ストレスチェックの義務化|基礎知識&用語

2015年12月1日から改正労働安全衛生法が施行され、すべての企業でストレスチェック制度の実施が義務づけられました(50人未満の事業場では、当面は努力義務)。

▶ 厚生労働省「ストレ スチェック制度導入マニュアル」

ストレスチェックを通じて労働者が心身の状態に気付くことで、メンタルヘルスの不調を未然に防止すること、ストレスチェックの結果を活用して職場環境の改善につなげることを目的としています。

ストレスチェック義務化とは

労働安全衛生法の一部改正によって、ストレスチェックが義務化されました。
厚生労働省は、平成18年に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を公表し、事業場におけるメンタルヘルスケアの実施を促進してきました。
しかし、仕事による強いストレスが原因でメンタルヘルス疾患を発症し、それが労災認定される労働者は増加しており、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することが、さらに重要な課題となりました。

そこで、労働安全衛生法を一部改正し、ストレスチェック制度を創設されました。

▶ ストレスチェックとは|実施方法は?罰則はあるの?

(1)ストレスチェックの対象となる事業場

ストレスチェックを常時使用する労働者に対して実施することは、事業者の義務です(ただし、50人未満の事業場については当分の間努力義務)。
企業単位ではなく事業場単位で労働者数をカウントし、その数によって義務となるのか努力義務なのかを判定します。

アルバイトやパート労働者であっても、常時使用すれば50人のカウントに含めますが、契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間の労働者はストレスチェック受検の対象外です。
(※「ストレスチェックの対象となる労働者」で、詳しくご紹介します)。

人数 ストレスチェック制度の対象
A会社 正社員 55人 義務
B会社 正社員 40人 努力義務
40人 努力義務
40人 努力義務
40人 努力義務
40人 努力義務
C会社 正社員 100人 義務
100人 義務
50人 義務
25人 努力義務
25人 努力義務
30人 努力義務

ストレスチェック制度は事業場ごとに適用されますが、全社共通のルールを決めて各事業場で実施する方法も可能です。ただし、法令では「事業場ごとに適用」とされていますので、全社共通のルールを決めた場合も、各事業場の衛生委員会等で確認して労働者に周知する必要がありますし、労働基準監督署への報告も各事業場で行います。

50人未満の事業場については、当面の間ストレスチェックの実施は努力義務ですが、安全配慮義務に関するリスクを少しでも低減できるメリットがありますので、助成金等を活用しながら実施することをおすすめします。

※小規模企業でストレスチェックを行う場合の助成金
①ストレスチェック(年1回を行った場合)
1労働者につき500円を上限として、その実費額を支給
②ストレスチェック後の面接指導などの産業医活動を受けた場合
1事業場あたり産業医1回の活動につき21500円を上限として、その実費額を支給

▶ 厚生労働省「労働条件等関係助成金のご案内」

(2)ストレスチェックの対象となる労働者

ストレスチェックの対象となる「常時使用する労働者」とは、以下のとおりです。

労働者の種類 契約期間 所定労働時間数 対象となるか否か
正社員 期間の定めなし フルタイム 対象となる
契約社員 1年以上(更新含む) 3/4以上 対象となる
1年未満(更新予定なし) 3/4以上 対象外
1年以上(更新含む) 3/4未満 対象外
1年未満(更新予定なし) 3/4未満 対象外

実施義務となる「常時使用する労働者50人以上」をカウントする際には、ストレスチェックの受検対象外の労働者も含めます。週1回しか労働していないアルバイト労働者であっても、継続して雇用し常態として使用しているのであれば、常時使用する労働者としてカウントします。

事業場に正社員40人、パートが10人いる場合
「事業場全体で50人以上」となるのでストレスチェックの対象となり、正社員40人に対してストレスチェックを実施することになります(パートに対しては、一定条件を満たさない場合努力義務)。

休職中の労働者
ストレスチェックを実施しなくても、差し支えないとされています。

海外の現地法人に雇用されている労働者
日本の法律が適用されないので、ストレスチェックの実施義務はありません。ただし、日本の企業から長期出張している労働者については、ストレスチェックの対象となります。

ストレスチェック制度の基礎知識・用語

ストレスチェックは、1年ごとに1回以上定期的に検査を行います。
質問票を労働者に提供し、その回答を医師などの実施者(または実施実務従事者)が収集してストレス度を評価します。高ストレス判定となり面接指導が必要な労働者には、その旨を通知し面接希望の意思確認を行います。希望があれば、面接をうけさせなければなりません(義務)。

引用:▶ 厚生労働省「ストレ スチェック制度導入マニュアル」

ここでは、ストレスチェック制度の概要や基礎知識を理解するうえで、必要となる主な用語の定義について解説します。

(1)質問票

ストレスチェックの質問票は、衛生委員会で審議のうえ、事業者が決定します。厚生労働省では、職業性ストレス簡易調査票(57項目)を推奨していますが、簡易版(23項目)もあります。

また、職業性ストレス簡易調査票(57問)に加え、ハラスメントやワーク・エンゲイジメント(やる気や職場のいきいき度など)、職場環境の状況がよりわかる設問を加えた、新職業性ストレス簡易調査票短縮版(80問)もあります。

(2)事業者

労働安全衛生法では、事業者について「事業を行う者で、労働者を使用する者をいう。」と定義されています。
会社その他の法人では「法人」、個人事業所では「個人事業主」のことを意味します。

(3)産業医

産業医とは、産業医の資格を持ち事業場と契約した医師のことです。
事業者は、一定規模の事業所ごとに医師のなかから産業医を選任して、労働者の健康管理などを行わせなければなりません(安衛法13条1項)。

対象従業員数 業務内容
通常業務 有害業務
50人未満 選任義務なし
50~499人 嘱託産業医1人 嘱託産業医1人
500人~999人 専属産業医1人
1,000人~3,000人 専属産業医1人
3,001人以上 専属産業医2人

産業医の主な職務は、健康診断や作業環境の管理、健康教育、健康障害の原因調査および再発防止のための措置など多岐にわたります。

ストレスチェックの実施に関して、産業医は主に以下の職務に関わるのが望ましいとされています。

①ストレスチェックの実施
②ストレスチェックの実施についての助言
③ストレスチェック実施後の面接指導の実施
④ストレスチェックの結果についての集団分析
⑤面接指導の結果についての事業主への意見聴取
⑥その他ストレスチェックに係る産業医活動

▶ ストレスチェックを産業医に依頼する時のポイント

(4)実施者

実施者とは、ストレスチェックを実施する人で、医師、保健師または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師です。
つまり産業医が実施者になれない事情がある場合でも、実施者の有資格者がいるEAP(従業員支援プログラム)を請け負う外部の業者に委託して実施することが可能です。

(5)実施事務従事者

実施者の指示によって、ストレスチェックの実施事務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力または結果の保存等)に携わる人です。
人事権を有する人は、同意を得ていない個人結果を取り扱うことができませんので、ストレスチェックの実務に携わることはできません。

(6)共同実施者・実施代表者

事業場の産業医等および外部機関の医師が、共同でストレスチェックを実施する場合など、実施者が複数いる場合には実施者を「共同実施者」そして、複数の実施者を代表する人を「実施代表者」といいます。
前述したとおり、ストレスチェックの実施者は産業医に限定されませんが、その後の面接指導などを考えれば、産業医を共同実施者としてストレスチェッカー等の外部業者を利用するのがおすすめです。

ストレスチェックの導入から実施まで

ストレスチェッカーは、ストレスチェックの導入、実施、実施事務従事者を代行、集団分析、面接希望者の集計まですべてお任せいただけます。
ストレスチェックデータに加え、業績評価や残業時間等のHRデータをクロス解析するプランなどもご用意しております。

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(7)衛生管理者

衛生管理者は、安全衛生業務のうち衛生に係る全般を管理します。一定の規模および業種の区分に応じて選任されます。また、一定の要件に該当する場合には、衛生管理者のうち1人を専任の衛生管理者としなければなりません。

事業場の規模(常時使用する労働者の数) 衛生管理者の数
50人~200人 1人
201人~500人 2人
501人~1,000人 3人
1001人~2,000人 4人
2,001人~3,000人 5人
3,001人以上 6人

(8)衛生委員会

50人以上の労働者がいる事業場では、衛生管理委員会を設けることになっています。衛生委員会は、労働者の健康障害を防止するための対策や労働者の精神的健康の保持を図るための対策の樹立(ストレスチェック等)、衛生に関する規程の作成、衛生教育の実施計画の作成などを調査審議します。
なお、衛生委員会、安全委員会(労働者の危険防止の対策等を行う委員会)それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができます。

(9)集団分析

集団分析とは、ストレスチェックの結果を集団ごと(部、課、グループ、チームなど)ごとに集計・分析することです。その結果を職場環境の改善につなげることが望まれます。

ストレスチェック制度は個人情報保護の観点から、ストレスチェックの結果を本人だけが把握します。事業者が個人の情報を入手することができるのは、本人からの同意を得た場合、もしくは医師面接(高ストレス者に対する面接)の申し出があった場合だけです。
しかし、多くの時間やコストをかけて集めたデータを全く活用できないと職場改善につなげることが難しくなります。
そこで、ストレスチェック制度では会社が個人情報を含まない形でデータを収集して、職場のストレス状況を把握することが盛り込まれています。それが「集団分析」です。

(10)仕事のストレス判定図

仕事のストレス判定図とは、部署や課などの集団を対象に、仕事のストレス要因の程度と労働者の健康に与える影響の大きさを判定する方法です。

仕事のストレス判定図から評価される健康リスクを参考にしながら、他の情報もあわせて考慮して、総合的にリスク評価を行い、職場環境の改善につなげることが大切です。

▶ 仕事のストレス判定図|判定の流れ・見方【まとめ】

まとめ

ストレスチェックが義務化されましたが、労働安全衛生調査(平成30年)によれば、50人以上の事業場について、労働安全衛生法に基づくストレスチェックを実施した事業場割合は8割程度です。

▶ 厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況」

職場が原因でメンタルヘルス疾患を発症した労働者から訴えられた場合、「会社が安全配慮義務を果たしていたのか」は重視されますし義務を果たしていない場合には大きなリスクとなるでしょう。

ストレスチェッカーは、社内の実施事務従事者にストレスチェックのシステムを無料でご利用いただけるプランの他、個々の状況に合わせてさまざまなオプションをご提供しております。お気軽にお問い合わせください。

    【監修】
    公認心理師 山本 久美(株式会社HRデ―タラボ)

    大手技術者派遣グループの人事部門でマネジメントに携わるなかで、職場のメンタルヘルス体制の構築をはじめ復職支援やセクハラ相談窓口としての実務を永年経験。
    現在は公認心理師として、ストレスチェックのコンサルタントを中心に、働く人を対象とした対面・Webやメールなどによるカウンセリングを行っている。産業保健領域が専門。

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