人間関係 疲れた…職場の事例10選

人間関係のストレスは目に見えにくい分、我慢しやすく、気づいたときには限界に近づいていることも少なくありません。
この記事では、よくある「人間関係に疲れた」と感じる事例を整理し、その先に起こりやすい変化や、個人・組織それぞれが考えたい向き合い方をご紹介します。

監修医師:近澤 徹
精神科医・日本医師会認定産業医
株式会社Medi Face代表取締役

「人間関係に疲れた」と感じる事例10選

人間関係が理由で退職する人は少なくありません。
エン・ジャパンの調査によると、退職時に本当の理由を会社に伝えた人は53%にとどまり、約半数は本音とは異なる理由を伝えていて、実際の退職理由で最も多かったのは「人間関係」で25%を占めています。
また厚生労働省の調査でも、人間関係は退職理由として常に上位に挙げられています。
では、なぜ人は人間関係に疲れてしまうのでしょうか。
参考:日本経済新聞/退職理由1位は「家庭の事情」、本当は「人間関係」

LINEの裏グループ

「人間関係に疲れた」事例で増えているのが、LINEの裏グループです。
表向きは事務連絡だけの全体グループがあり、別の場では特定の上司や同僚に対する不満や揶揄が、画像を添えて共有されることもあります。
また、飲み会やランチの話は別グループで進み、誘われなかった人が後から知ってモヤっとしたというケースもあります。
さらに「今あの人、余裕がありそうだよね」と業務を回す相談まで勝手に行われていたというケースもあります。

社内SNSでの“いいね圧”

社内SNSでの“いいね圧”も、「人間関係に疲れた」と感じる原因になりがちです。上司や同僚の投稿に反応しないと空気が悪くなりそうで、内容よりも「押したかどうか」が気になってしまったり、自分の投稿についても“いいね”の数で評価されているように感じてしまったりと、妙な緊張が生まれます。本当は共感していなくても、とりあえず押し、返さないと関係がこじれそうで断れない…。そんな小さな気遣いの積み重ねが、気づかないうちに心理的な負担となっているようです。

社内のSNSでの匂わせ投稿

社内SNSでの“匂わせ投稿”とは、たとえば「常識って大事だよね」「報連相ができない人って困る」といった具体名のない投稿などです。誰のことかは書いていないものの、タイミングや状況から「自分のことではないか」と感じる人が出てきます。直接言われているわけではないため反論もしづらく、周囲も「誰のことだろう」と憶測を始め、空気がぎくしゃくします。
発信者は「独り言」「一般論」と言い逃れできますが、受け手には確実にダメージが残ります。やがて投稿を見るだけで緊張するようになり、発言や相談を控える人も出てきます。

上司の機嫌が天気予報

上司の機嫌が天気予報のように変わる環境も、「人間関係に疲れた」と感じる職場の典型です。
朝の挨拶がそっけないだけで「今日は危ない日だ」と察し、一日中ビクビクするというケースは珍しくありません。昨日は問題なかった指示が、今日は機嫌が悪いという理由だけで覆され、やり直しを命じられることも珍しくありません。
さらに厄介なのは、「今は話しかけていいのか」を常に考えさせられる点です。報告や相談を先延ばしにした結果、タイミングを逃し、「なぜ早く言わない」と不機嫌さが増幅するため、負のループに心がすり減っていきます。
上司の機嫌が悪い日は、決裁や判断も滞りがちで、業務全体のスピードが落ちるといった声も聞かれます。

板挟みになる中間層の恐怖

経営層からは「KPIを達成しろ」「残業は減らせ」といった現場の実情とかけ離れた指示が飛び、メンバーからは人手不足や業務過多への不満があふれ、両方の立場を理解していながら、最後は自分が現場に方針を伝えなければならない――そんな中間管理職は少なくありません。
上からは「育成が不十分だ」と責められ、下からは「相談しても何も変わらない」と不信を向けられ、さらに同僚間の対立や部門調整、ハラスメント対応まで抱え込み、気づけば逃げ場がなくなっていることもあります。
仕事そのものが嫌なのではない。ただ、人間関係にすり減ってしまう。それが板挟みの怖さです。

職場での無視・孤立(ハラスメント)

「人間関係に疲れた」と強く感じさせるのが、職場での無視や孤立です。挨拶を返されない、業務の質問をしても反応がない、必要な情報だけが自分に共有されない…。
こうした行為は、厚生労働省が示すパワーハラスメントの「人間関係からの切り離し」に当たる可能性が高い、深刻な問題です。
特定の人にだけ無言やため息で接する、いわゆるフキハラ(不機嫌ハラスメント)もよくある例です。言葉はなくても、拒絶の態度ははっきり伝わり、精神的な負担は大きくなります。さらに、ランチや休憩、飲み会に意図的に誘われない、陰で噂や悪口を広められるといった集団的な無視が加わると、職場に居場所がなくなっていきます。
中には、仕事を与えられず「干される」状態にされたり、席を離されるなど物理的に切り離されたりするケースもあります。大勢の前で必要以上に叱責され、孤立を深められることも少なくありません。

愚痴のゴミ箱になる

意外と多いのが「愚痴のゴミ箱」役を押し付けられ、人間関係に疲れるケースです。上司の不満、同僚への苛立ち、会社への文句などについて、なぜかいつも聞き役に回り、「君には話しやすいから」と次々に吐き出され、聞き手は負の感情を丸ごと受け止めることになります。
最初は「仕方ない」「役に立てている」と思えても、次第に自分の気力が削られてしまいます。しかし、関係を壊したくない、冷たい人だと思われたくないという不安もあり、「優しい人ほど損をする」状態になってしまうのです。

過度な同調圧力から逃げられない

過度な同調圧力も、人間関係を疲れさせる大きな要因です。仕事後の飲み会やランチは全員参加が当たり前で、断れば「付き合いが悪い」と見られてしまいます。残業している人が多いと先に帰りづらく、有給を取れば理由を探られ、嫌味を言われることもあります。
また、会議では上司や多数派の意見が絶対で、異論を出すことは「面倒な人」扱いされることも。さらに、派閥や影響力のある人に逆らえば、陰口や無視が始まることもあります。

評価基準が不透明で不信感

「人間関係に疲れた」と感じる職場には、評価基準が見えないという共通点があります。どれだけ成果を出しても、なぜ評価されたのか、なぜ評価されなかったのかが分からず、もちろん昇給や昇進の理由も説明されず、「結局、上司の好き嫌いでは?」という疑念が残ってしまうと、仕事への意欲より先に、人への不信感を育ててしまいます。
部署ごとに基準が違ったり、「主体性」「貢献度」など曖昧な言葉だけで評価されたりすると、「何を頑張ればいいのか分からない」という状態に陥ります。また「誰が、いつ、どの視点で」評価しているのかが分からない環境では、上司との関係性そのものがストレスになります。

感情論で話が進み、建設的な議論ができない

事実や数字よりも、「なんとなく嫌だ」「不安だから」「気分的に違う」といった感情が優先される職場では、冷静な意見ほど通りにくくなります。正しいかどうかよりも、誰の気持ちを傷つけないかが基準になり、次第に人間関係に疲れていきます。
さらに厄介なのは、感情が強くなるほど自分の視点に固執し、全体を見渡せなくなる人がいることです。別の案を出しても「そういう話じゃない」と遮られ、その積み重ねが「話しても無駄だ」「考えるだけ損だ」という諦めにつながっていきます。

人間関係に疲れると、何が起こるのか

人間関係に疲れると、まず表に出るのが働き方の変化です。「余計なことを言って波風を立てたくない」という防衛反応から、次第に感情を切り離し、期待も失望もしないよう淡々と働くようになります。周囲からは「落ち着いている」「問題なさそう」に見えることもありますが、内側では消耗が進んでいます。そして限界を迎えたとき、休職や退職という形で表面化することもあります。

仕事はこなすが、提案しなくなる

人間関係に疲れると、「仕事は淡々とこなすが、提案や発言はしなくなる」という状態に陥りやすくなります。これは怠けではなく、心理的なエネルギーが枯渇しかけたときに表れる防御反応です。
意見を出すには、否定されるかもしれない不安や関係が悪化するリスクを引き受ける覚悟が必要ですが、人間関係で消耗しているとその余力が残っていません。
「どうせ聞いてもらえない」「また空気を読まされるだけ」と考え、あえて踏み込まない選択をするようになります。結果として最低限の成果は出し続けるものの、それ以上の貢献はしないといった、いわゆる“静かな退職”に近い状態となってしまいます。
参考:静かな退職とは?リスクと対策

感情を切り離して淡々と働く

人間関係に疲れると、感情を切り離して淡々と働くようになる人がいます。これは冷たくなったわけでも仕事への熱意を失ったわけでもありません。本来は業務に使うはずのエネルギーが、空気読みや気疲れ、後悔の処理に奪われまいと「仕事は仕事」「余計な期待はしない」と割り切ることで、衝突や失望を避ける狙いもあります。
一見すると冷静でプロフェッショナルに見えますが、内側では限界が近づいているサインでもあります。

結局、休職・退職

人間関係に疲れて、結局は休職や退職を選ぶ人は少なくありません。周囲から見ると前触れがなく「突然」に見えますが、実際は長い時間をかけてストレスが蓄積し、心と体が限界を超えた結果です。「まだ大丈夫」「自分が我慢すればいい」と適応し続けた人ほど、自覚のないまま消耗していきます。真面目で責任感が強い人は、不満や違和感を飲み込み、弱音を吐かずに踏ん張りがちです。
しかし不眠や慢性的な疲労、集中力低下といったサインを無視し続けると、ある瞬間、スイッチが切れたように動けなくなります。
相談できる相手がいない、環境を変えられない状況では、「行けない」「続けられない」という形でしか自分を守れなくなります。結果として、ある日突然の休職や退職に至るのです。

人間関係に疲れたらできること

「人間関係に疲れた」と感じたとき、まずやるべきなのは、誰かを変えようとしないことです。他人の性格や価値観にエネルギーを使うほど、消耗は加速します。うまくいかない理由をすべて自分のせいにする必要もありません。疲れる環境に長くいれば、誰だって消耗します。
大事なのはまず「自分は今、確実に疲れている」と認めること。その事実を否定しないだけで、心は少し楽になります。

人を変えることにエネルギーを使わない

他人を変えようとするほど、消耗は増えていきます。実際、変えられるのは相手ではなく、自分の関わり方だけです。
苦手な人と無理に関わらず、挨拶と業務連絡だけにしましょう。「職場の人はただの同僚」と割り切り、深い理解や共感を求めないだけで、心の負担は軽くなります。
また、「こうしてくれるはず」「分かってくれるはず」という期待を手放すことも重要です。期待があるほど、裏切られたときのダメージは大きくなります。相手の機嫌や感情は相手の問題であり、自分の責任ではありません。浮いたエネルギーは、自分の回復に使いましょう。

自分に原因があると思わない

性格や価値観、仕事の進め方が合わない相手がいるのは自然なことで、誰とでもうまくやれる人はいません。合わない相手に無理に合わせ続ければ、消耗するのは当然です。
何か起きたときに「全部自分が悪い」と背負わず、「相手側にも要因がある」と捉え直すだけで、心は少し軽くなります。職場では「仕事だけの関係」と割り切り、必要以上に感情を持ち込まないことです。

疲れている事実を肯定しよう

「自分は今、疲れている」という事実をそのまま認めましょう。
多くの人は「これくらいで弱音を吐くのは甘え」「自分が我慢すれば丸く収まる」と自分を追い込みがちですが、人に気を使い、空気を読み、衝突を避けてきたなら、疲れて当然です。
疲れを肯定できたら、次は休ませる段階です。無理して合わせてきた自分を労い、疲れたと感じる感覚を否定しないことです。すべての期待に応える必要はなく、全員に好かれなくても問題ありません。他人の評価より、自分の消耗度を基準にしましょう。

物理的・心理的に距離をとろう

ストレスの原因となる相手と、これまで通り関わり続ける必要はありません。挨拶と業務連絡だけに絞り、無理に愛想よく振る舞わなくていいのです。また、SNSや社内チャットの通知を切ると、常に誰かの反応を気にする状態から一気に解放され、頭の中が驚くほど静かになります。
人と関わらない時間を意識的に作り一人で過ごす時間を確保することは、逃げでも怠けでもありません。むしろ、これ以上心が削られないための現実的なセルフケアです。
「距離を置く=関係を壊す」と考えがちですが、距離を取らなければ自分が壊れてしまうくらいなら、「よくここまで耐えてきた」と一度立ち止まること。その小さな距離が、回復への確かな一歩になります。

上司・経営者ができる関わり方

人間関係に疲れた部下や社員に対して、上司や経営者がやりがちなのが「で、原因は?」「どう改善する?」とすぐ正解を探しにいく対応です。しかしこの段階での原因究明や正論、アドバイスは、本人をさらに追い込みがちです。多くの場合、本人も理由は分かっていて、もう考える力すら残っていません。
「判断」や「解決」を急がず、まずは「聴くこと」が重要です。

すぐ原因究明しない

人間関係に疲れた部下や社員に対して、上司や経営者が最初にやるべきなのは「原因究明」ではありません。誰が悪いのか、何が問題なのかを急いで整理しようとすると、本人は「また評価される」「詰められる」と感じ、心を閉ざしてしまいます。この段階で必要なのは、解決よりも受け止める姿勢です。まずは「話してくれてありがとう」と伝え、安全な場で最後まで遮らずに聴くことです。途中で正論や助言を挟まず、「それは辛かったですね」「大変でしたね」と感情に寄り添うだけで、本人の緊張は大きく和らぎます。
表情や声のトーンも重要で、穏やかさが安心感を生みます。人は理解されると、初めて冷静に状況を語れるようになります。原因探しは、信頼関係ができてからで十分です。

正論・アドバイスを急がない

「こうすればいい」「気にしすぎだ」といった言葉は正しく聞こえても、受け取る側には追い打ちになりやすく、ロジカルハラスメントと感じさせることもあります。
本人が求めているのは解決策よりも、「まずは、分かってもらえた」という感覚です。結論を出そうとせず、途中で遮らずに話を聴き、うなずきや表情で共感を示すことが大切です。アドバイスは求められてからで十分です。正論を抑え受け止める姿勢こそが、信頼と回復の土台になります。
 

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
ストレスチェックは、自分の心身の状態を客観的に把握するための制度です。数値として現れる結果は、「ストレスフルな状態」に気づくヒントになり、必要に応じて休息や相談を取り入れることで、重い不調や長期休職を防ぐことができます。


★ ストレスチェック導入のご相談はこちら

 

監修:精神科医・日本医師会認定産業医/近澤 徹

精神科医 近澤徹氏

【監修医師】
精神科医・日本医師会認定産業医
株式会社Medi Face代表取締役・近澤 徹

オンライン診療システム「Mente Clinic」を自社で開発し、うつ病・メンタル不調の回復に貢献。法人向けのサービスでは産業医として健康経営に携わる。医師・経営者として、主に「Z世代」のメンタルケア・人的資本セミナーや企業講演の依頼も多数実施。


> 近澤 徹 | Medi Face 医師起業家(Twitter)

    まとめ

    ストレスチェックは、従業員のストレス状態を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした制度です。現在は従業員50人以上の事業場で義務化されていますが、今後は50人未満の企業にも対象が拡大される予定です。
    人間関係に疲れたと感じている人に、ストレスチェックの活用は有効です。自分では「まだ大丈夫」と思っていても、心身の負荷は気づかないうちに蓄積しています。ストレスチェックは、感情や体調の変化を客観的に可視化できるため、「疲れている状態」を自覚するきっかけになります。また、結果を通じて無理をしているポイントや環境要因に気づけることで、休む判断や相談につなげやすくなります。
    ストレスチェッカーは、官公庁・上場企業・医療機関などで採用されている国内最大級のストレスチェックツールです。自動リマインド、面接指導者管理、進捗確認機能を標準搭載し、2025年5月からは無料プランでも「プレゼンティーイズム(生産性低下)」の測定に対応しております。
    導入方法や実施方法など、お気軽にお問合せください。

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