【2021年度版】ストレスチェックの面接指導8つのポイント

ストレスチェックの結果は、実施者から直接本人に通知されます。

そして、高ストレス者で面接指導が必要であると選定された従業員には面接指導の申出の勧奨が行われ、本人から申し出があった場合には、おおむね1カ月以内に医師による面談を行わなければなりません。

従業員のなかには高ストレスであっても、面接指導を希望しない人がいますが、大事に至らないようにするためには、メンタルヘルス不調を早期に発見し医師による面接指導を勧奨することが非常に重要です。

ストレスチェックの面接指導の流れ

実施者は、ストレスチェックの結果を労働者に通知し、面接指導対象者に対して、面接指導を受けるように勧奨します。

ストレスチェック結果の通知内容は、以下の3つで、このうち1については①~③まですべての内容を必ず通知しなければならず、2、3については通知するのが望ましいとされています。

①個人のストレスプロフィール(個人ごとのストレスの特徴や傾向を数値、図表等で示したもの
右の3つの項目ごとの点数を含むことが必要です。
職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
②ストレスの程度(高ストレスに該当するかどうかを示した評価結果)
③面接指導の対象者か否かの判定結果
セルフケアのためのアドバイス
3事業者への面接指導の申し出方法(申し出窓口)
※1で面接指導の対象とされた者に限ります。

(1)実施者が高ストレス者の選定基準を決定する

ストレスチェックの質問票の回答をもとに、医師などの実施者がストレスの程度を評価し、高ストレスで医師の面接が必要な者(高ストレス者)を選定します。

高ストレス者とは、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い人です。

高ストレス者の選定基準は、次の1または2のいずれかの要件を満たす人です。具体的な選定基準は、実施者の意見および衛生委員会等での調査審議を踏まえて事業者が決定しますが、個々の評価は実施者が行います。

1.「心理的な負荷による心身の自覚症状に関する項目」(心身のストレス反応)の評価点数の合計が高い者

2.「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」(仕事のストレス要因)および「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目」(周囲のサポート)の評価点数の合計が著しく高い者

なお、ストレスチェックの個人結果は本人の同意がない限り事業者には知らされることはありません。
▶ ストレスチェック制度における高ストレス者の選定

(2)実施者は面接指導の勧奨を行う

実施者から受検者にストレスチェックの結果を通知する際、面接指導が必要とされた労働者へは面接指導の申し出方法を合わせて通知します。
面接指導の申し出を行わない労働者に対して、申し出の勧奨ができるのはストレスチェックの実施者と実施事務従事者などストレスチェックの個人結果を扱える者に限られています。

面接指導の申し出の勧奨方法としては、以下のような方法があります。

①ストレスチェックの実施者(または実施事務従事者)が個人のストレスチェック結果を本人に通知する際に、あわせて面接指導の対象者であることを伝え、面接指導を受けるよう勧奨する方法

②個人のストレスチェック結果の通知から一定期間後に、実施者(または実施事務従事者)が封書またはメールで本人にその後の状況について確認し、面接指導の申し出を行っていないものに対して面接指導を受けるよう勧奨する方法

③事業者と連携し、すでに事業者に対して申し出を行った労働者を除いて勧奨する方法

(3)申し出があったら面接指導を実施する

ストレスチェックにより「医師による面接指導が必要」と判断された労働者から申し出があった場合には、医師に依頼して面接指導を実施しましょう。

労働者は結果が通知されてから、おおむね1カ月以内に申し出を行う必要があります。また医師による面接指導は、労働者から申し出があってからおおむね1カ月以内に行う必要があります。

なお、面接指導を受けるか否かは、労働者本人が選択することであり、事業者側は強制することはできません。しかし、ストレスチェック制度がメンタルヘルス不調の予防を目的とする制度であることから、面接指導が必要と判断された労働者には、できる限り申し出てもらえるよう努めることが大切です。

(4)面接指導の実施方法

面接指導において、医師は労働者の勤務の状況、心理的な負担の状況、心身の状況を確認します。実施方法については、厚生労働省「ストレスチェック指針」において、以下のように説明しています。

面接指導を実施する医師は、面接指導において次に掲げる事項について確認するものとする。

① 当該労働者の勤務の状況(職場における当該労働者の心理的な負担の原因及び職場における他の労働者による当該労働者への支援の状況を含む。)
② 当該労働者の心理的な負担の状況
③ ②のほか、当該労働者の心身の状況

なお、事業者は、当該労働者の勤務の状況および職場環境等を勘案した適切な面接指導が行われるよう、あらかじめ、面接指導を実施する医師に対して以下の勤務の状況や職場環境等に関する情報を提供する必要がある。

①当該労働者に関する労働時間、②労働密度、③深夜業の回数及び時間数、④作業態様並びに作業負荷の状況など

▶ 厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」

面接指導は、「問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと」とされていますので、直接対面で行うことが原則ですが、産業医が面接指導を行うなど労働者の心身の状況を把握して必要な指導ができるのであれば、オンラインで面接指導を行うこともできます(電話は不可)。

ただし、オンラインで面接指導を実施するためには、実施方法について事前に衛生委員会で調査審議を行ったうえで労働者に周知していること、表情や顔色、声、しぐさが確認でき、映像と音声が常時安定しかつ円滑であること、情報セキュリティが確保されていることなどの要件を満たす必要があります。

コロナ禍で難しい状況ではありますが、労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ、話し方、声色など)から労働者の疲労の状況やストレスの状況、心身の状況を把握することの重要性を考えると、可能な限り対面で行うのが望ましいです。

面接希望者には、あらかじめ以下の面接指導自己チェック表に記入してもらい、業務の過重性、ストレス要因についての情報を収集することで、よりスムーズに面接指導を進めることができます。

なお、厚生労働省が作成した上記長時間労働者への面接指導チェックリスト(医師用)については、以下からダウンロードすることができますので、あわせてご覧ください。

面接指導チェックリスト

医師は面接指導において、以下の事項について労働者に医学上の指導を行います。

1.保健指導
 ストレス対処技術の指導
 気づきとセルフケア

2.受診指導(※面接指導の結果、必要に応じて実施)
 専門機関の受診の勧奨と紹介

(5)医師から面接指導の結果を聴取

事業者は、面接指導の結果について医師から意見を聴取します。
事業者が医師から必要な措置について意見を聞く際には、面接指導後遅滞なく(おおむね1カ月以内)、就業上の措置の必要性の有無および講ずべき措置の内容その他の必要な措置に関して意見を聞きます。

意見を聞く医師が外部の精神科医などである場合には、労働者の勤務状況などを把握していないことがありますので、あわせて産業医の意見も聞いておくとよいでしょう。

(6)必要に応じて就業制限または休業措置をとる

就業上の措置としては、就業制限(時間外労働や休日労働の削減、出張の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更など)や療養のための休暇または休職などの措置を講ずる場合もあります。

厚生労働省「ストレスチェック指針」においては、就業制限または休業措置について以下のように説明しています。

——–
ア:下表に基づく就業区分およびその内容に関する医師の判断

就業区分就業上の措置の内容
区分内容
通常勤務通常の勤務でよいもの
就業制限勤務に制限を加える必要があるものメンタルヘルス不調を未然に防止するため、労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少または昼間勤務への転換などの措置を講じる。
要休業勤務を休む必要のあるもの療養等のため、休暇または休職などにより一定期間勤務させない措置を講じる

イ:必要に応じ、職場環境の改善に関する意見
——–

面接指導の結果に基づき、就業上の措置を提案しても本人が拒む場合も考えられます。
したがって、就業上の措置を決定する場合には、事前に労働者の意見をていねいに聞き十分に話し合い、労働者の了解を得られるよう努力するのはもちろん、労働者に対する不利益な取り扱いにつながることがないことを説明するなど、十分留意しなければなりません。

医師の意見については、衛生委員会などに報告し、その他の適切な措置を講じます。就業上の措置を行った結果ストレス状態が改善した場合には、労働者の意見および産業医などの意見を踏まえ、通常の勤務に戻すなど適切な措置を講じます。

(7)面接指導の結果記録は5年間保存する

面接指導の結果記録は、5年間保存します。
記録、保存する内容は、以下の7項目です。

①面接指導の実施年月日
②労働者の氏名
③面接指導を実施した医師の氏名
④当該労働者の勤務状況
⑤当該労働者の心理的な負担の状況
⑥その他の当該労働者の心身の状況
⑦当該労働者の健康を保持するために必要な措置についての医師の意見

なお、面接の内容(診断名、検査値、労働者が訴える症状等のデータ)については、本人の同意がないと事業者に提供できないことになっています。
したがって、面接指導を実施した医者は、面接指導を受けた労働者の健康を確保するための就業上の措置を、必要最小限の情報に限定して、事業者に提供しなければなりません。

(8)高ストレスの原因を把握することが重要

ストレスチェックで大切なのは、高ストレスの原因を把握してそれを解消するための対策をとることです。
したがって、高ストレス者に対して面接指導を行い、就業上の措置を行ったらそれで終わりではなく、その高ストレスの原因をきちんと確認しなければなりません。

仮に、高ストレス者と判断された労働者が、過重労働やハラスメントが原因でメンタルヘルス不調になり、会社がそれに対して何も対策をとらないままでいると、再び同じような事態が発生し、他の労働者がメンタルヘルス不調になるリスクがあります。

さらに、会社は安全配慮義務違反を問われ、民事上の損害賠償請求リスクや企業のイメージ失墜につながる可能性も出てきます。

まとめ

以上、ストレスチェック後の面接指導の流れ、および注意すべきポイントについてご紹介しました。
ストレスチェック後、高ストレス者と判断された労働者から申し出があった場合には、医師による面接指導を実施し、必要に応じて就業上の措置を講じなければなりません。さらに、面接指導の実施と就業上の措置だけでなく、事業者が主体的に原因を確認し、過重労働やハラスメントが職場内で生じていないか把握し改善することが望まれます。

ストレスチェッカーでは、ストレスチェックの個人結果について産業医の先生に見ていただき、面接指導が必要な従業員に医師面接の案内をメールで送信します。

医師の面接指導を受けたくても、社内の担当者に申し出ることに抵抗を感じる労働者もいますが、社外のスタッフから面接指導について案内することで、面接の申し出のハードルを下げ、面接指導の実施率をあげることにつながります。

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