メンタルヘルス不調の労働相談とは?相談を受ける際のポイントは?

労働相談とは、職場の人間関係やいじめによるメンタルヘルス不調、解雇、労災、社会保険など、働くうえで生じるさまざまな問題についての相談を指します。ハラスメントや長時間労働、配置転換などが背景にあるケースも少なくありません。
労働相談に対応する際には、解決に向けて状況の整理や事実確認、関係者へのヒアリングなど、段階的な対応が求められます。担当者だけで解決できる場合もありますが、内容によっては産業医や弁護士と連携する必要がありますし、職場全体での環境調整や再発防止策の検討が必要になることもあります。

労働相談とは

労働相談とは、職場における相談です。労働相談の内容は、職場の人間関係やいじめによるメンタルヘルス不調に関するものから、解雇、労働条件、労災、仕事の進め方に関する悩みまで、さまざまです。
なかでもメンタルヘルス不調に関する労働相談は、相談窓口の担当者だけで解決できないものも多く、また対応次第では不要なトラブルを招くこともありますので、慎重な対応が求められます。

(1)労働相談では予断はNG

労働相談では、相談者に予断を持つことはNGです。まずは白紙の状態で話を聴くことが大切です。労働相談の相談者は、不安や焦りから感情的になっていることがありますが、服装や話し方から決めつけないように注意が必要です。こちらは落ち着いた態度で、事実と感情を分けて整理しながら聴くと、状況が見えやすくなります。
また、労働相談は本人からの相談ではなく、配偶者や同僚などから、匿名などで行われる場合も少なくありません。
このような場合は、労働者本人からの相談と比べて情報が不正確だったり、別の意図や感情が入ったりする場合もありますので、より慎重な対応が求められます。確認できていない点は「未確定」として扱い、本人への確認方法も含めて進め方を検討しましょう。

(2)まずは相談者の話を聴く

労働相談において相談を受ける側は、相談者の目線で話を聴くことが大切です。「聞く」ではなく「聴く」です。
聴くとは、相手の言葉だけでなく、その背景にある感情や置かれている状況にも意識を向けることを意味します。相談者は、労働相談に訪れるまでに相当に悩んだことも想定されますから、そのような心情に配慮した対応が必要です。安心して話せる雰囲気をつくることも重要な役割です。
相談者の抱えている問題、今後どうしていきたいのか、何が問題の原因になっているのかについて、相手が語ることに注力して聴き、理解しようと努めます。途中で評価や結論を急がず、事実関係と本人の受け止め方をていねいに整理していきます。
労働相談は、会社や人間関係に対する不満、疑い、不安などの長い話のあとに、はじめて相談の本質に行きつくこともあります。表面的な訴えの裏にある本当の困りごとを見逃さない姿勢が求められます。相談者が言おうとしている核心は何かを常に考えながら話を聴き、共感を示しつつ、必要に応じて要点を確認しながら整理していくことが大切です。

(3)相談者の状況を理解する

相談者の置かれている状況を正確に把握します。
相談者の主張から、会社での状況、立場、会社や役員・上司との関係、家庭状況、知人関係、年齢なども聴き出します。
そして、相談者の気持ちや意思を受け止めます。
相談者の中には、話を聴いてもらうだけで不安が払しょくされる場合がありますし、相談者の気持ちを理解して共に解決をしようという姿勢を見せることで、一件落着となる場合もあります。

(4)メンタルヘルス相談のポイント

メンタルヘルス相談には、とくに相談者のメンタルに配慮した相談対応が求められます。
相談者の中には「上司にいじめられている」「同僚に嫌がらせを受けている」と訴えるケースがありますが、最初から「これは、いじめの問題だ」「それは相手が悪い」などと決めつけず、全体的に状況を捉えるように努力します。
相談者の話に共感して聴くことは大切ですが、相談者の感情に巻き込まれて一緒に腹を立てて、相手を非難するのも好ましくありません。
相談者の問題や悩みを一緒に整理し、解決の方法を考えていくという姿勢を見せることが大切です。

ハラスメントやいじめに関する相談であれば、事実関係を把握するために、いつ、どこで、誰が、何をしたのかを詳細に確認する必要があります。
しかし、労働相談に訪れた時点で相談者がこれらのすべてを整理しているとは限りません。質問しても、資料もなく混乱することも考えられます。
その場合には、改めて十分な日程を別途設けて、事実関係について事情聴取を行います。

また、メンタルヘルス不調の早期発見のポイントは、変化を把握することです。したがって、勤怠状況や仕事の能率低下などの状況を把握します。
たとえば、休日明けに突発休が続く場合には、メンタルヘルス上の問題の存在が示唆されます。また、不注意や判断力低下からミスが増えていないか、期限までに仕事を完成できないケースが増えていないなども確認します。

(5)ケースに応じて専門家と連携する

必要に応じて専門家との連携を検討します。
メンタルヘルス不調の相談者には、不眠や食欲減退、頭痛、動悸などさまざまな身体的な症状を訴える場合があります。こうした場合には、産業医への相談を進めてみます。
産業医が必要と判断した場合には、精神科医が面接をして病状の判断や就業上の措置について意見を述べることになります。
なかには、メンタルヘルス不調に気づいていながら、周囲の偏見を恐れて受診を拒否することがありますが、まずは相談した本人をねぎらい、守秘義務について説明し、産業医が何度か面接をして信頼関係を構築することで、「先生がそう言うなら」と受診を決めるケースもあります。
本人が安心して受診できるよう、産業医とも信頼関係を構築しておくことが大切です。

(6)休職したいと言われたら

たとえば、従業員が「メンタルヘルス不調を訴え、3カ月程度の療養が必要」という診断書を提出してきて、3カ月の休職を命じたとします。診断書の内容に沿って休養期間を設けることは重要ですが、それだけで問題が解決するとは限りません。
ただし、メンタルヘルス不調の原因が職場の労働環境や人間関係にあった場合には、たとえ3カ月後に症状が回復して職場に復帰しても、すぐにまた同じようにメンタルヘルス不調になる可能性が高いといえるでしょう。背景要因がそのままであれば、再発のリスクは残ったままです。
その場合には、単に休職させるだけでなく、産業医らの意見も聞きながら、業務量や配置、上司との関係性などを含めて労働環境を見直したり、必要に応じて異動を検討したりといった対応が求められます。復職面談や段階的な業務復帰の仕組みを整えることも、再発防止につながります。

(7)ストレスチェックの活用法とは

ストレスチェックとは、メンタルヘルス対策の一次予防として、定期的に社員のストレスの状況について検査を行なう制度です。
平成27年(2015年)12月1日に施行され、今後は全事業場を対象として義務化されることになっています。
ストレスチェックの集団分析(部署ごとのストレスチェック結果の分析)の活用は、職場の環境改善に活用することができます。
まずは、各部署の所属長が集団分析結果から、課題や強みを把握して、実現可能な対策を検討します。
集団分析の結果は、悪い点にばかり目が向きがちですが、よい点にも目を向けて、低ストレス職場での取り組みなどを他部門で共有して、会社全体の活性化に活用します。

会社にはメンタルヘルスに対する安全配慮義務があり、ストレスチェックだけでなく、さまざまなメンタルヘルス対策に積極的に対応していくことが求められています。
この安全配慮義務違反であり労働契約法の違反であると認定されれば、社員からメンタルヘルス不調において損害賠償責任を追及されるリスクがあります。

 

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
導入や運用の相談は、ぜひお気軽にお問合せください。


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    まとめ

    労働相談の問題解決は、知識やデータなどが求められたり、相談を受ける側に判断が求められたりすることもありますが、メンタルヘルス不調に関する労働問題については、専門家との連携が重要なポイントとなることがあります。
    また、ストレスチェックを活用した職場環境の以前も求められます。
    これまで、メンタルヘルスへの企業のリスクマネジメント対応といえば、事象が生じた結果つまり労災認定や安全配慮義務との関連で扱われるケースがほとんどでしたが、今後は、事象が生じる前の取り組み、予防するための取り組みが、企業のリスクマネジメントの対応として求められています。

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