ストレスフルとは?

ストレスフルとは、「緊張している」「余裕がない」といった、心身に強い負荷がかかっている状態です。
ストレスフルな状態が続くと、イライラしやすい、集中力が落ちる、ミスが増える、眠りが浅くなる、休んでも疲れが取れないといった変化が現れやすくなります。ただし、ストレスフル=うつ病や適応障害ではありません。あくまで一時的な「状態」であり、早い段階で気づき、環境や働き方を見直すことが重要です。

監修医師:近澤 徹
精神科医・日本医師会認定産業医
株式会社Medi Face代表取締役

ストレスフルとは何か

ストレスフルとは、心や体に強い負荷がかかり、緊張や余裕のなさが続いている状態を指します。
職場では、忙しすぎる業務量や人間関係の悪化、成果への過度なプレッシャーなどが重なることで、ストレスフルになりやすくなります。
日常生活でも、悩み事が多い、孤独を感じる、周囲の期待に応えられないと感じる場面で同様の状態が生じます。
こうした状態が続くと、精神面では強い疲労感やイライラ、不安感、気分の落ち込み、集中力の低下が現れやすくなります。さらに、不眠や肩こり、頭痛、動悸、胃腸の不調、免疫力の低下など、身体面にも影響が出ることがあります。

stress+-fulが由来

「ストレスフル」という言葉は、英語の stress と接尾辞 -ful を組み合わせた表現が由来です。stress は精神的・肉体的な緊張や負担を意味する名詞で、-ful には「~に満ちた」「~が多い」といった意味があります。つまり、ストレスフルとは「ストレスに満ちている」「負担が多い状態」を表す言葉です。日本語では、この英語表現をそのままカタカナにした形で使われることが多く、日常会話やビジネスシーンでも、心身に余裕がない状況を端的に伝える言葉として定着しています。

「緊張している」「余裕がない」状態

ストレスフルになると、「緊張している」「余裕がない」状態が絶えず続いてくことがあります。心身がリラックスできず常に張り詰めている、時間や気持ちにゆとりがなく差し迫った感覚がある、といった状態です。
そこにプレッシャーや不安、心配といった心理的圧迫や、抱える課題や要求が多すぎるという負担感が加わると、本人にとってはより大きなストレスになります。感じ方は人それぞれですが、「緊張」と「余裕のなさ」は、多くの人に共通するストレスフルの中核といえます。

主観的に“負荷が高い状態”を表す場合も

ストレスフルという言葉は、主観的に「負荷が高い」と感じている状態を表すケースも多々あります。
ストレスは、置かれている状況そのものではなく、それをどう受け止め、どう評価するかによって生じるため、同じ環境でも人によって感じ方は異なります。ある人には問題ない業務でも、別の人には強いストレスになることもあります。だからこそ重要なのは、外から見た大変さではなく、本人が精神的・身体的な負担を感じているかどうかです。

ストレスフルな状態でよく見られるサイン

ストレスフルな状態が続くと、日常の中にさまざまなサインが表れやすくなります。たとえば、些細なことでイライラしやすくなったり、集中力が続かず仕事や家事でのミスが増えたりすることがあります。また、寝つきが悪い、途中で目が覚めるなど睡眠の質が低下し、しっかり休んだつもりでも疲れが取れないと感じるケースも少なくありません。

イライラしやすい

ストレスフルな状態では、感情面に変化が表れやすくなり、イライラしやすくなることがあります。理由もなく不安感や緊張感が続いたり、気分が沈んで憂うつに感じたりすることがあります。普段なら気にならない些細な出来事に強い怒りを覚え、短気になってしまうケースも少なくありません。また、仕事や趣味など、これまで関心を持てていたことに興味が湧かなくなってしまうこともあります。

集中力の低下

ストレスフルな状態が続くと、集中力の低下が目立つようになります。
ストレスは心だけでなく脳の働きにも影響し、集中力や判断力を担う前頭前野の機能を弱めることが知られています。その結果、作業に取りかかっても注意が散りやすくなり、考えがまとまらない、決断に時間がかかるといった変化が起こります。普段なら問題なくこなせていた業務でミスが増えることから、本人は「能力が落ちた」と感じがちですが、背景にストレスフルな状態が隠れているケースも少なくありません。

ミスが増える

ストレスフルな状態が続くと、仕事や日常生活でミスが増えやすくなります。ストレスが高まることで、脳の注意力や記憶力、意思決定を担う認知機能が低下し、集中が続かなくなるためです。その結果、普段なら問題なくできていた作業でも不注意なミスが出たり、判断を誤ったり、物忘れが増えたりします。

睡眠の質が落ちる

ストレスフルな状態では、睡眠の質が落ちることがよくあります。ストレスは心身を常に緊張させるため、睡眠がその影響を受けやすくなるからです。たとえば、心配事や考え事が頭から離れず寝つけない入眠困難や、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒が起こりやすくなります。また、眠れたとしても眠りが浅く、熟睡感が得られないケースも少なくありません。

休んでも疲れが取れない

ストレスフルな状態が続くと、しっかり休んだはずなのに疲れが取れないと感じることがあります。これは単なる肉体的な疲労ではなく、ストレスの蓄積によって心身の回復力が低下している状態です。
睡眠時間を確保しても睡眠の質が下がっていたり、自律神経のバランスが乱れたりすることで、十分に回復できなくなります。「休んでも疲れが抜けない」という感覚は、体がこれ以上無理をしないでほしいと発している重要なサインだといえます。

ストレスフル=うつ病ではない

ここで注意しておきたいのが、ストレスフル=うつ病ではないということです。
「ストレスフル」は、強い負荷や緊張によって心身に余裕がなくなっている一時的な「状態」を指す言葉で、誰にでも起こり得るストレス反応です。
一方、うつ病や適応障害は、医師が症状や経過をもとに判断する「診断名」を持つ精神疾患です。
適応障害は特定のストレス因への反応として生じ、環境が変わると改善しやすい点で「状態」に近い側面がありますが、うつ病は症状が持続しやすく、より専門的な治療が必要になります。状態と診断を混同しないことが重要です。

なぜ職場はストレスフルになりやすいのか

職場がストレスフルになりやすい理由としては、人間関係や仕事の負荷、職場環境の問題が挙げられます。コミュニケーション不足や連携ミス、ハラスメント、周囲からのサポート不足は、強い精神的負担につながります。
また、業務量の多さや責任の重さ、評価基準の不明確さは、不安やプレッシャーを生みやすい要因です。

対人関係の問題

職場がストレスフルになりやすい理由として最も多いのが、対人関係の問題です。報告・連絡・相談がうまく回らず、情報の行き違いや誤解が生じると、業務の連携が乱れ、無用なトラブルや不満が増えていきます。雑談や相談がしにくい雰囲気も、孤立感を強め、精神的な負担につながります。
さらに、パワハラやセクハラといったハラスメントは、被害者だけでなく周囲にも強い緊張感を生み、職場全体を疲弊させます。価値観や性格、立場の違いによる摩擦も避けられず、特に上下関係が強い環境ではストレスが蓄積しやすくなります。
意見を言えない、相談できない心理的安全性の低い職場では、不満が内側に溜まりやすく、結果として逃げ場のないストレスフルな空間になりがちです。

仕事に関する要因

職場がストレスフルになりやすい理由として、仕事そのものに関する要因も大きな割合を占めます。
業務量が多すぎる過重労働は、心身の疲労を蓄積させ、ストレス耐性を下げやすい代表的な要因です。また、仕事内容が自分のスキルに合っていない場合や達成が難しすぎる水準を求められる場合も、強い負担になります。
仕事上の失敗や責任へのプレッシャーは、多くの人に不安や緊張を与えやすいものですが、さらに、役割や評価基準が曖昧だと、何をどこまで求められているのか分からず、ストレスが増幅します。

労働環境やその他の要因

長時間労働や過重労働が常態化すると、十分な休息が取れず疲労が蓄積し、心身の回復力が低下していきます。こうした状態が続くと、小さな負担でも強いストレスとして感じやすくなります。また、職場の物理的な環境も重要です。騒音が大きい、照明が暗いまたは眩しすぎる、室温や換気が適切でないといった条件は、知らず知らずのうちに不快感や集中力の低下を招きます。

ストレスチェックとストレスフル

ストレスフルな状態にあると、ストレスチェックでは「心身のストレス反応」に関する項目で数値が高く出やすくなります。イライラや不安、疲労感、集中力低下といった自覚症状は、そのまま結果に反映されるため、高ストレスと判定されるケースも少なくありません。
集団分析を行えば、部署や職場ごとの負荷や課題が可視化され、業務量や人間関係などの改善につなげることができます。
ストレスチェックは、ストレスフルな職場を見直すための重要なヒントになります。

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
導入や運用の相談は、ぜひお気軽にお問合せください。


★ ストレスチェック導入のご相談はこちら

ストレス反応項目に数値が出やすい

ストレスチェックは、「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」という3つの領域から、働く人のストレス状況を総合的に把握することを目的とした制度です。
ストレスチェックは、これまで努力義務だった労働者数50人未満の事業場でのストレスチェック実施が義務化され、施行は「公布後3年以内(最長2028年5月まで)」とされています。
これは、精神障害の労災が増加傾向にあることや、小規模事業場でのメンタルヘルス対策の遅れを背景に、企業規模に関わらず全ての労働者の健康確保を目指すものです

ストレスフルな状態にある人は、ストレスチェックの中でも「心身のストレス反応」に関する項目で数値が高く出やすい傾向があります。中でも心身のストレス反応は、ストレスによって実際に表れている影響を測る項目です。活気の低下やイライラ、不安感、気分の落ち込みといった心理的反応に加え、頭痛や胃痛、不眠などの身体的症状も含まれます。ストレスフルな状態が続くほど、こうした自覚症状は数値として可視化されやすくなります。

高ストレスと判定されることも

ストレスフルな状態が続くと、ストレスチェックで「高ストレス」と判定されることがあります。高ストレス者とは、ストレスチェックにおいて「心身のストレス反応」の評価点数が一定以上高い場合、または仕事のストレス要因や周囲のサポート状況と組み合わせて、総合的に負荷が強いと判断された人を指します。数値が高いということは、イライラや不安、気分の落ち込み、疲労感、不眠など、複数のストレス症状を本人が自覚している状態を意味します。これは単なる一時的な気分の問題ではなく、現在進行形で強いストレスにさらされているサインです。ストレスフルな状態が数値として可視化されることで、早めにセルフケアや専門的な支援につなげるきっかけになります。

集団分析と職場改善につなげる視点

ストレスフルな職場を改善するうえで重要なのが、ストレスチェックの集団分析を活用する視点です。集団分析を行うことで、特定の部署やチームに共通するストレス要因を客観的に把握できます。たとえば、業務量の偏りや裁量権の少なさ、上司のサポート不足といった問題がデータとして可視化されます。これを個人の問題ではなく職場環境の課題として捉えることで、業務配分の見直しや1on1の導入、職場環境の整備など、組織的な対策が可能になります。
こうした改善はメンタル不調の予防にとどまらず、エンゲージメントや生産性の向上、休職リスクの低下にもつながります。さらに、法令遵守や企業の社会的責任を果たす取り組みとしても重要です。

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
ストレスチェックは、自分の心身の状態を客観的に把握するための制度です。数値として現れる結果は、「ストレスフルな状態」に気づくヒントになり、必要に応じて休息や相談を取り入れることで、重い不調や長期休職を防ぐことができます。


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監修:精神科医・日本医師会認定産業医/近澤 徹

精神科医 近澤徹氏

【監修医師】
精神科医・日本医師会認定産業医
株式会社Medi Face代表取締役・近澤 徹

オンライン診療システム「Mente Clinic」を自社で開発し、うつ病・メンタル不調の回復に貢献。法人向けのサービスでは産業医として健康経営に携わる。医師・経営者として、主に「Z世代」のメンタルケア・人的資本セミナーや企業講演の依頼も多数実施。


> 近澤 徹 | Medi Face 医師起業家(Twitter)

    まとめ

    ストレスチェックは、従業員のストレス状態を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした制度です。現在は従業員50人以上の事業場で義務化されていますが、今後は50人未満の企業にも対象が拡大される予定です。
    ストレスフルな状態は、特別な人だけに起こるものではありません。問題を本人の資質や意欲の低下として片付けてしまうのではなく、ストレスチェックを通じて状態の変化やリスクの兆しを早い段階で捉えることが重要です。集団分析や面談結果を産業医、相談窓口、職場環境の見直しと結びつけることで、深刻化を防ぐ対応が可能になります。また、組織として予防とケアに取り組む姿勢が、個々のストレスフルな状態を防ぎ、安心して働ける職場づくりにつながります。
    ストレスチェッカーは、官公庁・上場企業・医療機関などで採用されている国内最大級のストレスチェックツールです。自動リマインド、面接指導者管理、進捗確認機能を標準搭載し、2025年5月からは無料プランでも「プレゼンティーイズム(生産性低下)」の測定に対応しております。
    導入方法や実施方法など、お気軽にお問合せください。

      :参照記事
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