ストレスチェックの実施者とは|役割・資格は?委託できる?

ストレスチェックの実施者については労働安全衛生規則で具体的に示されているほか、厚生労働省の指針で実施者の役割が明示されています。

この記事では、労働安全衛生規則(以下「安衛則」)や厚生労働省の指針(以下「指針」))をご紹介しながら、実施者の役割や義務、資格、委託する際のポイントなどについてご紹介します。

ストレスチェックの実施者とは

ストレスチェックの実施者とは、ストレスチェック制度を実施する人です。
実施者は、医師のほかにも保健師など一定の要件を満たす者がなれるとされていて、外部委託をすることもできます。

(1)ストレスチェックの実施者になれる者

実施者は誰でもなれるものではなく、医師、保健師または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師でなければなりません。

安衛則 第52条の10
厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師

2 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。

労働安全衛生規則 第一編 第六章 健康の保持増進のための措置

(2)ストレスチェックの実施者の役割

ストレスチェックの実施者の役割は、ストレスチェックを実施することだけではありません。
ストレスチェックの調査票の選定、調査票に基づくストレス程度の評価方法、高ストレス者の選定基準の決定について、事業者に意見を述べなければなりません。また、医師による面接指導を受ける必要か否かも確認しなければなりません。

指針
実施者は、ストレスチェックの実施に当たって、当該事業場におけるストレスチェックの調査票の選定並びに当該調査票に基づくストレスの程度の評価方法及び高ストレス者の選定基準の決定について事業者に対して専門的な見地から意見を述べるとともに、ストレスチェックの結果に基づき、当該労働者が医師による面接指導を受ける必要があるか否かを確認しなければならないものとする。

なお、調査票の回収、集計若しくは入力又は受検者との連絡調整等の実施の事務については、必ずしも実施者が直接行う必要はなく、実施事務従事者に行わせることができる。事業者は、実施の事務が円滑に行われるよう、実施事務従事者の選任等必要な措置を講じるものとする。
厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」

(3)ストレスチェックの実施者は面接指導も行わなければならないか

実施者は、ストレスチェックによって高ストレス者として選定された労働者について面接指導を受ける必要があるか判断する必要がありますが、実施者自らが面接指導を実施する必要はありません。

面接指導を実施する医師は、事業場の状況を日頃から把握している産業医や事業場における産業保健活動に従事している医師が推奨されてはいますが、外部機関に委託することもできます。また面接指導を実施する医師は、必ずしも精神科医や心療内科医が実施する必要はありません。

産業医の具体的な役割

① ストレスチェックの実施
ストレスチェックは当該事業場の産業医が実施することが望ましい。なお、
ストレスチェックの実施の全部を外部に委託する場合にも、当該事業場の産業医が共同実施者となり、中心的役割を果たすことが望ましい。

② 面接指導の実施
面接指導は当該事業場の産業医が実施することが望ましい。

③ 事業者による医師の意見聴取
事業者は、法第 66 条の 10 第5項の規定に基づき、医師から必要な措置についての意見を聴くに当たって、面接指導を実施した医師が、事業場外の精神科医又は心療内科医等である場合等当該事業場の産業医以外の者であるときは、当該事業者の事業場の産業医からも面接指導を実施した医師の意見を踏まえた意見を聴くことが望ましい。

厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」

(4)共同実施者・実施代表者とは

ストレスチェックの共同実施者とは、事業場の産業医および外部機関の医師等が共同でストレスチェックを実施する場合など、実施者が複数名いる場合の実施者のことです。そして、複数名の実施者を代表する者を「実施代表者」といいます。

専属産業医がいなくても、常勤の保健師や看護師が在籍している場合には、保健師や看護師が共同実施者となるのが望ましいでしょう。常勤の保健師や看護師であれば、従業員にも安心感が生まれるというメリットもあります。

(5)実施者が見つからない時は委託できるか

専属産業医や保健師等がいる事業場であれば、その者が実施者となることが望ましいですが、ストレスチェックの実施者を担える者がいない場合には、ストレスチェック実施者を外部業者に委託することも可能です。

なお、外部業者に委託する場合には、必要に応じて共同実施者となってもらえるかも確認しておきましょう。ストレスチェックの実施から衛生委員会などで述べる意見や資料についてもサポートを受けるとよいでしょう。

外部機関に委託できるサポート内容

①ストレスチェック制度導入サポート
②実施者サービス
③医師面接指導
④ストレスチェックの実施(受検から結果通知、面接指導の勧奨まで)

⑤集団分析(カスタマイズ・コンサルティングレポート 等)
⑥電話カウンセリング
⑦研修(セルフケア研修・ラインケア研修)

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まとめ

以上、ストレスチェックの実施者についてご紹介しました。
ストレスチェックの実施者は産業医が望ましいとされていますが、保健師または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師なども実施者となることができます。
産業医がストレスチェックの実施者になることが難しい場合や、自社内で実施者を探すことが難しい場合には、外部機関に委託することもできます。

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    【監修】
    公認心理師 山本 久美(株式会社HRデ―タラボ)

    大手技術者派遣グループの人事部門でマネジメントに携わるなかで、職場のメンタルヘルス体制の構築をはじめ復職支援やセクハラ相談窓口としての実務を永年経験。
    現在は公認心理師として、ストレスチェックのコンサルタントを中心に、働く人を対象とした対面・Webやメールなどによるカウンセリングを行っている。産業保健領域が専門。

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