メンタルタフネスとは?高める方法は?

メンタルタフネスとは、困難や不運に直面してもネガティブな感情に過度に振り回されず、しなやかに立ち直り前に進むことができる精神的な強さを指します。単に強気な人ということではなく、状況を冷静に見極める判断力や、予期せぬ出来事に直面しても慌てず対応できる落ち着き、自分の感情をコントロールする力を備えています。
この記事では、メンタルタフネスが高い人の特徴やメンタルを強くする方法についてご紹介します。

監修医師:細江 隼
日本医師会認定産業医
医学博士(東京大学大学院)
総合内科専門医
糖尿病専門医、指導医
健康経営アドバイザー
株式会社中央総合産業医事務所 代表取締役

メンタルタフネスとは何か

メンタルタフネスとは、困難な状況や強いプレッシャーに直面したときでも感情に振り回されず、冷静に状況を判断しながら課題解決に向けて行動できる力を指します。メンタルタフネスは生まれつきの性格だけで決まるものではなく、日々の考え方や行動の習慣によって高めていくことができます
たとえば、仕事で大きなミスをしてしまった場合でも、落ち込んで終わるのではなく「なぜ起きたのか」「次にどう改善するか」を考え、具体的な行動に移すことができます。

レジリエンスとの違い

メンタルタフネスは、困難な状況の最中でも適応的に行動し続ける力を指します。強いプレッシャーやストレスがかかる場面でも落ち着いて状況を判断し、ポジティブな思考を保ちながら行動を選択できる状態です。たとえば大きな仕事の責任を任されたときでも、過度に不安になるのではなく「どう進めるか」を冷静に考えられる人です。
一方で、レジリエンスは「困難からの回復力」を意味します。失敗やトラブルなどでダメージを受けたあと、元の状態に戻ることができ経験を通じて成長することができる力です。
つまり、メンタルタフネスは「困難の最中でも行動を維持する力」、レジリエンスは「困難から立ち直る力」と整理できます。
どちらも安定したパフォーマンスを保つうえで重要な要素です。

メンタルタフネスが高い人の特徴7選

メンタルタフネスが高い人は、逆境を成長の機会と捉え、プレッシャーのかかる場面でも安定したパフォーマンスを発揮できます。たとえばトラブルや予期せぬ出来事が起きても感情に振り回されず、冷静に状況を整理し「今やるべきこと」に集中します。また、運や環境のせいにするのではなく、自分の行動によって状況を変えられると考える主体性もあります。

確固たる「自分軸」がある

メンタルタフネスが高い人は、確固たる「自分軸」を持っています。ここでいう自分軸とは、周囲の評価や意見にまったく耳を貸さないという意味ではなく、さまざまな意見を参考にしながらも、自分の価値観や判断基準を明確に持ちそれに基づいて行動できる状態を指します。
ビジネスの現場では、上司や同僚、取引先など多くの人の意見が交錯します。そのたびに他人の評価を気にして判断が揺れてしまうと、行動のスピードが落ちたり、自信を失ったりすることがあります。
しかしメンタルタフネスが高い人は、「自分は何を大切にしているのか」「今回の判断は目的に合っているのか」といった基準を持っているため、周囲の声に過度に振り回されることがありません。

自己肯定感が高い

自己肯定感とは、自分の強みや弱みを理解したうえで、ありのままの自分を受け入れる力のことです。
メンタルタフネスが高い人はこの自己肯定感が高い傾向があり、他人と自分を過度に比較するのではなく、むしろ過去の自分と比較し、「昨日より少し成長できた」「以前より経験が増えた」といった視点で自分を評価する傾向があります。そのため、周囲の成果や評価に必要以上に振り回されることがなく、安定した自己肯定感を保つことができます。
また、メンタルタフネスが高い人は、いわゆる「鈍感力」も備えています。周囲の批判や噂、SNSで見かける華やかな情報をそのまま受け止めてしまうと、必要以上に不安や焦りを感じてしまうことがあります。メンタルタフネスが高い人は、そうした情報に過度に振り回されることなく、自分にとって必要な情報だけを選び取りながら冷静に行動できます。

困難を「成長のチャンス」と捉える

メンタルタフネスが高い人は、困難な状況を「成長のチャンス」と捉える思考があります。
困難な状況を「どうすれば解決できるか」「この経験から何を学べるか」と考え、困難を学習や成長の機会として受け止めます。つまり、問題そのものよりも、その先にある可能性に意識を向ける思考を持っているのです。
ビジネスの現場では、予期せぬトラブルやプレッシャーのかかる場面に直面することは珍しくありません。そのようなときに困難を脅威として避けるのではなく、成長のきっかけとして前向きに向き合います。

失敗を人格と結びつけない

メンタルタフネスが高い人は、失敗を自分の人格と結びつけません。
「私は失敗した」という行動の結果と、「私はダメな人間だ」という人格の評価を明確に切り分けて考えます。
たとえば、営業のプレゼンで契約が取れなかった場合でも、「自分には営業の才能がない」と結論づけるのではなく、「提案内容が相手のニーズに合っていなかった」「説明の順序を改善すれば良かったかもしれない」といったように、行動や方法の問題として振り返ります。
このように失敗を「修正可能な行動の問題」として捉えることで、自分自身への信頼感を失わずにすみます。たとえ結果が思い通りでなかったとしても、「次はうまくできる」「この経験を活かせる」という前向きな姿勢を維持できるため、結果として成長のスピードも高まります。

気持ちの切り替えが早い

メンタルタフネスが高い人は気持ちの切り替えが早く、仕事では思い通りにいかない場面やミスが起きても長く引きずられず、次の行動へと意識を向けることができます。
たとえば会議で自分の提案が採用されなかった場合でも、その場で落ち込み続けるのではなく、一度席を立って深呼吸をしたり少し歩いたりすることで気分をリセットします。
また、意識的に表情を整えるという方法を取り入れている人もいます。意識的に笑顔や口角を上げる「作り笑い」でも口角を上げる表情筋の動きが脳を刺激し、気分が前向きになるとする説(表情フィードバック仮説)があるためです。気分転換のきっかけとして取り入れてみるのも一つの手です。

他責と自責のバランスがよい

メンタルタフネスが高い人には、問題が起きたときに「自責」と「他責」のバランスを冷静に保てます。何かうまくいかなかったとき、すべてを自分の責任として抱え込んでしまう人もいれば、逆に環境や他人のせいにしてしまう人もいます。しかしメンタルタフネスな人は、そのどちらにも偏らず、状況を客観的に整理しながら次の行動を考えます。
たとえば、担当しているプロジェクトの進行が予定より遅れてしまった場合、「自分のマネジメントがすべて悪かった」と過度に自分を責めるのではなく、「スケジュールの見積もりが甘かった」「関係部署との情報共有が足りなかった」といった改善できる点を振り返ります。一方で、急な仕様変更や取引先の事情など、自分ではコントロールできない外部要因もあることもしっかり理解しています。変えられない外部要因まで背負い込まないため、精神的な負担を必要以上に大きくすることもありません。

ストレス解消と休息が上手

メンタルタフネスが高い人は、ストレス解消や休息の取り方が上手で、休息を「パフォーマンスを維持するための重要な仕事の一部」と捉えています。疲れ切るまで無理をするのではなく、計画的に休憩や睡眠を取り入れ心身のコンディションを整えています。
たとえば忙しいプロジェクトを担当しているビジネスマンのなかに、あえて昼休みに10分ほど外を歩く時間をつくったり、仕事終わりに軽く運動をしたりすることで積極的に気分をリフレッシュすることを取り入れている人があります。こうした軽い運動や散歩は「アクティブレスト(積極的休養)」と呼ばれ、体を動かすことで疲労を回復しやすくする方法として知られています。
また、意識的にスマートフォンやSNSから離れる「デジタルデトックス」を取り入れている人もいます。常に情報に触れ続けていると脳が休まらず、知らないうちにストレスが蓄積してしまうためです。

メンタルタフネスを高める方法

メンタルタフネスを高めるためには、日々の習慣や思考を少しずつ整えていくことが重要です。まず、自分の考え方の癖を見直し、物事を極端にネガティブに捉えてしまう認知の歪みを修正します。また、十分な睡眠や運動、筋トレなどで体調を整えることも非常に有効です。さらに、仕事や日常生活の中で小さな成功体験を積み重ねることで自己効力感が高まり、自信を持って行動できるようになります。

感情を客観視する

怒りや不安、焦りといった感情に飲み込まれてしまうと、冷静な判断ができなくなり、仕事のパフォーマンスに影響が出てしまうことがあります。
そこで有効なのが、ジャーナリング(書き出し習慣)を日々のトレーニングとして取り入れることです。仕事で感じたストレスやモヤモヤを紙に書き出すことで、頭の中の感情が整理されます。書くことで感情が客観的な情報として整理され、「自分は完璧を求めすぎる傾向がある」「些細なことを気にしやすい」といった思考の癖にも気づきやすくなります。こうした習慣を続けることで、感情に振り回されにくいメンタルタフネスを育てることができます。

十分な睡眠をとる

メンタルタフネスを高めるうえで、最も基礎的で効果的な方法の一つが十分な睡眠をとることです。睡眠不足の状態が続くと、感情をコントロールする脳の働きが低下し、イライラや不安を感じやすくなります。一方で、しっかりと眠ることで心身の疲労が回復し、ストレスへの耐性も高まりやすくなります。
一般的には、1日7~8時間程度の睡眠を確保することが望ましいとされていて、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるなど、規則正しい生活リズムを保つことも重要です。
加えて、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控えることも大切です。ブルーライトは睡眠ホルモンの分泌を妨げるため、寝る30分から1時間前はデジタル機器から離れることが望ましいとされています。さらに、朝に太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜の睡眠の質を高める効果も期待できます。

適度な運動を行う

メンタルタフネスを高める方法として、適度な運動を習慣にすることは非常に効果的です。運動にはストレスを和らげる働きがあり、脳を活性化させるとともに、前向きな感情を生み出しやすくする効果があるとされています。
たとえば、通勤時に一駅分歩いたり、昼休みに軽くウォーキングをしたりするだけでも、気分転換やストレス解消につながります。
ジョギングやランニング、サイクリングや水泳なども体への負担が比較的少なく、習慣化しやすい運動なのでおすすめです。
さらに、ヨガやピラティスのようなマインドフルネス要素を含む運動もおすすめです。呼吸や体の動きに意識を向けることで、心身をリラックスさせる効果が期待できます。

小さな成功体験を積む

メンタルタフネスは、日々の生活の中で小さな成功体験を積み重ねることで高めることができます。小さな成功を経験すると「自分ならできる」という自己効力感や自己肯定感が高まり、困難に直面したときにも前向きに行動しやすくなります。
たとえば、苦手なことでも「まずは5分だけやる」と決めて取り組めば、心理的なハードルが下がり、自然と行動につながります。また、1日の終わりに「今日は資料整理ができた」「朝の挨拶をきちんとできた」など、自分ができたことを一つ書き出す習慣も効果的です。
さらに、生活習慣を少し変えることも小さな成功体験になります。
いつもより10分早く起きる、スマートフォンを見る時間を減らすなど、無理のない範囲で自己管理を続けることで達成感を得やすくなります。
こうした成功体験を積み重ねると、脳内でドーパミンが分泌され、次の行動への意欲が高まるという好循環が生まれます。

食生活を改善する

私たちの感情やストレス耐性は脳の働きと密接に関係しており、その脳の機能は日々の食事から大きく影響を受けています。
特に意識したいのがタンパク質の摂取です。睡眠リズムを整えるメラトニンや、精神を安定させるセロトニンなどの神経伝達物質は、タンパク質を材料として体内で作られます。さらにセロトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンを材料として脳内で合成されます。トリプトファンを含む大豆製品や乳製品などを、米などの炭水化物(穀物類)と一緒に摂ることで、脳に取り込まれやすくなる可能性があるとされています。そのため、これらを組み合わせたバランスの良い食事を意識して取り入れることが大切です。

また、神経伝達物質の生成にはビタミンB群の働きも欠かせません。ビタミンB群は酵素の働きを助け、脳内で神経伝達物質がスムーズに作られるようサポートします。特にビタミンB6はトリプトファンからセロトニンを作る際に必要な栄養素で、赤身の魚やバナナ、パプリカなどに多く含まれています。ビタミンB群が不足すると脳のエネルギー代謝が低下し、気分の落ち込みにつながる可能性もあるといわれています。

さらに近年は、腸内環境とメンタルの関係も注目されています。腸と脳は自律神経などを介して密接に関係しており(脳腸相関)、腸内環境が整うことでメンタル面にも良い影響が期待できます。腸内環境を整えるには、ひじきやわかめなどの海藻類、大根やごぼうなどの野菜に多く含まれる食物繊維を積極的に摂ることが有効です。

ストレス状態を早期に把握する

メンタルタフネスを高めるためには、ストレスを完全になくそうとするのではなく、自分のストレス状態を早い段階で把握し、適切に対処することが重要です。
ストレスは突然大きく現れるものではなく、日常の中で「体」「心」「行動」にさまざまなサインとして現れます。
体のサインとしては、頭痛や肩こり、胃の不調、慢性的な疲労、不眠などがあります。心の面では、イライラしやすくなる、気分が落ち込む、不安感が強くなる、集中力が続かないといった変化が見られることがあります。さらに行動面では、飲酒量が増える、人と会うのが面倒になる、仕事のミスが増えるなどの変化として表れることもあります。
また、自分のストレスの傾向や原因を客観的に把握することも有効です。仕事の負担が大きいのか、裁量が少ないことにストレスを感じているのか、あるいは周囲のサポート不足なのかなど、ストレスの原因を整理することで具体的な対策が見えてきます。自分がどのような場面で疲れやすいのか、どんな環境だと力を発揮しやすいのかを理解することは、セルフケアにもつながります。日頃から心身の状態を観察し、小さなサインを見逃さないことが、安定したパフォーマンスを保つメンタルタフネスの土台になります。

 

ストレスチェッカーとは

「ストレスチェッカー」は、官公庁・上場企業・大学・医療機関などで利用されている国内最大級のストレスチェックツールです。
未受検者への自動リマインドや進捗確認、医師面接希望者の管理など、現場で必要な機能を標準搭載しているのはもちろん、2025年5月からは無料プランやWEB代行プランでも、体調不良や心理的負担による生産性低下「プレゼンティーイズム」の測定が可能です。
ストレスチェックは、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されることとなりました。
ストレスチェックを活用すれば、心身の変化やストレス要因を早期に把握し、メンタルタフネスを高めるために適切なセルフケアを行うことができます。また、集団分析を通じて職場改善につなげることも可能です。
導入方法など、お気軽にご相談ください。


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監修:医学博士・日本医師会認定産業医/細江 隼

医学博士・日本医師会認定産業医/細江 隼氏

【監修医師】細江 隼
日本医師会認定産業医
医学博士(東京大学大学院)
総合内科専門医
糖尿病専門医、指導医
健康経営アドバイザー
株式会社中央総合産業医事務所 代表取締役

都内の基幹病院・大学病院内科で専門医・指導医として診療に従事してきた経験から予防医学の重要性を実感し、現在は多様な業種の企業で産業医として活動。衛生委員会参加や職場巡視、健診の事後措置、長時間労働面談、ストレスチェック、休職・復職面談など幅広い産業保健業務を担当しています。メンタルヘルス対策やフィジカル面の健康管理、健康経営の推進を通じ、働く人と組織双方の支援を行っています。


> 細江 隼 | 株式会社中央総合産業医事務所

 

    まとめ

    ストレスチェックは、従業員のストレス状態を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした制度です。現在は従業員50人以上の事業場で義務化されていますが、今後は50人未満の企業にも対象が拡大される予定です。
    メンタルタフネスを高めるためには、十分な睡眠や適度な運動、食生活の改善、小さな成功体験を積み重ねることなど、日常の習慣を整えることが大切です。
    また、ストレスチェックを活用して心身の変化やストレス要因を早期に把握しセルフケアや働き方の見直しを続けることで、困難に強いメンタルを育てることが期待できます。

    ストレスチェッカーは、官公庁・上場企業・医療機関などで採用されている国内最大級のストレスチェックツールです。自動リマインド、面接指導者管理、進捗確認機能を標準搭載し、2025年5月からは無料プランでも「プレゼンティーイズム(生産性低下)」の測定に対応しております。
    導入方法や実施方法など、お気軽にお問合せください。

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