LGBTQとは?関連用語&課題を解説

セクハラ指針(2016年8月改正)では、、LGBTQがセクハラの対象となることが明文化されました。また、2017年に経団連が行った調査では、90%以上の企業がLGBTQへの取り組みの重要性を認識していると回答しています。

多様性のある組織を尊重している企業は、従業員の満足度が高く生産性が向上することがよく知られています。LGBTQの人々を含めたダイバーシティ経営は、ビジネスを成功させるうえで不可欠であり、LGBTQを意識した適切な取り組みの重要性は、すべての企業にとってより一層高まっているといえます。

監修:山本 久美(株式会社HRデータラボ 公認心理師)

LGBTQとは

LGBTQとは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランスジェンダー)、Q(クエスチョニングなど)の頭文字をとったものです。

Lesbian(レズビアン)
女性に性的魅力を感じる女性。女性の同性愛者

Gay(ゲイ)
男性に性的魅力を感じる男性。男性の同性愛者

Bisexual(バイセクシュアル)
男女の両性に性的魅力を感じる人。両性愛者

Transgender(トランスジェンダー)
出生時の身体の性別と、性自認が一致しないと感じる人

Questioning(クエスチョニング)
自分のセクシュアリティについて、まだ確定的でないと感じ、迷い、揺れ動いている人

Queer(クィア)
Queerは、性的マイノリティを大きくまとめた言葉です。
元々「奇妙な」「風変わりな」という意味があり、かつては同性愛者などに対して差別的な意味合いで使われていましたが、現在は、性的マイノリティの総称として肯定的に使われています。

LGBTQ以外のセクシュアルマイノリティ

LGBTQに代わって、「LGBTQIA」と呼ばれることもあります。

Intersex(インターセックス)
生まれたときの身体の性別が男女いずれかにはっきり区別できない状態のこと
※Intersexについては、当事者がその呼び方を好まないケースもありますので、注意が必要です。

Asexual(アセクシュアル)
誰に対しても性的魅力を感じない人です。

「LGBTQ+」と呼ばれることもありますが、この「+」は何かの頭文字ではなく、ほかにもさまざまなセクシュアリティが存在することを示すためにつけられています。
たとえば、Pansexuality(パンセクシュアル)(相手の性別に関わらず、性的魅力を感じる人)というセクシュアリティが存在します。

なお、セクシュアリティとジェンダーを同じような意味で使っているケースがありますが、セクシュアリティは「性のあり方」全般をあらわす言葉で、ジェンダーは社会的・文化的な性差のことで、単に性別という意味で使われることもありますし、性自認という意味で使われることもあり、文脈によって意味が変わる点に注意が必要です。

SOGIESC(ソジエスク)とは

セクシュアルマイノリティと呼ばれるLGBTQに代わって、近年使われる機会が増えているのが、SOGIESC(ソジエスク)です。

SO(セクシュアルオリエンテーション)は性的指向、GI(ジェンダーアイデンティティ)は性自認、E(ジェンダーエクスプレッション)は性表現、SC(セックスキャラクタリスティックス)は性的特徴を意味します。

性的指向
どのような人に「好き」という感情を抱くのかということ

性自認
それぞれの性の自己認識のこと

性表現
服装や髪型、しぐさ、ふるまいなどの表現のこと

性的特徴
生殖器、ホルモン、体質など人それぞれの身体的違いのこと

LGBTQがセクシュアルマイノリティと呼ばれる「人々」を指す言葉であるのに対して、SOGIESCは性的指向と性自認、つまり人が持つ属性を意味する言葉ですから、同義ではなく同じような使い方をすることはできません。

国は、法律や指針の改正などにより、企業に対してSOGIハラ(ソジハラ)の防止対策を講じるよう求めています。

・セクハラ指針(2017年1月から)
「相手方の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する行為がセクシュアルハラスメントに当たりうる」とし、LGBTQへのセクハラも指針の対象となることが明確化

・パワハラ防止法
優越的な関係を背景として、相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うこと・労働者の性的指向・性自認等について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること(アウティング)の防止対策を義務づけ。大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月施行。

日本のLGBTQの現状

世界規模で見ると、LGBTQの置かれている状況は、国によって大きく異なります。
オランダやベルギー、スペイン、カナダなど多くの国で同性婚が認められていますが、日本では、まだ同性結婚は認められていません(ただし、日本でもパートナーシップ制度は全国各地に続々と広がりを見せ、導入自治体は増加傾向にあります)。

したがって、法制度の面から見ると、日本のLGBTQに対する権利擁護は、国際水準から大きく遅れをとっていると言わざるを得ません。

LGBTQに関して企業がまずすべきこととは

2017年5月には、日本経済団体連合会が、「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」という提言を発表し、LGBTQ対応について提言を行いました。

LGBTとは、性的指向や性自認に関して社会的に少数とされる人たちを指します。ただ、性のあり方はこれだけに限られず、多様なセクシュアリティがあります。こうした人たちを特別な存在ではなく、身近な存在として理解し、受け入れていくことが大切であるとしています。また、企業でも、女性や高齢者、外国人、障がい者などを含む多様な人材を受け入れるダイバーシティと、それぞれが力を発揮できるインクルージョンの両方が求められており、それが組織の活性化や従業員の働きやすさにつながることを明言しています。
参考:> 日本経済団体連合会「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」

企業においては、組織内の部署や施設によってLGBTQであることに対して起こりうるさまざまな問題を認識し、それぞれの職場のルールを変えていくことが大切です。

LGBTQへの取り組みの事例:
・社内規程等への明記
・社内セミナー等の開催
・社内相談窓口の設置
・LGBTに関連する社外のイベントへの協力
・人事制度の改定

SOGIハラ防止のルールを整備する

SOGIハラとは、性的指向や性自認に関する差別的な言動やハラスメントです。国は、セクハラ指針やパワハラ防止法において、パワハラやセクハラと同様に、SOGIハラについての防止対策を講じるように求めています。
つまり、SOGIハラも、パワハラやセクハラと同様に被害者の心身に深刻な影響を及ぼすものということです。
SOGIハラの防止対策に取り組まず、これを放置すれば、民事上の賠償責任を追及され、社会的信用を喪失するリスクがあります。
したがって、セクハラやパワハラと同様にSOGIハラ防止対策に取り組むことは、今や重要な経営課題のひとつであることを認識することが重要です。

「ホモ」、「レズ」、「オカマ」などの差別用語を使うこと「同性愛は気持ち悪い」「もっと男(女)らしくしろ」などの発言、SOGIを憶測したり噂したりすること、本人が望まないのにSOGIを暴露すること(アウティング ※後述)、開示するよう強要することは、すべてSOGIハラとなり得ます。

企業がとるべき具体的な対策としては、社内方針を明確化して、社内研修を実施すること、苦情等に対する相談体制を整備することなどの取り組みが考えられます。
最終的には、LGBTQ当事者の従業員も、非当事者の従業員も、等しく安心して業務に専念できること、そして生産性の向上につなげることが狙いです。

・社内方針の明確化と周知・啓発
社内規程等が、LGBTQの人がいることを前提に作成されているか確認します。あまりにも配慮がなされていなければ、その企業の認識不足が露呈し、会社のリスクにつながりかねません。SOGIハラ差別の禁止を明記して全従業員に周知します。また、あわせて遵守すべきガイドラインも作成します。
また、セミナーなどを通じて、従業員の理解促進を図ることも大切です。

・苦情等に対する相談体制の整備
相談窓口を設置し、社内に周知します。

・被害を受けた労働者へのケアや再発防止
被害者、加害者に対する適切な対応を行うためのマニュアル等を作成します。

アウティングのリスクを理解する

アウティングとは、セクシュアリティについて本人の承諾なく第三者に暴露する行為です。
相手の了承を得ることなく他人に話すこと、つまり勝手に暴露することです。
「あの人は、ゲイらしいよ」といったうわさ話はもちろん、自分では良かれと思って「○○が、自分はゲイだと悩んでいるんだけど…」と第三者に伝えることもアウティングとなります。

過去には、男性従業員が同性愛者であることを上司にアウティングされ、精神疾患を発症し休職に追い込まれたケースもあります。
このケースでは、企業側がアウティングの事実を認め、解決金を支払うことで和解が成立しています。

アウティングは、認知度の低さや間違った善意、「みんな知っているだろう」といった思い込みから起こります。
他人と情報を共有して、問題解決をしようとすること自体は悪いことではありません。押さえておきたいのは、「必ず相手の了承・合意を得る」ということです。
本人の了承を得たうえで連携をとり、そのうえでその人がその人らしく過ごせるための環境づくりを検討することが大切なのです。
アウティングについても、その定義やリスクについて理解を深めるためのセミナーの実施等を行うことが必要です。

ダイバーシティ経営の効果を理解する

経済産業省では、ダイバーシティ経営が企業価値にもたらす効果として、①プロダクトイノベーション、②プロセスイノベーション、③外的評価の向上、④職場内の効果の4点を上げています。

つまり、企業がダイバーシティ経営に取り組むことで、優秀な人材の確保と働く人々の生産性や想像力の向上が見られること、そして商品やサービスの改善や開発が進み、ブランド価値などの社外からの評価が向上し、さまざまなステークホルダーからの信頼獲得につながるとしています。

参考:> 経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」

特定非営利活動法人虹色ダイバーシティの調査によれば、「女性や障がい者に関するダイバーシティ意識が高い」と感じる従業員の勤続意欲が高いことが明らかになっています。

また、マッキンゼー&カンパニー社の調査によれば、ダイバーシティ経営は、企業のパフォーマンスに大きな影響を与えることが確認されています。

企業としては、ダイバーシティ経営の効果を認識し、従業員がダイバーシティ経営を実感できる職場づくりを目指すことは大きなメリットがあるのです。
いち早く取り組みを始めた企業と、遅れをとった企業の格差は、今後ますます鮮明なものとなっていく可能性があります。

まとめ

LGBTQ、SOGIハラ、アウティングに関する適切な理解と対応は、優秀な人材の確保と活用、法的なリスクの回避といった観点からも極めて重要な課題であり、外資系企業や大企業を中心にLGBTQへの取り組みを進める動きが広がっています。

なかには、社内方針を策定しセミナーを実施しても、方針が十分に周知されなかったり参加するだけで終わりになったりすることも多いようです。
しかし、すべての人が、自分自身に誇りを持ち、生き生きと働ける職場づくりを進めることで、自由な発想が生まれ、生産性を向上し、自社の競争力強化につながります。
ダイバーシティ経営は、今や競争戦略として必要不可欠であり、ステージアップは急務といえるでしょう。

ストレスチェックを気づきに活かす

ストレスチェックとは、定期的に社員のストレスの状況について検査を行なう制度で、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化(全事業所を対象に義務化)されることとなりました。

ストレスチェックの目的は、従業員本人にその結果を通知して、自らのストレスについて「気づき」を促すことで、メンタルヘルス不調のリスクを低減すること、及びストレスが高い人を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、メンタル不調を未然に防止することです。
そして、ストレスチェックを活用すれば、LGBTQ当事者を含む従業員の心理的負担を早めに把握し、働きやすい環境づくりやメンタルヘルス対策につなげやすくなります。
会社にはメンタルヘルスに対する安全配慮義務があり、ストレスチェックだけでなく、さまざまなメンタルヘルス対策に積極的に対応していくことが求められています。
この安全配慮義務違反であり労働契約法の違反であると認定されれば、社員からメンタルヘルス不調において損害賠償責任を追及されるリスクがあります。

 

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
導入や運用の相談は、ぜひお気軽にお問合せください。


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    監修:山本 久美(株式会社HRデータラボ 公認心理師)

    公認心理師 山本久美さんの写真

    大手技術者派遣グループの人事部門でマネジメントに携わる中、社内のメンタルヘルス体制の構築をはじめ復職支援やセクハラ相談窓口としての実務を永年経験。
    現在は公認心理師として、ストレスチェックのコンサルタントを中心に、働く人を対象とした対面・Webやメールなどによるカウンセリングを行っている。産業保健領域が専門。

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