女性は「仕事の質」や「家族・友人のサポート不足」で男性よりもストレスを抱える
日本最大級のストレスチェック会社、株式会社HRデータラボ(本社:東京都新宿区、代表取締役:三宅朝広)は、健康経営に資することを目的とし、ストレスの実態に関する調査結果を発表します。本調査は、自社サービス「ストレスチェッカー」で2019年に受検した全国30,118人分のデータをもとに分析したものとなります。
<分析結果のポイント>
- ストレスによる総合健康リスクが高い業種をランキング化すると、1位=運輸業、2位=製造業、3位=医療・福祉となった(図表1)。いずれも全国標準の100を超える水準となっている。
1位の運輸業については、Eコマース市場の拡大による宅配便取扱数の増加や人手不足を背景に、1人当たりの業務量が非常に多くなっていると考えられる。また、それにより上司や同僚とのコミュニケーションが不足し、支援が得られにくくなっている可能性がある。
図表1
- ストレスの原因をみると、女性は「仕事の質※」や「家族や友人からのサポート不足」で男性よりも大きなストレスを抱えている(いずれも女性の方が、0.4ポイント分ストレスが高い。図表2)。
「仕事の量」と「仕事の質」について、男女ともに管理職の方が非管理職よりもストレスを感じている(図表3)。ただし、特に女性の管理職は「仕事の質」において大きなストレスを抱えており、男性の管理職と比べて0.6ポイント、女性の非管理職と比べて0.4ポイント分ストレスが高い。女性活躍のためには、仕事の内容や進め方について、企業側のケアが必要と考えられる。
※「仕事の質」に関する具体的な設問は「かなり注意を集中する必要がある」「高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ」「勤務中はいつも仕事のことを考えていなければならない」。
図表2
図表3
「健康リスク」(表の左3項目の「仕事の量・コントロール」「上司・同僚の支援」「総合健康リスク」)の数値は、厚生労働省の推奨に基づく「全国標準集団の平均を100とした偏差値」である。これら3項目では、男性と女性で異なる計算式が採られており、単純に男女比較できないことに留意。 また、19項目(表の「仕事上でのストレスの原因」「ストレスによる心身の反応」「その他ストレスの原因」)は、厚生労働省が定めた計算式により1~5の間の数値となる。これら19項目は男性も女性も同じ計算式であり、男女比較が可能。 |
- 非正社員の方が正社員よりもストレスを抱えている。特に非正社員は「職場の支援リスク」(上司・同僚の支援の不足)が高い。
図表4
■ 女性のストレス対策に関して
女性は男性に比べて「仕事の質」でよりストレスを抱えている(0.4ポイント分ストレスが高い)。管理職にかぎって男女を比較すると、その傾向はさらに顕著になっている(0.6ポイント分ストレスが高い)。女性のストレスを軽減するためには、完璧主義的な思考を変えるなどの本人の意識付けや、経験者からのアドバイスが得られる機会を設ける、徐々に経験を積む機会を与えるなどの企業側の配慮などが有効だろう。
また、女性は男性に比べて「家族や友人からのサポート不足」でよりストレスを抱えている(0.4ポイント分ストレスが高い)。女性活躍のためには、法律や制度の整備だけではなく、女性だけに子育てや家庭を任せないなど、周囲の理解や支援といった意識面の改善が求められる。
以上、コメントは調査担当・兵藤郷(HRデータラボ チーフアナリスト) リクルートワークス研究所や三菱UFJリサーチ&コンサルティング等を経て現職。人事・キャリア・雇用に関する調査・分析やコンサルティングに取り組む。 |
プライベートでの支援不足は、企業が踏み込みにくい問題であるが、企業としては、カウンセラーによる相談窓口の設置、男性パートナーとともに仕事やプライベートの在り方を考える研修、家族による女性社員の職場見学を行うなど、女性社員に限らずに周囲の意識面の改善を図る機会を提供することが考えられる。
- 株式会社HRデータラボについて <https://hrdatalab.com/>
HRデータラボは、ストレスチェックサービスである「ストレスチェッカー」(2019年5月時点で全国1,800社に導入)を提供するなど、AIとビッグデータを活用した働き方改革を支援する事業を展開しています。事業者のストレスチェック実施を支援することで、働く人の健康と企業の生産性向上を支えることを目指しています。
※企業・受検者のデータは、個社・個人が特定されない範囲で使用できるように各企業様にご契約時にご同意いただいています。弊社ではデータを集計・分析するに当たり、個社・個人が特定できないように取り扱っています。
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