国は、このようなメンタルヘルスの不調を未然に防ぐことを目的として、平成27年(2015年)の12月から、ストレスチェック制度を義務づける(ただし50人未満の事業所が対象)ことにしましたが、企業の取り組みの現状はどうなっているのでしょうか。
目次
国のメンタルヘルス対策
2013年「労働安全衛生調査」(厚生労働省)によると、過去1年間にメンタルヘルスの不調を理由として1カ月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は全体で10%となっています。とくに500人以上の事業所においては80%を超えるという結果が出ています。
引用:▶ 厚生労働省「平成25年 労働安全衛生調査」
このような状況を重視し、厚生労働省はうつ病などの心の問題を国全体で取り組むべき課題とすることとし、2011年、地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込む室病を「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患」の5大疾病とする方針を掲げました。
そして、「第12次労働災害防止計画」(平成25年度~29年度)で労働者の「メンタルヘルス対策(メンタルヘルスケア)を重点施策対策の1つに位置づけることとし、平成30年3月末までに対策に取組む事業所の割合を80%以上にすることを目標としました。
メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業の割合
平成23年度(2011年)に(独)労働政策研究・研修機構が行った「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」によれば、メンタルヘルス対策に取り組んでいると回答している企業は、企業規模1,000人以上では7割を超えています。しかし、100~299人規模では5割を切るという結果になっています。さらに、これが100人未満の会社になると3割程度しか取り組んでいないことが分かります。
つまり、国が労働者の「メンタルヘルス対策(メンタルヘルスケア)を重点施策対策の1つに位置づけることとしているにも関わらず、未だに多くの企業でメンタルヘルス対策が万全でないこと、とくに中小規模の事業所を中心に取り組みが遅れていることが分かります。
ただし、現在は対策に取り組んでいない事業所でも、そのうち過半数の企業が取り組みを強化したいと回答しているので、メンタルケア対策の必要性は浸透しているものと思われます。
引用:▶ 平成23年度(2011年)(独)労働政策研究・研修機構「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」
中小企業こそメンタルヘルス対策に取り組むべき理由
先ほどご紹介したように、中小企業とくに100人未満の会社では、まだまだメンタルヘルス対策への取り組みが遅れています。しかしメンタルヘルス不調を放置すればその労働者の作業効率が低下しますし、同じような症状の労働者が続きて企業経営に影響を与える可能性があります。さらに訴訟問題に発展するようなことがあれば、会社の存続問題にもなりかねません。
つまり、中小企業ほどメンタルヘルス対策を重視する必要があるといえるのです。
企業経営に影響を及ぼす
心の病を発症した場合には、作業効率が低下したり長期休業が必要になったりします。そしてそれが周囲の負担につながります。
またメンタルヘルス不調を起こした人が休職すれば、休業補償や補充人員の給与、さらには医療費などの経費がかかります。
これらが重なれば、結果的に企業経営に影響を及ぼすこともあります。
訴訟問題に発展することも
会社は、労働者が働きやすい環境を整える義務を負っています。
労働者がメンタル不調を原因として休業・退職をすることになった場合には、減少した給料を損害賠償として支払わなければならないこともあります。
昨今は、「メンタルヘルス不調の原因は職場である」と考える労働者の増加に伴い、労災請求だけでなく、民事訴訟に発展するケースも増えているからです。
さらに被害者が自殺するなどの事態を招いたりした場合には、逸失利益や慰謝料の額が極めて高額になります。
ストレスチェック制度が義務化
職場のストレスを調査するための種類や方法はさまざまですが、そのひとつが「ストレスチェック」です。
「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分にストレスがあるのか、そのストレスがどのような状態にあるのかなどに気づくための検査です。2015年12月に施行される改正労働衛生法によって、労働者が50人以上いる事業所では毎年1回ストレスチェック制度が義務化されました。
これまで取り組むことが難しかった中小規模の事業所こそ、このストレスチェック制度を積極的に導入してメンタルヘルス対策に取り組んでいただきたいと思っています。
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