セロトニンとは?増やすための食べ物とは?

セロトニンは、脳内で働く神経伝達物質のひとつで、「幸せホルモン」「癒しのホルモン」とも呼ばれ、不安感や緊張感を和らげて、精神を安定させる働きがあります。
しかし、人間はストレスに直面すると、セロトニンが低下します。
そして長期にストレスにさらされると、癒しの神経伝達物質であるセロトニン活性が低い状態のまま固定化してしまい、「うつ状態」を発症してしまうことがあります。

セロトニンとは

セロトニンとは、脳内の神経伝達物質のひとつです。セロトニンは、ノルアドレナリン、ドーパミンともに「三大神経伝達分質」と呼ばれます。
これらの脳内物質は、どれか1つが多すぎてもダメで、重要なのはバランスです。

たとえば、ドーパミンはモチベーションの源であり、向上心や意欲にも関係していて、適度な分泌であればポジティブな働きをしてくれます。しかし、ドーパミンが過剰分泌すると「快楽を得たい要求」が暴走してしまい、ギャンブルやアルコールなどの依存症を引き起こす可能性があります。
逆にドーパミンが不足してしまうと集中力や注意力が失われ、無気力になってしまうこともあります。

ノルアドレナリンは選択と行動が必要となる危機的な状況で分泌されるもので、ストレスに反応して臨戦態勢をとるため、ノルアドレナリンが分泌されると興奮状態になり意欲がわきます。しかし、ノルアドレナリンの分泌が過剰になると怒りやすくなったり、血圧が上がったりして、高血圧の原因になったりします。さらにこのような状態が長期に及ぶと、「うつ病」になってしまいます。

セロトニンは、気持ちの安定や睡眠の質を良くする、ストレスによるダメージを和らげるために必要な脳内の神経伝達物質であり、ノルアドレナリン、ドーパミンが過剰分泌しないようにバランスをとってくれる役目も担っています。

セロトニンがほどよく分泌された状態は、激しい情動をコントロールすることができ、心に冷静と落ち着きをもたらすようになります。

また、昼間分泌されたセロトニンは、夜になるとメラトニン(睡眠ホルモン)になります。セロトニンの分泌が正常であれば、メラトニンもスムーズに生成されるので、質の良い睡眠をとることができます。

(1)セロトニンはストレスで低下する

セロトニン不足は、うつ病の原因にもなるとも言われており、日頃ストレスに直面し続けているとセロトニンを出す回数が減少してしまい、低下してしまいます。
セロトニンは、癒しの物質ですから、ストレスに直面している緊急事態が続いている状態では、のんびりと癒しモードでいることができず、分泌が抑制されてしまうからです。

(2)セロトニンが低下するとどうなる?

セロトニンが低下している状態が続くと、睡眠ホルモンのメラトニンが不足し、睡眠習慣が乱れてしまいます。また、通常時よりストレスを感じやすくなり、落ち込みやすくなってしまうこともあります。
そして、このような状態が続いてしまうと、不安症、うつ病、パニック障害、自律神経失調症などになるリスクがあります。
さらにセロトニンの低下により、前頭前野の働きが低下し、無気力などの疲労感を感じやすくなってしまうこともあります。「慢性疲労症候群」は。セロトニン神経が原因と考える研究者もいます。

(3)ビジネスシーンでもセロトニンが重要な理由

セロトニンが極度に低下した状態がうつ病ですから、セロトニンを活性化させる生活習慣を意識することで、うつ病の予防になります。

セロトニンの分泌が増えると、大脳辺縁系(食欲・意欲などの本能、喜怒哀楽や睡眠、記憶や自律神経活動に関与している)の活動が安定して、リラックス状態になります。つまり、ドーパミンやノルアドレナリンなどが、興奮系脳内物質と呼ばれるのに対して、セロトニンはそれらの過剰な分泌を抑え、脳内物質のバランスをとる働きをしてくれるのです。

心が落ち着いた平常心でいられることは、理性的に行動でき、冷静な判断ができるということであります。つまり、セロトニンの分泌は、ライフスタイルだけでなく、ビジネスシーンにも大きな影響を及ぼす可能性があるのです。

セロトニンを増やすためには

セロトニンは、日光を浴びる、リズム行動を行う、必要な栄養素をとる、ウォーキングやジョギングなどのリズム運動を行うといった方法で、効果的に増やすことができます。
ここでは、セロトニンを増やすために効果的な方法をご紹介します。

(1)日光を浴びる

セロトニンの分泌は、照度2500ルクス以上の光を5分以上浴びることでスタートします。そして、この2500ルクスとは、朝の太陽光の照度です。
セロトニンが、太陽光が網膜に入ることでセロトニン神経が刺激され、分泌が始まるというわけです。
おすすめなのが、カーテンを開けて寝るという方法です。
朝の太陽光が自然に部屋に入る状態であれば、セロトニンの分泌をスムーズに始めることができます。

防犯上の問題がありカーテンを空けて寝るのが難しいという場合には、薄手のカーテンでも十分効果がありますし、朝日が入らない部屋であれば、起きてから少し散歩するのもおすすめです。5分以上太陽光を浴びれば、セロトニンの分泌がスタートします。

(2)簡単な運動をする

ウォーキング、ジョギング、スクワットなど、ストレスにならない程度の一定のリズム運動は、セロトニンを増やすのに効果的です。運動だけでなく、音楽も一定のリズムに乗っていれば、セロトニンを活性化させる効果があります。
先ほど、朝の太陽光を浴びることでセロトニンの分泌がスタートするとご紹介しましたが、朝起きて軽いウォーキングをすれば、「朝の太陽光」+「リズム運動」で、一石二鳥のセロトニン活性効果が期待できます。
なお、このリズム運動は5分以上行うことが必要ですが、無理をし過ぎると逆効果とも言われるので、30分以上続けることは避けるようにしましょう。

(3)咀嚼する

咀嚼は顎の筋肉がリズムカルに動きますので、咀嚼もリズム運動の一種と言えます。
セロトニンの生成は、午前中(とくに朝)に活発に行われます。
したがって、朝に太陽光を浴びて、朝食の際に十分な咀嚼を行うことも、セロトニンを活性化させる効果があります。どうしても朝食を食べられないというときは、20分くらいガムを噛むだけでも効果があります。
メジャーリーグの選手たちは、よく試合中にガムを噛んでいますが、これはリラックス効果があるからだそうです。

(4)マインドフルネスを行う

マインドフルネスとは、「心のトレーニング」と呼ばれることもあるもので、「今この瞬間」に注意を向けた状態をいい、そのためのエクササイズが「マインドフルネス瞑想」です。
瞑想中に行う深く安定した規則正しい呼吸は、セロトニンの分泌を促す効果が期待できます。

このマインドフルネスの取り組みは、企業の能力開発プログラムにも取り入れられており、たとえばGoogleでは、結果が求められる厳しい環境であるからこそ、社員にマインドフルネスをベースとした能力開発プログラムを実施してて、一定の効果を見出しています。

>「日本経済新聞」グーグルも注目 瞑想訓練の「マインドフルネス」

(5)セロトニンに必要な栄養素をとる

セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンから生成されます。必須アミノ酸は体内で生成することができませんから、食事から摂取しなければなりません。
トリプトファンは、肉、大豆、米、乳製品などに含まれいて、バランスのよい食事を心がけていれば、トリプトファンが欠乏することはまずないといえます。
ただし、ダイエットをしいる人や極端に偏食である人は、トリプトファン不足になるリスクがあります。
なお、トリプトファンは「不足しない状態」が重要であり、必要以上にトリプトファンを摂取しても、セロトニンが多く生成されることはありませんので、注意が必要です。

また、セロトニンを合成するためには、ビタミンB6が必要ですが、ビタミンB6は牛や豚、鳥のレバー、魚の赤身、ピスタチオ、ごま、バナナ、にんじんなどに多く含まれています。

まとめ

うつ病の初期には、注意力と集中力の低下という症状が多く見られます。注意力と集中力の低下した状態で、根性で仕事を続けていても、それは大きなストレスとなり健康を害する可能性すらあるのです。

この記事でご紹介したセロトニンの生成を意識することはもちろん大切ですが、何よりも大切なのは、「自分のストレスに、早期に気づくこと」です。
風邪などの病気と同じで、早期に気づき、早期に対応すれば、早期の回復につながるものです。
そして、「ストレスに気づく」きっかけとして、活用していただきたいのが、ストレスチェックです。ストレスチェックとは、常時50人以上の労働者を使用する事業場において義務づけられている制度で、労働者に早めにストレスへの気づきを促し、その結果を職場環境の改善につなげることなどが目的とされています。
「ストレスチェッカー」は、厚生労働省ストレスチェック制度準拠のストレスチェックツールで、多くの企業様に導入されています)。不明点や疑問点等については、有資格者であるスタッフがていねいにご説明いたしますので、ぜひお気軽にお問合せください。

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