ストレスチェックを外部委託する時の費用&チェックリスト

ストレスチェックとは、従業員が自分のストレス状態を把握するために行うための検査です。質問票に回答し、その結果を集計・分析することで、従業員自身が、「今どれくらいストレスがたまっているのか」を把握することができます。企業は、ストレスチェックの集団分析を活用して職場環境の改善につなげられるという大きなメリットがあります。
令和7年の労働安全衛生法改正により、それまで努力義務とされていた従業員50人未満の事業場でも、ストレスチェックの実施が義務化されました(令和7年5月14日公布。施行日は公布から3年以内に政令で定められる日)。
また、厚生労働省のマニュアルでは、従業員50人未満の事業場では、従業員のプライバシーを守る観点から、ストレスチェックの実施については、外部機関へ委託することが推奨されています。外部委託する場合、どの業者を選ぶかによってストレスチェックの質が大きく変わるため、信頼できる外部機関を選定することが非常に重要です。
価格はもちろん、実施体制、フォローアップ体制、集団分析の質などをしっかり比較し、自社に合ったサービスを選ぶことがポイントになります。
参考:厚生労働省 公式サイト/小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル

ストレスチェックを外部委託する時のチェックリスト

ストレスチェック制度は、外部機関へ委託することができます。特に従業員50人未満の事業場については、厚生労働省のマニュアルでも、従業員のプライバシー保護等の観点から外部委託が推奨されています。
外部委託を検討する際には、「その業者がストレスチェックを適切に運用できる体制を整えているか」「情報管理が確実に行われるか」「費用が明確で、不明瞭な追加料金がないか」などをしっかり確認することが重要です。
以下に、厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」をもとにストレスチェック制度のチェックリストを作成しましたので、参考にしてください。
参考: 厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
参考:ストレスチェック 50人未満事業場向け マニュアル

(1)外部委託費用はいくらか

委託する際の費用は、もっとも気になる点です。
なかには、ストレスチェックの実施以外にストレスチェックのデータ保管料が有料になったり月額基本料金・年額基本料金・更新料等が別途発生したりする業者もありますので、注意が必要です。

チェック項目 チェック
従業員1人あたりの費用はいくらか
WEBプラン(PC、スマホで実施する方法)の費用はいくらか
紙プラン(紙のマークシートで実施する方法)の費用はいくらか
契約金/月額基本料金/年額基本料金/更新料等が別途発生するか
ストレスチェックのデータ保管料が別途発生するか
集団分析は10集団以上が有料となるなど、上限設定があるか
高ストレス者に医師面接の案内を同封する場合には、別途料金が発生するか

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
導入や運用の相談は、ぜひお気軽にお問合せください。


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(2)ストレスチェック制度について正しく理解しているか

ストレスチェック制度の目的や、実施体制、守秘義務等について正しく理解しているのかをチェックします。

実施者とは、ストレスチェックを実施する者で、医師、保健師または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師です。
産業医が実施者になれない事情がある場合は、実施者となる資格を持つ者や資格者を有する外部業者に委託して実施する必要があります。

実施事務従事者とは、実施者の指示によって、ストレスチェックの実施事務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力または結果の保存等)に携わる人です。
人事権を有する者は、受検者本人の同意を得ていない個人結果を取り扱うことができませんので、ストレスチェックの実務に携わることはできません。

チェック項目 チェック
ストレスチェックの目的が主に一次予防にあることを理解しているか
実施者やその他の実施事務従事者に対して、法に基づき守秘義務が課されることを理解しているか
本人の同意なくストレスチェック結果を事業者に提供することが禁止されていることを理解しているか
実施者やその他の実施事務従事者となる者に対して、研修を受けさせるなどしてストレスチェック制度のしくみや個人情報保護の重要性を周知し、理解させているか
外部機関と当該事業場の産業医等が密接に連携することが望ましいことを理解しているか

(3)ストレスチェック制度の実施体制は整備されているか

ストレスチェックの実施者は、調査票を用いた検査結果からストレスの点数化を行い、面接指導の要否を確認します。
有資格者が確保されているか、ストレスチェックや面接指導について労働者からの問い合わせに適切に対応できる体制が整備されているのかについて、チェックする必要があります。

チェック項目 チェック
受託業務全体を管理するための体制が整備されているか(全体の管理責任者が明確になっているか)
ストレスチェックの実施者として必要な資格を有する者が確保され、またその旨が明示されているか
ストレスチェックの結果に基づいて面接指導を行う医師資格を有する者が確保されて、またその旨が明示されているか
実施者や医師の指示に基づいてストレスチェックや面接指導の実施の補助業務を行う実施事務従事者が確保され、またその旨が明示されているか
実施事務従事者の担当する業務の範囲は必要な範囲に限定され、またその旨が明確になっているか
ストレスチェックや面接指導に関して、労働者からの問い合わせがあった際に適切に対応できる体制が整備されているか
実施者やその他の実施事務従事者が、必要に応じて委託元の産業保健スタッフと綿密に連絡調整を行う体制がとられているか

(4)ストレスチェック制度の調査票は法令要件を満たすか

ストレスチェック制度の調査票は、厚生労働省指針では「職業性ストレス簡易調査票」を用いることを推奨しています。
衛生委員会で調査審議したうえで、職業性ストレス簡易調査票を参考にしつつ、科学的な根拠が示されていれば独自に検査項目を選定することもできます。
ただし、調査票には以下の項目を含めることは禁止されています。

①性格検査・適性検査
ストレスチェックの目的とは異なるため、労働安全衛生法に基づくストレスチェックとして性格検査や適性検査を実施することはできません。

②希死念慮・自傷行為
背景事情なども含めて評価する必要性がより高く、かつ自殺のリスクを把握した際には迅速で適切な対応が必須となることなどから、検査項目に含まれるべきではありません。

③うつ病検査
ストレスチェック制度の目的は、労働者自身にストレスへの気づきを促すもので、うつ病などのメンタルヘルス疾患のスクリーニングではないことに注意が必要です。

チェック項目 チェック
ストレスチェックに用いる調査票の選定、評価方法および高ストレス者の選定基準の決定について実施者が行うこととなっているか
ストレスチェックに用いる調査票は、法令の要件(ストレス要因、心身のストレス反応および周囲のサポートの3領域)を満たすか
国が示す標準的な57項目の調査票または23項目の簡易版以外の調査票を用いる場合には、科学的な根拠が示されているか
提案されるストレスチェック結果の評価方法および高ストレス者の選定方法、基準は適切か
調査票の記入・入力、記入・入力の終わった調査票の回収等が、実施者やその他の実施事務従事者及び労働者本人以外の第三者に見られないような状態で行える方法が取られるか。ICT を用いて行う場合は、実施者及び労働者本人以外の第三者に見られないようなパスワード管理、不正アクセス等を防止するセキュリティ管理が適切に行われるか
ストレスチェックや面接指導に関して、労働者からの問い合わせがあった際に適切に対応できる体制が整備されているか
実施者が受検者全員のストレスチェック結果を確認し、面接指導の要否を判断する体制が取られるか。
高ストレス者の選定に当たり、調査票に加えて補足的に面談を行う場合、当該面談を行う者は、医師、保健師、公認心理師等の適切な国家資格保有者であるか、又は臨床心理士、産業カウンセラー等の心理専門職であるか。また、当該面談は実施者の指示の下に実施する体制が取られるか。
労働者の受検の状況を適切に把握し、事業者からの求めに応じて、受検状況に関する情報を提供できる体制が取られるか

(5)ストレスチェック実施後の対応はどうか

ストレスチェック制度に関する労働者の個人情報保護は、適切に行われることが重要です。
そのため、事業者がストレスチェックの個人結果を本人の同意なく入手することは禁止されています。
したがって、ストレスチェックを受けた労働者に対して、個別に結果開示の意思を確認する方法や面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者に対して面接勧奨する方法などについて、チェックをします。

チェック項目 チェック
ストレスチェック結果の通知は、実施者やその他の実施事務従事者および労働者本人以外の第三者に知られることのないよう配慮され、直接本人に通知される方法がとられるか
本人に通知する内容は、①ストレスの特徴や傾向を数値、図表等で示したもの、②高ストレスの該当の有無、③面接指導の要否など、法令に定められた内容を網羅する内容か
面接指導が必要な労働者に対して、実施者やその他の実施事務従事者及び労働者本人以外の第三者に分からないような適切な方法で面接指導の申出を勧奨する体制が整備されているか
ストレスチェックの結果、緊急に対応が必要な労働者がいる場合に、委託元の産業保健スタッフを通じた事業者とすぐに連絡がとれる体制、また適切に対応できる体制が取られるか
ストレスチェック結果について、事業者へ開示するか否かの確認方法が法令に則ったものとなっているか(事前、もしくはストレスチェック実施時に同意を取得するような不適切な方法が取られないか)
実施者又はその他の実施事務従事者が結果の記録を5年間保存するための具体的な方法が明示され、そのために必要な施設、設備が整備され、実施者及び労働者本人以外の第三者が結果を閲覧できないような十分なセキュリティが確保されるか

(6)面接指導の実施方法

ストレスチェックによって高ストレス者と選定され面接指導を受ける必要があると実施者が認めた者に対して、労働者からの申し出に応じて医師による面接指導を実施します。
実施者は面接指導を申し出るよう、労働者に面接指導の申し出の勧奨を行います。
面接指導を実施する場所はプライバシー保護や労働者の利便性の観点から適切に選択しなければなりません。したがって、面接指導の申し出の勧奨はどのように行うのか、面接指導までサポートしてくれる体制が整備されているのかをチェックします。

チェック項目 チェック
面接指導の申し出の勧奨は、どのように行われるか
面接指導を実施する場所はプライバシー保護や労働者の利便性の観点から適切か
面接指導を実施するに当たり、事業者から対象となる労働者の労働時間、労働密度、深夜業の回数及び時間数、作業態様、作業負荷の状況等の勤務の状況や職場環境等に関する情報を事業者から入手し、適切に取扱う体制となっているか

(7)面接指導実施後の対応

医師が労働者に面接指導を実施した後、面接指導の結果に基づき、事業者は医師の意見を聴取し、必要に応じて就業上の措置を講じる必要があります。
したがって、面接指導の実施後についても必要なサポートを受けることができるかをチェックします。

チェック項目 チェック
面接指導の結果を事業者に通知するにあたっては、就業上の措置を実施するため必要最小限の情報に限定されており、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容等の生データが提供されることがないような方法が取られるか
面接指導の結果、緊急に対応が必要な労働者がいる場合に、委託元の産業保健スタッフを通じた事業者との連絡調整を含め、適切に対応できる体制が取られるか

(8)全部委託するか一部委託するか

ストレスチェックを外部委託する際には、ストレスチェック制度について全部委託する場合と一部のみ委託する場合に分けられます。

全部委託する場合には、メンタルヘルスに関する総合的な対策に関するサービスを付加するかたちで外部機関に委託し、自社のメンタルヘルス対策を強化するのもよいでしょう。

メンタルヘルス対策が整備されている場合には、一部(たとえば、ストレスチェックツールのみの利用)だけ委託し、残りを自社対応とするのもよいでしょう。
いずれにせよ、外部委託する際に「どこまで依頼できるのか」「何を自社対応できるのか」について、しっかり検討しておく必要があります。

まとめ

以上、ストレスチェック制度を外部委託する時の費用とチェックリストについてご紹介しました。
上記でご紹介したチェックリストは、以下からダウンロードすることができます。ストレスチェック業者と打ち合わせする際に、ご活用ください。

2025年版ストレスチェックを外部委託する時チェックリスト

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