認知行動療法とは|特徴は?どんな効果がある?

認知行動療法は、うつ病の精神療法のひとつです。
精神療法とは、うつ病の発症に関わるストレスや環境、性格、考え方などを見つめ直して、みずから問題を解決できるよう、専門的な知識を持ったスタッフがサポートします。
うつ病の精神療法には、体系化された認知行動療法の他にも、心理教育、精神分析療法などがあります。

認知行動療法とは

認知行動療法(認知療法・認知行動療法 ※以下認知行動療法)とは、自分の悲観的な考え方のクセや偏りに気づいて修正する精神療法です。

認知行動療法の祖といわれる精神科医のアーロン・T・ベックは、「今、意識していること」に注目して、患者の苦しみを取り除く方法を開発しました。この認知療法に行動療法の技法を取り入れたのが「認知行動療法」です。

このような精神療法には、認知行動療法の他にも、支持療法や精神分析方法、家族療法、対人関係療法、心理教育などさまざまな療法に大別されます。

認知行動療法自分の悲観的な考え方のクセや偏りに気づき、それを修正する療法
支持的精神療法悩みや訴えを聴いて共感し、不安を軽減する療法。
「傾聴」「共感」「受容」を基本とした対話によって、患者さんを支えながら治療を進めていきます。今では精神科医だけでなく、「心」を扱うすべての人たちに浸透しています。
家族療法心の不調を家族全体の問題として捉え、お互いに理解を深める療法
対人関係療法問題の焦点を人間関係に絞って、ストレスを軽減させる方法を探る療法
精神分析療法無意識に繰り返す行動のパターンを探って、問題を解決する療法
心理教育正しい病気の知識を理解し、心理面に配慮しながら伝える療法

(1)認知行動療法の特徴

認知行動療法では、気持ちが動揺した時や、その瞬間のイメージや考えを「自動思考」といいます。
この自動思考は、人それぞれに違う心のクセに左右されます。
たとえば、親しい人にLINEを送ってすぐに返信がなかった時に「嫌われたのでは?」「何か怒らせるようなことをしただろうか」と悲観的なとらえ方をしてしまうクセを持つ人がいます。
認知行動療法では、このような悲観的な考え方やとらえ方をしてしまう「自動思考」に注目して、認知や行動のクセや偏りを修正しながら本来持っていた心の力を取り戻し、困難を乗り越え問題の解決を目指す療法です。

▶ 厚生労働省「うつ病の認知療法・認知行動療法」

(2)認知行動療法の効果

認知行動療法は、うつ病やパニック症状、強迫症などに高い効果をもたらすことが分かっています。
しかし認知行動療法を受ければ、薬を飲まずにすべてのうつ病やパニック症状、強迫症が治るというわけではありません。
したがって、認知行動療法で効果を実感したからと言って、自己判断で医師に指導されている服薬をストップしてしまうのは、避けるべきです。
通常、うつ病の治療は、医師が個々の症状に応じた治療計画を策定し、その計画に基づいて進められます。
医師が薬物療法と認知行動療法を併用している場合には、両方のアプロ―チによる治療が有効だと判断したということです。
したがってこの場合には、医師の指示どおりに薬物療法と認知行動療法を併用する方が、効果が期待できると考えられます。
医師は患者の症状に応じて、薬物療法や認知行動療法だけではなく、食事療法や運動療法も組み合わせて行うものだからです。

(3)認知行動療法の「コラム法」とは

前述した自動思考は、自分の意思とは関係なく生じる認知のクセ・偏りです。
そこで認知行動療法では、この自動思考を見直して別の柔軟な考え方を身につけることを目的として、コラム法が進められます。
コラム法は、特にうつ病における治療の基本となっています。
コラムとは、表の中の記入欄のことで、項目タイトルの右側の空欄に、自分の体験を記入することで、自動思考を整理していきます。基本的な項目は「出来事」「考え(自動思考)」「気分(感情)」の3つです。
自動思考を見直すコツは、コラム法を通じて、考えの根拠を捜し、その考えで本当に困ったことが起こるのかを予測すること、そして別の考え方を探すことです。

これらを意識しながら、自動思考を見直してみると、事実に沿った別の考え方に気づくことができ、悲観的な考え方を修正して、問題が解決しやすくなります。

(4)認知行動療法の「問題解決技法」とは

うつ病になると、悩みや心配ごとが次々と思い出され、何をどう対処していいか分からなくなり、気持ちが焦り物事に手がつけられなくなってしまいます。
そのような時には、認知行動療法のひとつである「問題解決技法」が進められます。
問題解決技法は、①問題を具体化する、②解決策を検討する、③その解決策のメリット、デメリットを考える、④解決策を実行する、⑤結果を評価するという5つのステップで行います。
解決策によって問題が解決すれば、その方法を続けます。そして解決できなかったら、①~③を繰り返します。このステップを繰り返すことで、自分のペースで自信を積み重ね、問題を解決する力を身につけることが期待できます。

(5)認知行動療法の治療・通院

認知行動療法を受けたい人は、その療法に関心があることを医師に伝えましょう。なぜなら、現在はうつ病やパニック症状などの治療は、薬物療法が中心だからです。
その医師が認知行動療法に精通していない場合には、認知行動療法を実施している専門機関に紹介状を書いてくれるでしょう。

なお、うつ病の治療として保険適用で認知行動療法を受ける場合には、1回の診療が30分を超えること、一連の治療は16回までとすること、医師が治療計画を作成して患者に詳細な説明を行う、といった要件があります。そこで、認知行動療法はこのペースで進められることが多いようです。したがって、週1回の通院で最大4カ月程度の通院による治療が目安となります。

認知行動療法は、原則として30分間の面接を16-20回行います(個々の状態によって変更することもできます)。

【認知行動療法の進め方】

①まずは自分のストレスに気づき、問題を整理します。
問題領域リストの例
・心理・精神症状の問題
・対人関係の問題
・健康の問題
・経済的な問題
・職業上・学業上の問題
・余暇・娯楽の問題
・その他

②その問題がどのような状況で起き、その結果どのような感情を引きおこしている
のか確認します。

③自分の考え方(自動思考)が自身の感情や行動にどのように影響しているのか確認します。

④自分の自動思考の特徴的なくせに気づきます。

⑤自動思考の内容と現実とのズレに注目し、モノの見方を変えるための練習を行います。

⑥モノの見方、考え方が変わってきたら、問題を解決する方法や人間関係を改善する方法を練習します。

▶ 厚生労働省「うつ病の認知療法・認知行動療法」

まとめ

認知行動療法は、薬物療法と併用すると効果が高いといわれますが、どのような効果があるのかについては、個人差があります。主治医とよく相談して、支持的精神療法や薬物療法と併用しながら、前述した問題解決技法を習慣的に行ないながら、心が楽になる方法を焦らず見つけていくことが大切です。

法人向けストレスチェッカーへのお問合せ

法人向けストレスチェッカーは、官公庁、テレビ局、大学等に導入いただいている日本最大級のストレスチェックツールです。
ストレスチェックの導入から実施までフルサポートさせていただく他、各種セミナーも行っております。

社内の実施事務従事者にストレスチェックのシステムをご利用いただく『無料プラン』もございます。お気軽にお問い合わせください。

    あわせて読みたい

    ▶ うつ病で労災認定|企業が取るべき対応とは

    ▶ 断眠療法とは|やり方は?効果、副作用はある?

    ▶ テレワークのメンタルヘルス対策|6つのポイント

    ▶ ストレッサー(ストレス要因)とは?|分類別対処法

    ▶ 季節性うつ病とは|症状・対策・治療法