制度です。
受給には、業務外の病気やケガの療養中であること、仕事に就けない状態であること、連続する3日間の待期を含めて4日以上休んでいること、給与の支払いがないことなどの条件があります。
支給額は、原則として支給開始日以前12カ月間の標準報酬月額の平均額をもとに計算した、1日当たりの金額のおおよそ3分の2です。支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6カ月です。

給与が一部支払われていても、その額が傷病手当金の支給額を下回る場合は、差額が支給されることがあります。
また、申請後すぐに振り込まれるとは限らないため、休職直後の生活費をどう確保するかも考えておきましょう。

失業保険の受給条件

退職を視野に入れている場合は、失業保険、正式には雇用保険の基本手当の受給条件を確認しておくことが大切です。
基本手当を受けるには、原則として離職前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上必要です。ただし、特定受給資格者や特定理由離職者に該当する場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算6カ月以上あれば、受給資格を得られることがあります。

働ける状態か確認する
基本手当は、働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っている人が対象です。病気やメンタルヘルス不調などにより、すぐに働けない状態では、原則として受給できません。

離職後、病気やケガなどによって30日以上働けない状態が続く場合は、基本手当の受給期間を延長できることがあります。申請が遅れると、所定給付日数のすべてを受給できない場合があるため、早めにハローワークへ確認しましょう。

離職理由を確認する
自己都合退職か、正当な理由のある自己都合退職として特定理由離職者に該当するかによって、受給資格や給付制限などが変わることがあります。

体調不良を理由に退職した場合でも、自動的に特定理由離職者として扱われるわけではありません。離職理由は、離職票の記載内容や本人からの申立て、診断書などの資料をもとに、ハローワークが判断します。
退職前に、診断書や勤務状況を確認できる資料など、どのような書類が必要になるかをハローワークへ確認しておくと安心です。
参考:ハローワークインターネットサービス/特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

傷病手当金との順番も考える
働けない間は、まず健康保険の傷病手当金を受け取れるか確認し、回復して求職活動ができる状態になってから、雇用保険の基本手当を検討する流れもあります。

ただし、退職後も健康保険の傷病手当金を継続して受給するには、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること、退職日の時点で傷病手当金を受けているか、受けられる状態にあることなどの条件があります。
退職日に出勤すると、資格喪失後の継続給付を受けられなくなる可能性があるため、退職前に加入している健康保険へ確認することが重要です。
また、すぐに働けない場合は、雇用保険の基本手当について受給期間の延長手続きも検討しましょう。焦って退職を決めず、退職前後のお金の流れを整理して判断することが大切です。

ストレス源を切り離せるか

退職か休職かで迷うときは、今のストレス源を職場から切り離せるかを確認することが大切です。原因が仕事そのものではなく、特定の上司や部署、業務量にある場合は、退職しなくても状況を変えられる可能性があります。
人間関係や部署の雰囲気が原因であれば、配置転換によって負担が軽くなる場合があります。一時的な多忙が原因なら、業務の優先順位や担当範囲を見直せないか相談しましょう。
ただし、異動や業務調整は必ず認められるものではありません。会社の規模、業務内容、人員配置などによって対応できる範囲は異なります。

異動の可能性も考える

退職か休職かで迷うときは、いきなり辞める前に、異動の可能性を確認してみることが大切です。ストレスの原因が会社全体ではなく、特定の上司や同僚、部署の雰囲気、業務内容にある場合は、会社に在籍したまま環境を変えられる可能性があります。
社内公募制度や自己申告制度、人事面談などの制度があるかを確認しましょう。医師の診断書や産業医の意見をもとに、就業上の配慮を相談できることもあります。

人間関係が原因であれば部署変更によって改善する場合があり、仕事内容が原因であれば、担当業務や職種の変更が選択肢になることもあります。

業務量を調整できるか検討する

退職か休職かで迷うときは、業務量を調整できるかも確認しておきたいポイントです。今の仕事がつらい主な原因が仕事の量にある場合は、退職や休職を決める前に、納期の見直し、担当業務の一部を外すこと、優先順位を整理することなどによって、負担を減らせる可能性があります。

残業時間を減らす、テレワークを取り入れる、短時間勤務に切り替えるなど、働き方を変える方法もあります。ただし、利用できる制度や対応可能な働き方は会社によって異なるため、上司や人事担当者に確認しましょう。

産業医へ相談する

退職か休職かで迷うときは、産業医への相談も選択肢に入れておきましょう。産業医が選任されている事業場では、心身の状態や働き方について相談できる場合があります。

産業医は、本人との面談や勤務状況などを踏まえ、業務量の調整、残業の制限、配置転換などの就業上の措置について、会社に意見を述べることがあります。
相談内容や健康情報は慎重に取り扱われますが、就業上の配慮を行うために必要な情報が、本人の状態を踏まえて会社へ伝えられる場合があります。産業医へ相談する際は、どの情報が会社に共有される可能性があるのかも確認しておくと安心です。
産業医が選任されていない場合は、主治医、会社の相談窓口、外部相談窓口などへの相談も検討しましょう。

会社側が注意したい対応

会社側は、従業員が「退職か休職か」で悩んでいるときに、退職を急かしたり、本人の意思を決めつけたりしないことが大切です。
まずは本人の心身の状態や、仕事上のストレス源を確認し、会社の制度や業務上可能な範囲で、休職、業務量の調整、配置転換といった選択肢を説明しましょう。

また、ストレスチェックの集団分析を活用し、部署ごとのストレス要因や健康リスクの傾向を把握することも、職場環境改善につながります。

退職を急かさず、まず状態を確認する

会社側が注意したいのは、従業員が退職について相談している段階で、すぐに退職の意思が確定したものとして手続きを進めないことです。
強い疲労やストレスによって冷静な判断が難しくなり、一時的に「辞めるしかない」と考えている場合があります。まずは本人の体調や業務上の負担、人間関係の状況などを確認し、休職制度、傷病手当金、業務量の調整、配置転換など、利用できる可能性がある制度を説明しましょう。
必要に応じて産業医面談や医療機関への受診につなげることで、本人と会社の双方が、今後の対応を整理しやすくなります。

一方、従業員から明確な退職の意思表示があった場合は、本人の自由な意思を尊重する必要があります。無理な引き止めや、退職意思の撤回を強要するような対応は避けましょう。

休職や配置転換の選択肢を示す

会社側は、不調を抱える従業員に対して、退職だけでなく、利用可能な休職制度や配置転換などの選択肢を具体的に示すことが大切です。
本人が「もう辞めるしかない」と思い詰めている場合でも、制度の内容を知ることで、いったん休んで考えるという選択肢を持てることがあります。

休職期間とお金の見通しを伝える
就業規則上どの程度の期間休職できるのか、休職期間満了時にどのような扱いになるのか、傷病手当金を利用できる可能性があるのかを説明します。
社会保険料や住民税の支払い方法も伝えることで、休職後の生活を具体的に検討できるようになります。

配置転換の可能性を確認する
不調の原因が人間関係や業務内容にある場合は、部署異動や一時的な業務変更によって働き続けられる可能性があります。
ただし、本人の希望だけで配置転換を確約するのではなく、医師や産業医の意見、本人の能力や経験、会社の人員配置、利用可能な業務などを踏まえて検討することが必要です。

復職までの流れを説明する
休職開始から復職までに必要となる診断書や面談、復職判定の流れをあらかじめ説明します。
短時間勤務や負担の軽い業務から始める制度、試し出勤制度などがある場合は、その内容も伝えましょう。復職までの道筋が分かることで、「休職したら職場へ戻れないのではないか」という不安を減らせることがあります。

ストレスチェックを不調の未然防止に生かす

会社側は、ストレスチェックを単なる実施義務や事務手続きで終わらせず、メンタルヘルス不調の未然防止に生かすことが大切です。
ストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調者を見つけ出すことを主な目的とする制度ではありません。従業員本人に自分のストレス状態への気づきを促し、セルフケアにつなげるとともに、集団分析を通じて職場環境の改善を進める一次予防を主な目的としています。

個人のストレスチェック結果は、原則として本人へ直接通知され、本人の同意なく会社へ提供されるものではありません。また、高ストレスと判定された従業員に対する医師の面接指導は、本人から申出があった場合に行われます。

集団分析を職場改善に生かす
部署などの集団ごとに結果を分析することで、仕事の量的・質的負担、仕事のコントロール、上司や同僚からの支援、職場の健康リスクなどの傾向を把握できます。

結果は離職リスクを直接測定するものではありませんが、業務内容、労働時間、休職者数、離職者数など、ほかの情報と組み合わせて確認することで、職場が抱えている課題を検討する材料になります。

集団分析は、特定の個人が識別されない方法で行うことが前提です。2027年4月1日からは、集団分析を「特定の個人を識別することができない方法」で行うことが、労働安全衛生規則に明記されます。

集団分析の結果を踏まえ、人員配置、業務分担、仕事の進め方、管理職への支援などを見直しましょう。

相談しやすい窓口を整える
ストレスチェックの実施時期だけでなく、日頃から産業医や社内外の相談窓口を利用しやすい環境を整えることが大切です。

相談先や利用方法、プライバシーの取扱いを分かりやすく周知しておくことで、従業員が不調を抱え込む前に相談できる可能性が高まります。

早期の相談対応や職場環境改善は、本人の健康を守るだけでなく、長期休職や離職を防ぐための取り組みにもつながります。
 

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しています。
また、無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下である「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場でも実施義務化が進むため、早めの準備が大切です。
導入や運用については、ぜひお気軽にご相談ください。

ストレスチェック導入のご相談はこちら

 

    まとめ

    退職か休職かで迷うときは、勢いで判断せず、まず心身の状態、休職制度の内容、お金の見通し、復職後の環境を整理することが大切です。
    休職は、会社に在籍したまま治療や休養に専念し、回復後に復職できる可能性を残す選択肢です。ただし、休職制度はすべての会社に法律上義務付けられているものではなく、期間や復職条件、休職期間満了時の扱いは就業規則などによって異なります。
    一方、ハラスメントや過度な業務負担などがあり、職場環境の改善が見込めない場合は、退職を検討したほうがよいケースもあります。

    会社側は、従業員が退職について相談したときに本人の意思を決めつけず、休職、配置転換、業務量の調整、産業医面談など、利用できる可能性がある選択肢を説明することが重要です。
    ストレスチェックを活用することで、従業員本人のストレスへの気づきやセルフケアを促すとともに、高ストレス者が医師の面接指導を申し出る機会を設けることができます。また、集団分析を通じて部署ごとのストレス要因や健康リスクの傾向を把握し、職場環境改善につなげることも可能です。

    ストレスチェック制度は、2015年12月から、常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施が義務付けられています。
    2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務とされてきた労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施義務が拡大されました。50人未満の事業場への義務化は、2028年4月1日から施行されます。
    企業側は、実施体制、外部機関との連携、個人情報の管理、面接指導への対応などについて、施行前から準備を進めておく必要があります。
    参考:厚生労働省/ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策

    ストレスチェッカーは、官公庁・上場企業・医療機関などで採用されている国内最大級のストレスチェックツールです。自動リマインド、面接指導者管理、進捗確認機能を標準搭載し、2025年5月からは無料プランでも「プレゼンティーイズム(生産性低下)」の測定に対応しております。

    導入方法や実施方法など、お気軽にお問い合わせください。

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