【2021年度版】健康経営優良法人の認定基準

健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。

健康経営優良法人の認定

経済産業省では、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行っており、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設し、企業による健康経営の取り組みを促しています。

2020年には40社が「健康経営銘柄」に認定され、「健康経営優良法人」には大規模法人部門で1481法人(うち500法人を「ホワイト500」とする)、中小規模法人部門で4723法人が認定されました。

▶ 経済産業省「健康経営銘柄」

▶ 経済産業省「健康経営優良法人2020」認定法人が認定されました!

健康経営銘柄は東京証券取引所の上場会社が対象となっています。健康経営優良法人は【大規模法人部門】と【中小規模法人部門】に分けて選定されます。
大規模法人か中小規模法人かは、業種や従業員数によって下記のとおり異なります。
 

▶ 経済産業省「経済産業省 令和元年度 健康経営度調査」

健康経営銘柄
健康経営銘柄の選定は経済産業省が実施した「健康経営度調査」の回答結果を「経営理念・方針」「組織・体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つフレームワークから評価した上で、財務面でのパフォーマンス等を勘案して行われます。

①東京証券取引所上場会社であるか
②毎年8月~10月ごろに行われる健康経営度調査に回答しているか
③回答した健康経営度が上位20%以内に入り、かつ必須項目を全て満たしているか
④ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上か
 
▶ 経済産業省「健康経営銘柄2021の選定方法について」

健康経営優良法人
健康経営優良法人は法人規模に応じて達成基準が設定されており、中小規模法人は大規模法人と比較すると認定要件のハードルは低く設定されています。

▶ 経済産業省「健康経営銘柄2021選定基準及び健康経営優良法人2021(大規模法人部門)認定要件」
 
▶ 経済産業省「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)認定要件」

基本的には法令違反をしていないことを前提に、定期健康診断やストレスチェックを通じて従業員の健康課題を把握し、必要な対策を検討しているか、健康経営の実践に向けた取り組みが行われているか、など最低限取り組んでいなければならない項目が網羅されています。

健康経営に取り組むうえで、必ず健康経営優良法人の認定を目指すべきというわけではありません。しかし取り組む以上は、経産省からの評価があった方がイメージアップにつながりリクルート効果などを得ることも期待できますし、経営陣を説得するためにも、健康経営優良法人の認定を目指すのがおすすめです。

既述したとおり健康経営優良法人には、大規模法人部門と中小規模法人部門があるので、まずここでは中小規模法人部門の認定基準からご紹介します。

▶ 経済産業省「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)認定要件」

(1)健康宣言の社内外への発信

経営理念(経営者の自覚)健康宣言の社内外への発信及び経営者自身の健診受診は必須の認定要件です。
経営者は組織として従業員の健康管理に取り組むことを明文化し、その文書を加入している保険者(健康保険事業者)において「健康宣言」として従業員や関係者に対して表示(発信)することが必要です。この明文化された文書は、事業所の入り口や会議室、応接室に提示したりホームページに掲載したりして、従業員や取引先、消費者などの利害関係者がいつでも閲覧できる状態にしておく必要があります。

(2)健康づくり担当者の設置

健康づくり担当者の設置は必須の認定要件です。

健康づくり担当者とは、従業員の健康管理(健康診断や保健指導の実施、特定保健指導の連絡窓口などの実務)を担当する人で、すべての事業場において定める必要があります。なお、事業場間の担当者の兼務は組織マネジメント上の合理的な理由がない限り、原則不適合となります。
衛生管理者、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保健委員を、担当者の1人としてあてることは適合とされます。

(3)40歳以上の従業員の健診データ提供

40歳以上の従業員の健診データ提供は必須の認定要件ですが、以下①又は②のいずれかを満たすことをもって適合とする選択式となっています。

① 保険者に対し、従業員の40歳以上の健康診断のデータを提供していること。
② 保険者からの求めに応じ、40歳以上の従業員の健康診断のデータを提供する意志表示を保険者に対し行っていること。

これは、保険者へのデータ提供の重要性を認識し、そのデータの分析によって効果的・効率的な保健事業が推進されることを目的としています。

(4)健康課題に基づいた目標設定

健康課題に基づいた目標設定は必須の認定要件です。

従業員の健康課題を把握し、従業員の健康保持・増進、過重労働防止に関する計画を策定し、また具体的な数値目標や計画、実施(責任)主体及び期限を定めることが必要です。本項目では目標の達成状況は問われませんが、既に終了または中断などにより申請時点で計画が実行されていない場合には、不適合となります。

(5)健康課題の把握

健康課題の把握は、以下の①~③のうち少なくとも1項目を実施している必要があります。

①定期検診受診率(実質100%)
②受診勧奨の取り組み
③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施

①定期検診受診率(実質100%)
以下の【1】【2】のいずれかに該当する必要があります。
【1】やむを得ない理由がある者を除き、労働安全衛生法に基づく定期健康診断における直近の受診率が100%であること。

【2】やむを得ない理由がある者を除き、労働安全衛生法に基づく定期健康診断における直近の受診率が95%以上であり、未受診者に対しては早期に受診するように適切な受診勧奨を行っていること。

①受診勧奨の取り組み
以下の【1】【2】のいずれかに該当する必要があります。
【1】定期健康診断などの結果、再検査や精密検査が必要とされた従業員に対しては、受診をするよう促すための取り組みまたは制度があること。
【2】従業員に対して、がん検診など任意検診の受診を促すための取り組みまたは制度があること。

③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
従業員50人未満のすべての事業場において、労働安全衛生法に規定されたストレスチェック制度に準じて、ストレスチェックを実施していること。

なお、従業員50人未満の事業場がなく、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施している場合でも、本項目は満たすことになります。

(6)健康経営の実践に向けた土台づくり・ワークエンゲージメント

健康経営の実践に向けた土台づくり・ワークエンゲージメントについては、以下の④~⑦のうち少なくとも1項目を実施している必要があります

(ヘルスリテラシーの向上)
④管理職または従業員に対する教育機会の設定
(ワークライフバランスの推進)
⑤適切な働き方実現に向けた取り組み
(職場の活性化)
⑥コミュニケーションの促進に向けた取り組み
⑦病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み(病気の治療と仕事の両立支援)

④管理職または従業員に対する教育機会の設定(ヘルスリテラシーの向上)
以下の【1】【2】のいずれかに該当する必要があります。
【1】1年度に少なくとも1回、管理職や従業員に対して健康をテーマとした研修を実施しているまたは外部機関主催の研修等に参加させていること(この研修には、個人が任意で受講しているものは含まれません)。
【2】少なくとも1カ月に1回の頻度で、全従業員に対して健康をテーマとして情報提供を行い、周知を図っていること。

⑤適切な働き方実現に向けた取り組み(ワークライフバランスの推進)
組織として時間外勤務の縮減や有給休暇取得を促進し、仕事と家庭生活の両立に向けた環境づくりのための取り組みを継続して行っていること。
※超過勤務時間の把握をしているだけでは、不適合となります。

⑥コミュニケーションの促進に向けた取り組み(職場の活性化)
従業員同士のコミュニケーション促進のイベントなどを実施、または外部機関主催のイベントなどに組織としての参加を1年度に少なくとも1回以上定期的に実施していること。
※単に従業員の有志が開催したり参加を募ったりしたものは、不適合となります。

⑦病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み(病気の治療と仕事の両立支援)
従業員の病気の治療と仕事の両立支援に向けて、組織として取り組みを行っていること。
たとえば、治療を必要とする従業員が相談できる窓口を設置し、その周知を図ったり、支援体制の整備を行ったりしていることが必要です。

(7)従業員の心と身体の健康づくりに向けた対策

健従業員の心と身体の健康づくりに向けた対策は、以下の⑧~⑭のうち少なくとも3項目以上を実施している必要があります。

(保健指導)
⑧保健指導の実施又は特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
(健康増進・生活習慣病予防対策)
⑨食生活の改善に向けた取り組み
⑩運動機会の増進に向けた取り組み
⑪女性の健康保持・増進に向けた取り組み
(感染症予防対策)
⑫従業員の感染症予防に向けた取り組み
(過重労働対策)
⑬長時間労働者への対応に関する取り組み
(メンタルヘルス対策)
⑭メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み

⑧保健指導の実施又は特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
以下の【1】【2】のいずれかに該当する必要があります。
【1】健康診断などの結果、特に健康の保持に努力しなければならないと認められる従業員に対して、医師または保健師による保健指導の機会を提供していること。
【2】保険者による特定保健指導の実施を促すため、指導時間の就業時間の認定又は特別休暇認定や指導のための場所の提供等の取り組みを行っていること。

⑨食生活の改善に向けた取り組み
従業員の健康課題に基づいて、従業員の食生活の改善に向けて啓発を行うなどの取り組みを継続していること。

⑩運動機会の増進に向けた取り組み
従業員の健康課題に基づき、従業員の運動機会の増進のための取り組みを継続して行っていること。

⑪女性の健康保持・増進に向けた取り組み
女性特有の健康課題に対応する環境を整備し、従業員が女性特有の健康課題に関する知識を得るための取り組みを継続して行っていること。

⑫従業員の感染症予防に向けた取り組み
従業員の感染症予防のために予防接種に必要な時間を出勤認定し、感染者については出勤を停止するなど、感染症予防・感染症拡大防止のための取り組みを行っていたり制度を整備して実施したりしていること。

⑬長時間労働者への対応に関する取り組み
従業員の労働環境を踏まえ、長時間労働者が発生した場合(管理職含む)の、過重労働防止に向けた具体的な対応策を定めていること。

⑭メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
メンタルヘルス不調予備軍がいつでも相談できる窓口を設置し、その周知を行っていること、又は不調者が出た時に適切な支援(産業医との連携や職場復帰支援策など)を行うことができる体制を整備していること。
※ストレスチェック実施の範囲内の対応である場合には、不適合となります。

(8)受動喫煙対策

受動喫煙対策は必須の認定要件です。

従業員の受動喫煙防止に向けて、すべての事業場で敷地内禁煙、屋外喫煙所の設置又は喫煙室の設置(空間分煙)を行っていること。
ただし、宿泊業など顧客が喫煙できることをサービスに含めている場合や、飲食店などで屋内全面禁煙または分煙が困難な場合には、喫煙可能区域を設定したうえで当該区域において適切な換気を行っていることで適合するものとなります。

(9)評価改善

⑮評価改善は、2021年に追加された認定要件です。

組織の健康課題や労働環境の改善に向けた計画・具体的な数値目標を設定し実施するだけでなく、その達成・進捗状況の把握、評価などを行う(PDCAサイクルの構築)ことを目的としています。

※ここまでの①~⑮のうち、6項目以上を実施していることが必要です。

(10)法令遵守・リスクマネジメント

法令遵守・リスクマネジメントは、必須の認定要件です。

評価項目は、以下のとおりです。

定期健診を実施していること
保険者による特定健康診査・特定保健指導の実施
50人以上の事業場におけるストレスチェックを実施していること
従業員の健康管理に関連する法令について重大な違反をしていないこと

なお、50人以上の事業場でストレスチェックを実施していることや、健康診断を行っていること、労働基準法や労働安全衛生法などに違反し送検されていたりしていないことなどについて、誓約書を提出する必要があります。

まとめ

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定要件について、ご紹介しました。ぜひ当記事を参考に取り組んでみてください。

なお、せっかく取り組んでもその記録がなければ認定されない可能性もありますので、必ず記録は残すようにしてください。イベントを実施した場合には、写真や案内のキャプチャなどを残すことが必要です。もし自社のブログやSNSがあれば、そちらで取り組みを報告するのもおすすめです。

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    【監修】
    公認心理師 山本 久美(株式会社HRデ―タラボ)

    大手技術者派遣グループの人事部門でマネジメントに携わるなかで、職場のメンタルヘルス体制の構築をはじめ復職支援やセクハラ相談窓口としての実務を永年経験。
    現在は公認心理師として、ストレスチェックのコンサルタントを中心に、働く人を対象とした対面・Webやメールなどによるカウンセリングを行っている。産業保健領域が専門。

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