仕事のストレス判定図|判定の流れ・見方【まとめ】

仕事のストレス判定図は、集団を対象として仕事上のストレス要因を評価し、労働者の健康にどの程度の影響を与えているかを測定するためのツールです。特別な専門知識がなくても誰でも簡単に使用することができ、ストレスの大小だけでなく健康リスクも把握することができます。

仕事のストレス判定図とは

ストレスチェック制度は、従業員が自身のストレス状態を確認できるだけでなく、部署、課などの集団を対象に、仕事のストレス要因の程度や労働者の健康に与える影響の大きさを評価することができます。

仕事のストレス判定図は、職場内の集団(全社、部署別など)を対象に、ストレスの程度と、これらが労働者の健康に与える影響の大きさを評価するためのツールです。4つのストレス要因である「仕事の量的負担」、「仕事のコントロール」、「上司の支援」、「同僚の支援」から、ストレスの大きさとその健康への影響を測定することができます。

「仕事の量的負担」と「仕事のコントロール」
仕事で求められる作業の量やスピードに比べて、自分の裁量権や自由度が限られている(仕事上のコントロールが低い)場合に、高ストレスと測定されます。

「上司の支援」と「同僚の支援」
上司の支援や同僚の支援が十分な場合に仕事上のストレスは少なくなります。

健康リスクと総合健康リスクを算出

仕事のストレス判定図の斜めの線の値は、仕事のストレス要因から予想される疾病や休業などの健康問題のリスクについて、標準集団の平均は100として表します。

2つの図の健康リスクを掛け合わせることで、各職場の総合健康リスクを算出できます。
たとえば、総合健康リスクが120だった場合には、標準的な職場(総合健康リスク100)よりも、メンタルヘルス不調の問題が生じる可能性が20%高い状態にあると言えます。

仕事のストレス判定図の流れ

仕事のストレス判定図は、所定の質問票に回答してもらって、その点数を集計して全国の平均と比較して問題の有無を把握します。下記は、仕事のストレス判定図の流れを表したものです。

①所定のストレス調査票に回答してもらいます。
②従業員の性別によって判定図を選びます。
③1人1人の調査票から4つの点数を計算し、全員の平均を求めます。
④職場の平均点を判定図上にプロっとします。
⑤自分の職場のストレスの特徴を全国平均と比較して判定します。
⑥斜めの線の値から、健康リスクを読みとります。2つの図の値を掛け合わせたものが総合した健康リスクになります。

労働省「作業関連の予防に関する研究」班健康影響評」

量-コントロール判定図

「量-コントロール判定図」は、仕事の量的負担(横軸)と仕事のコントロール(縦軸)でプロットされた図で、仕事の要求度(=仕事の量的負担)と仕事の裁量度(=仕事のコントロール)によって職場の状態を4つに分け、それぞれのカテゴリーごとにストレスの種類や仕事への取り組み方を比較することができます。
仕事の量的負担が高く、コントロール度合い(裁量)が低い職場ほど、高ストレスとなります。

(1)仕事の量的負担

仕事の量的負担の得点は、仕事の分量や長時間労働など、仕事のボリュームに関する指標です。
長時間労働によってストレスがかかると、交感神経の過活動やストレスホルモンの過剰分泌が起こります。そして、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが増加することが知られています。

国立がん研究センター「労働時間と急性心筋梗塞・脳卒中発症リスクとの関連」

(2)仕事のコントロール

仕事のコントロールとは、仕事上の裁量権や自由度のことで、仕事上のコントロールが大きい方がストレスを感じにくいとされています。
仕事の量的負担が高いのに、仕事をコントロールする裁量が十分与えられていない状態は、心身のストレス反応のリスクが高くなります。

仕事の量的負担が高くても、仕事を自分でコントロールする裁量を十分与えられていれば、生産性や満足度が高まり心身のストレス反応のリスクが低くなる傾向があります。

厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票を用いた
ストレスの現状把握のためのマニュアル」

職場の支援判定図

職場の支援判定図は、横軸に「上司の支援」、縦軸に「同僚の支援」が置いてある図で、職場のラインケアについてプロットした図です。
「あなたが困った時、どのくらい頼りになりますか?」「あなたの個人的な問題を相談したら、どのくらい聞いてくれますか?」などの質問から算出されます。
上司や同僚の支援がない職場ほど、高ストレスとなります。

(1)上司の支援

上司の支援は、マネジメントの適否に関する指標です。
上司が職場をうまく管理している場合や、必要に応じて部下の相談などに乗ってくれる場合、つまり上司の支援が高い場合に仕事上のストレスは少なくなります。

上司の支援の得点が低い場合には、上司が指導できていない、もしくは上司と部下が一緒に仕事を進める体制ができていないといった問題がないか、検討する必要があります。

もちろん個人の相性の問題で、上司と部下がよい関係を築けていない可能性もありますが、集団分析の結果として表れている場合には、マネジメントに問題がある可能性が高くなります。

(2)同僚の支援

一緒に仕事をしている職場の同僚が困った時に助言をしてくれたり、相談に乗ってくれたりする職場環境である場合、仕事のストレスは少なくなります。
従業員の人間関係がギスギスしていたり、忙しくて互いをサポートできていなかったりすると、この項目の得点が低くなります。特定の従業員の問題で、職場全体の雰囲気が悪くなっている可能性もありますので、各々の職場の実情を踏まえて問題点を正確に把握し、適切に対処する必要があります。

まとめ

仕事のストレス判定図からは、4つの仕事上のストレス要因である「仕事の量的負担」、「仕事のコントロール」、「上司の支援」、「同僚の支援」のリスク値をひと目で確認することができます。
ただし、もし全体的にリスク値が全国平均を下回っていても、同じ職場の中でのストレス度の高低差がある場合には、注意が必要です。

職場全体のリスク値が70で、リスク値90の集団があった場合には、その集団は全国平均を下回ってはいるものの、職場全体の平均より高いストレスを感じているということを意味します。

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    【監修】
    公認心理師 山本 久美(株式会社HRデ―タラボ)

    大手技術者派遣グループの人事部門でマネジメントに携わるなかで、職場のメンタルヘルス体制の構築をはじめ復職支援やセクハラ相談窓口としての実務を永年経験。
    現在は公認心理師として、ストレスチェックのコンサルタントを中心に、働く人を対象とした対面・Webやメールなどによるカウンセリングを行っている。産業保健領域が専門。

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