ストレスチェック制度における高ストレス者の選定

ストレスチェックの結果、高ストレス者の基準に当てはまり、医師による面接が必要と判断された従業員が面接指導を希望した場合には、会社は医師による面接指導を実施しなければなりません。

この記事では、高ストレス者の選定基準や選定方法、高ストレス者と選定された従業員への対処についてご紹介します。

ストレスチェック制度とは

ストレスチェック制度とは平成27年(2015年)から施行されている制度です。

労働者自身が気づかないうちにストレスをためて、その状態が悪化してしまうと、うつ病などの深刻なメンタルヘルス疾患を発症してしまうことがあります。そこでストレスチェック制度は、労働者自らが自身のストレスに気づき、早期にケアすることで、メンタルヘルス疾患を未然に防止することを目的としています。

さらには、ストレスチェックの集計・分析結果を踏まえ、会社側が職場のストレス状況を把握して、職場環境の改善を行うことも推奨されています(※努力義務)。

▶ 厚生労働省「ストレ スチェック制度導入マニュアル」

ストレスチェックにおける高ストレス者の選定

ストレスチェックの結果、医師による面接指導が必要と選定された高ストレスの労働者から申し出があった場合には、医師に依頼して面接指導を実施します(注:ストレスチェックの結果は、実施者から直接本人に通知され、企業には本人の同意がない限り開示されません)。

高ストレスの選定基準は事業者が決定しますが、個人の評価はストレスチェックの実施者が行います。

(1)高ストレス者の選定基準

ストレスチェックの結果、以下の1または2のいずれかの要件を満たす場合、その労働者は高ストレス者として選定されます。

「心理的な負荷による心身の自覚症状に関する項目」(心身のストレス反応)の評価点数の合計が高い者
「心理的な負荷による心身の自覚症状に関する項目」(心身のストレス反応)の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」(仕事のストレス要因)および「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目(周囲のサポート)の評価点数の合計が著しく高い者

具体的な選定基準は、実施者の意見および衛生委員会等での調査審議を経て、事業者が決定します。

たとえば、職業性ストレス簡易調査票(57項目)を使用する場合の評価基準の設定例は以下のとおりです。

「心身のストレス反応」(29項目)の合計点数(ストレスが高い方を4点、低い方を1点とする)を算出し、合計点数が77点以上である者を高ストレス者とする。
「仕事のストレス要因」(17項目)および「周囲のサポート」(9項目)の合計点数(ストレスが高い方を4点、低い方を1点とする)を算出し、合計点数が76点以上であって、かつ「心身のストレス反応」の合計点数が63点以上である者を高ストレス者とする。

上記の評価基準の結果から、以下の「高ストレス者の選定例」のアまたはイに該当する者が「高ストレス者」と選定されます。なお、この時調査票における「D.満足度に関する回答」は、高ストレス者の選定には含まず選定しています。

高ストレス者の選定例

▶ 厚生労働省「
労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度実施マニュアル」
より作成

(2)高ストレス者の選定方法

数値基準に基づいて高ストレス者の選定をする方法は、厚生労働省のストレスチェック制度実施マニュアルに記載されており、主に以下の流れで行います。

① 合計点数を算出する

② 質問に応じて回答の点数を置き換える

③ 判定する

① 合計点数を算出する
まず、労働者が記入したストレスチェック調査票から、合計点数を算出します。

② 質問に応じて回答の点数を置き換える
算出する際は、質問の仕方で「点数が低いほどストレスが高いと評価すべき」である質問が混ざっています。このような質問については、回答があった点数を逆転させて足します。

—–
領域「A」の1~7、11~13、領域「B」の1~3の質問項目

点数に応じて、1→4、2→3、3→2、4→1
—–

③ 判定する
置き換え後の点数を足し合わせ、領域ごとの合計点数を算出し、判定します。
前述した高ストレスの選定例のアまたはイに該当すれば、高ストレス者と選定します。

(3)労働者に結果が通知される

ストレスチェックの結果は、実施者から労働者に通知されます。
結果は、他の者に見られないよう封書または電子メール等で労働者に個別に直接通知する必要があります。さらに高ストレス者と選定され面接指導の対象者である者に対しては、その旨の通知文も併せて通知します。

高ストレス者と選定された従業員がいた時に講じるべき措置

ストレスチェックの結果、「高ストレス者であり、医師による面接指導が必要」とされた労働者から申し出があった場合には、医師に依頼して面接指導を実施します。申し出は、結果が通知されてから1カ月以内、面接指導は申し出があってからおおむね1カ月以内に実施する必要があります。

(1)実施者による面接指導の勧奨

ストレスチェックの実施者は、個人の結果を確認して面接指導が必要か判断します。そして面接指導が必要であると判断した場合には、その労働者に対して面接指導を受けるよう勧奨します。

面接指導の申し出をしない労働者に対して申し出の勧奨ができるのは、実施者または実施事務従業者に限られます。

ストレスチェックを外部に委託した場合には、外部機関の実施者が本人に勧奨することになります。

(2)本人から面接指導の申出

面接指導を受けるか否かは、勧奨を受けた労働者本人の判断によります。しかし、メンタルヘルス不調を未然に防止するという観点から、面接指導が必要と判断された場合には、できるだけ面接指導を申し出てもらうことが望まれます。

(3)医師による面接指導の実施

面接指導は、労働者から申し出があってからおおむね1カ月以内に実施する必要があります。面接指導の実施に先立って、実施者は事業者(人事・労務担当者)および労働者本人から、必要な情報(対象となる労働者の氏名、年齢、ストレスチェックの結果、職場環境の状況など)を収集します。

面接指導を実施する医師については、事業場の産業医または事業場で産業保健活動に従事している医師が推奨されています。必ずしも精神科や心療内科の医師である必要はありません。

面接指導では、ストレスチェックの結果のほか、労働者の勤務状況や心理的な負荷などについてカウンセリングを行います。

面接指導は原則として就業時間内に設定し、周囲の目を気にせず、リラックスして受けることができる場所を選ぶなど、面接指導を受けやすいよう環境を整備します。

(4)医師からの意見聴取

医師からの意見聴取は、遅滞なく(1カ月以内に)行います。
緊急に就業上の措置を講じるべき必要がある場合は、可能な限り速やかに意見聴取を行うことが望まれます。

意見を聴く医師が外部の医師である場合には、労働者の勤務状況等を把握していないこともありますので、産業医などの意見も聞いておく方がよいでしょう。

面接指導の結果は、実施年月日、労働者の氏名、面接指導を行った医師の氏名、労働者の勤務状況、ストレスの状況、就業上の措置に関して医師からの意見を記載した記録を作成して5年間保存します。

(5)就業上の措置の実施

事業者は、面接指導を実施した医師から1カ月以内に就業上の措置の必要性の有無と内容について意見を聞き、それを踏まえて労働時間の短縮、就業場所の変更、作業の転換など必要な措置を実施します。

なお、就業上の措置を実施する場合には、労働者と十分に話し合い、その労働者の了解を得ることはもちろん、労働者に対する不利益な取り扱いにつながらないよう、配慮する必要があります。

就業上の措置を実施した結果、ストレス状態に改善が見られれば、労働者本人、産業医の意見を聴いたうえで通常の勤務に戻すことも検討します。

まとめ

ストレスチェックの結果、高ストレス者と選定された場合、本人からの面接指導の申し出に基づいて医師による面接指導を実施し、医師の意見聴取を踏まえて就業上の措置を実施しなければなりません。

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