エンゲイジメントとは?意味・メリット・取り組み方

健康増進と生産性向上を同時に実現するキーワードとして、「エンゲイジメント」が注目されています。
エンゲイジメントとは、仕事や組織に対する自発的な貢献意欲や前向きな関与の度合いを指します。
この記事では、エンゲイジメントの基本的な意味に加え、企業や個人にもたらすメリット、実際にエンゲイジメントを高めるための具体的な取り組みについて分かりやすくご紹介します。

エンゲイジメントとは

エンゲイジメントとは、個々の従業員が企業の掲げる戦略や方針を正しく理解し、そのうえで自発的に自分の力を発揮しようとする貢献意欲のことを指します。これは「バーンアウト(燃え尽き)」の対概念として位置づけられています。
バーンアウトした従業員は、心身の疲労が蓄積し、仕事への関心や熱意が薄れ、生産性も低下しがちです。
一方、エンゲイジメントが高い従業員は、心身の健康が保たれ、仕事に前向きに取り組み、高い集中力と持続的な成果を生み出すとされています。

(1)エンゲイジメントの種類

エンゲイジメントには、「従業員エンゲイジメント」と「ワーク・エンゲイジメント」があります。

・従業員エンゲイジメント
会社、組織と従業員一人ひとりとの関り合いのこと。
組織に対する自発的な貢献意欲

・ワーク・エンゲイジメント
仕事の内容と従業員一人ひとりとの関り合いのこと。
「仕事に誇りややりがいをかんじている」(熱意)・「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)・「仕事から活力を得ていきいきしている」(活力)の3つが揃った状態で、主体的に仕事に取り組んでいる心理状態を表したもの

エンゲイジメント自体は定義に幅のある言葉となっているため、両者を特に区別せず総称として「エンゲイジメント」と表現している場合もあれば、従業員エンゲイジメントやワーク・エンゲイジメントを指して使用されている場合もあります。

(2)モチベーションとの違い

エンゲイジメントは、しばしばモチベーションと混同されることがあります。ワーク・エンゲイジメントが高い状態を説明する際、「仕事を楽しく感じ、もっと仕事をしたいと考える」と表現されることがあるため、モチベーションに近い概念だと誤解されがちです。
しかし、モチベーションとは物事に取り組む意欲を引き出す「動機づけ」を指す言葉であり、エンゲイジメントは従業員と仕事・組織との「関係性」を示す概念です。
モチベーションが気分や体調などに左右されやすい一時的なものなのに対し、ワーク・エンゲイジメントは「仕事に向けられた持続的かつ全般的なポジティブな感情と認知」とされ、長期的に安定した状態を指します。

エンゲイジメント向上のメリット

エンゲイジメントの向上には多くのメリットがあるとされ、アップルやグーグル、ディズニーなどの有名企業でも注目されています。
アップルでは、店舗ごとに従業員エンゲイジメントを診断し、その結果をもとに職場環境の改善やマネジメントの見直しを行っています。
グーグルでは、自社の重要情報や経営目標を積極的に共有・開示することで、従業員一人ひとりが組織の方向性を理解し、主体的に働ける状態をつくっています。
世界的にも評価が高いこれらの企業がエンゲイジメントを重視するのは、それが組織のパフォーマンスに、大きな影響をもたらすことが実証されているからです。

(1)収益性・生産性などが向上する

エンゲイジメントが高い集団は、そうでない集団と比較して生産性や収益性が高いことが分かっています。
つまり、エンゲイジメントは企業の業績に直結するのです。

米ギャラップ社の調査によると、エンゲイジメントが高いチームと低いチームでは、生産性は21%、収益性は22%もの差がありました。

(2)欠勤、離職率、事故率が下がる

エンゲイジメントの高い集団は、欠勤や事故など、業績低下につながるリスクについては低い傾向であることが分かっています。

またエンゲイジメントの高い人は離職の可能性が8%低いという報告もあり、エンゲイジメントを高水準に維持している会社は、1年後の営業利益率が低水準の会社の3倍になるとも言われています。

参考:【ギャラップ公式】たった12問であなたの職場の従業員エンゲージメント状態が分かる

(3)心身の健康状態が良好になる

エンゲイジメントは、労働者の身体的・精神的な健康との関連が認められており、メンタルヘルス対策においても有用であると考えられています。
たとえば、ワーク・エンゲイジメントが高いと、仕事に関連してポジティブな感情を経験しやすく、睡眠の質が良好であり、心理的ストレス反応が低く、身体愁訴が少ないという研究データ(Kubota 2012年)もあります。

参考: Japanese Journal of Behavioral Medicine

エンゲイジメントというポジティブな心理状態については、従業員幸福度などとの関連は指摘されているものの、うつ病などの精神疾患との関連については、まだはっきりとは分かっていません。
今後、エンゲイジメントの向上がメンタルヘルスに与える影響について、さらなる研究が進むことが期待されます。

エンゲイジメントを高めるためには

エンゲイジメントが向上することで、生産性や収益性は向上し、欠勤や離職は減少すること、メンタルヘルスにも良い影響があることはご理解いただけたと思います。
この点だけを見ても、従業員のエンゲイジメントを高めることは、企業にとって重要な意味を持つといってよいのではないでしょうか。

では実際にエンゲイジメントの向上に取り組む際には、どのような点に配慮して進めていくべきなのでしょうか。

(1)ストレスチェックの活用

ストレスチェックとは、従業員が自分自身のストレス状況を把握することでメンタルヘルス不調に気づき、セルフケアにつなげていくことを目的とした制度です。

このストレスチェック制度を活用して、エンゲイジメントの測定をする場合には、一般的に80問の設問で構成される「新職業性ストレス簡易調査票」を使用します。

「新職業性ストレス簡易調査票」を公開している「事業場におけるメンタルヘルスサポートページ」では、日本人1600人のエンゲイジメントや職場の一体感に関する平均値が公開されていますので、その平均値と事業場の結果を比較して課題を検討し、職場環境改善に活用してみましょう。

参考:事業場におけるメンタルヘルスサポートページ

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
導入や運用の相談は、ぜひお気軽にお問合せください。


★ ストレスチェック導入のご相談はこちら

(2)方針を表明し発信する

エンゲイジメントに限らずメンタルヘルス関連の取り組みは、経営者、管理監督者、従業員が一体となって行うことが重要です。
まずは「エンゲイジメント向上を目指す目的」について、検討する必要があります。エンゲイジメント向上のメリットについて理解できても、それが理念や目標と合致していなければ、持続的に取り組むことはできません。

明確なエンゲイジメント向上の目的と、達成に向けた方針を発信することで、全社一体となった取り組みが可能になります。そしてトライアンドエラーを繰り返す中で成功事例をつくり、共有していきましょう。それらを地道に繰り返すことが、エンゲイジメント向上施策の成功への近道になります。

(3)健康経営に取り組む

健康経営とは、重要な経営資源である従業員の健康に「投資」をすることで、業績向上という「リターン」を求める経営戦略です。
従業員が健康的に働ける仕組みに投資することで、不健康による損失が減り、労働生産性や収益性が向上し、会社が成長するという考え方です。
健康経営において、エンゲイジメントは重要な要素であり親和性の高い考え方であるといえます。
経済産業省によれば、健康経営によって期待されるリターンは、従業員の健康だけでなく「従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化」とされており、「結果的に業績向上や株価向上につながる」とされています。また、「健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワーク・エンゲイジメント」は、健康経営優良法人の認定要件となっています。

エンゲイジメント向上への取り組みを一から検討するのであれば、健康経営の枠組みや取り組み事例を参考としてもよいかもしれません。

まとめ

従業員のスキルがどれほど高くても、エンゲイジメントが低い状態では力を継続的に発揮することはできません。したがって、従業員のエンゲイジメントを向上させることは、企業の成長にとって非常に重要な課題であるといえます。
エンゲイジメントの重要性について改めて認識し、より良い組織や職場づくりの参考としていきましょう。

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