お知らせ

ストレスチェックで想定される課題は?(1)~人事担当者の役割~

ストレスチェックの導入によって、職場では多くの課題が挙がっています。東京経営者協会が2015年9月に実施した「ストレスチェック制度に関するアンケート」によると、ストレスチェック制度実施の課題として「産業医・外部機関との連携」と「実施体制」を半数以上が挙げています。 ストレスチェックにおける多くの工程を全て自社で実施できるという企業は、産業医をはじめとする産業保健スタッフが充実した一部の企業に限られます。ほとんどの企業は、何かしら外部機関の資源を活用せざるを得ない状況です。特に、50人以上の小規模・中規模企業においては産業医が常勤でないことも多く、今回のストレスチェックの義務化で産業医との連携を初めて経験する企業も少なくないと思います。 産業医・外部機関とうまく連携してストレスチェックを実施するために、ストレスチェックの担当者は、まずそれぞれの役割を明確にすることから始めましょう。産業医に依頼すること、外部機関に依頼すること、担当者自身が実施することの交通整理を行い、実施体制全体を俯瞰しながら実施準備を行うことが大切です。 精神保健福祉士北川佳寿美

コーチングとカウンセリング

ストレス解消法には、「食べる」「お酒を飲む」「寝る」「音楽を聴く」「運動する」など様々あると思います。発散方法は個人によりますから、何が一番いいということではないですが、「会話する」ことでストレスが軽減される方は比較的多いのではないかと思います。もちろん友人や家族に話を聞いてもらって楽になることもあると思いますが、少し専門性の高い「コーチ」や「カウンセラー」と面談することで、気持ちが軽くなるということもあります。 さて、よく聞く「コーチング」「カウンセリング」という言葉ですが、どう違うのでしょうか? どちらも「信頼関係構築力」「傾聴力」「質問力」といったコミュニケーションスキルを使いながら、「支援していく」ということは同じです。  ただし、コーチングでコーチが大事にしなくてはいけないことは、「クライアント(=来談者、相談者)」に「考えてもらうこと」です。目標達成したいテーマに対し、クライアント自身で考え、答えを見つけ出し、気づきが得られるように、コーチは最適な質問を考え、投げかけます。 一方、カウンセリングでカウンセラーが大事にするのは、クライアントに「話してもらうこと」です。心の中に抱えている問題や悩みを言葉にできるよう傾聴し、頭の中や気持ちが整理できるように導いていくのです。  コーチングは、目標や目的(こうなりたい、こうありたい、こう変わりたい)を明確にもち、それを達成したいと強く願う人にしか機能しませんし、どちらかといえば心が元気でポジティブな時でないと逆にストレスになってしまう可能性すらありますので、気を付けたいところです。 キャリアアドバイザー小田切郁子

キャリアカウンセリングと復職支援

メンタルヘルス不調で休職した社員が職場に復帰する…。なかなかうまく復帰に至らず、半数前後の休職者が、復帰を試みるものの退職に至る、というデータもあるほど、各社各個人が手探りの分野かと思います。時間的・仕事内容的に段階を経て徐々に元に戻すかたちで復帰させるなど、復帰プロセスの内容を検討する企業は多いと思いますが、復帰前や復帰後しばらく、キャリアカウンセリングを実施していく、というのも大変有効な方法と考えられます。  休職中や復帰予定の社員は、「上司や同僚など職場に迷惑をかけたから歓迎されないだろう 「メンタル不調が再発しないだろうか」という漠然とした不安に加えて、「メンタルで休職すると、『使えない』『重要な仕事は任せられない』と思われ、会社のお荷物になっていくのではないか」「昇進昇格の道も絶たれ、今後社内で居場所がなくなるのではないか」「元のパフォーマンスに戻れるだろうか」といった、復帰後のキャリア形成に対する不安も多く抱えている方が多いです。  ですので、まずはキャリア形成に対する不安を少しでも軽減させてあげれば、それが自信や安心につながり、ひいては漠然と抱えていた不安も少しずつ解消されていくと考えられます。 キャリアカウンセリングと聞くと、職歴や経歴についての相談と思われるかもしれませんが、それだけではありません。3年後、5年後に、自分はどうありたいか。その自分のありたい姿に到達するために、今何をすればいいか。生きていくためには切り離せない「働く」という視点を軸に「生き方」も含めて、自分で考えて自分で管理実践していく、そのお手伝いをするのがキャリアカウンセリングです。 メンタル不調で休職してしまうと、自分のキャリアをどう形成していけばよいか、わからなくなってしまう人が多いのだと思います。ですので、これから会社のなかでどうしたらいいか、もっと言うと会社を出ることも含め、自分にとっての「働く価値観」を整理し、明確にするお手伝いをしてあげることが不安を取り除くひとつの有効なきっかけとなると考えられるのです。 キャリアアドバイザー小田切郁子

キャリアコンサルティングの必要性

メンタルヘルスの問題が、生産性の低下や事故、採用費用や休職者にかかる費用等人事的なコストとなって、企業のパフォーマンスにじわじわと影響を与えてくることは大きな課題です。さらに今後は、雇用形態の変化や個人の価値観の多様化、育児や介護などの家庭的事情を抱える人の増加等、個別の事情の対応を間違えると、メンタルヘルス不調に発展してしまうリスクのある要素が増えてきます。 そこで、これらの対応策の一端を担うのではと、昨今注目されてきているのが、キャリアコンサルティングです。キャリアコンサルティングは個人のキャリア形成の相談に乗るのみではなく、個人のキャリアにフォーカスしながらも、メンタル面のフォロー、モチベーション向上、会社制度や人事面への改善提案、目標管理のサポート、経営方針へのコミットメントを促す等の役割を担うことも期待されて実施される傾向が強まってきていると言えます。 中小企業の場合は、社内の人間にキャリアコンサルティングを学ばせたり、専任での採用をすることは難しいケースが多いため、外部の専門家をうまく活用して仕組みを整えていくことが有効であると考えられます。 キャリアアドバイザー小田切郁子

メンタルヘルス不調者を見つけるため? ~ ストレスチェック制度の目的 ~

労働安全衛生法改正に伴うストレスチェックの目的は、メンタルヘルス不調者を見つけるためのものではありません。労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないよう対処するセルフケアの一環であり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置をしてもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。 ストレスチェック制度を実施する際、この目的が明確になっていないと、労働者は「情報が漏れるのではないか」「結果が悪かったときはひどい処遇を受けるのではないか」と不安になり、ストレスチェックを実施しない労働者が出てしまうという結果になります。 実施前には、まず、会社として「メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)のためにストレスチェック制度を実施する」という方針を明確に示しておきましょう。また、各事業所の衛生委員会などの場で、ストレスチェックを誰に対して実施するのか、実施後どんな方法でストレスの高い人を選ぶのか、ストレスチェックの結果をどのように保存しておくのかなど、実施方法やデータの活用方法などを話し合っておくことが重要です。 精神保健福祉士北川佳寿美

ストレスチェックは何をすればいいの? ~ ストレスチェックの概要とポイント ~

これまで職場のメンタルヘルスに関する国の指針や支援体制などの整備が進んできましたが、今年(平成27年)はいよいよストレスチェックが義務化されます。今回施行される改正労働安全衛生法のストレスチェック制度はどういった経緯で施行されるのでしょうか。 平成22年4月、当時の長妻昭厚生労働大臣が、企業が行う健康診断で精神疾患に関する検査を義務づける方針を示し、労働安全衛生法改正の検討が始まりました。厚生労働省の検討会では、ストレスチェックを「労働者のストレスへの気づきを促すとともに、職場環境の改善につなげる」枠組みと整理し、対策の方向性を検討してきました。そして、昨年(平成26年)6月、改正労働安全衛生法が公布され、ストレスチェックの実施が義務づけられたのです。平成27年12月1日に施行される改正労働安全衛生法のストレスチェック制度について、概要とポイントをまとめてみましょう。 (1) 労働者が50人以上いる事業所では、全ての労働者※1 に対して毎年1回ストレスチェックを実施することが事業者に義務づけられています ※1 契約期間が1年未満の労働者や労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です (2) ストレスチェックは医師・保健師等が実施します (3) ストレスチェックの結果は、従業員の同意がなければ事業者に提供することができません (4) ストレスの高い従業員から申し出があった場合、医師による面接指導が必要です (5) 面接指導の結果、医師の意見を聞き、必要に応じた働き方への配慮が必要です (6) 事業者は、ストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署に報告する必要があります 実施の詳細は「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」が公開されています。また、実施マニュアルだけでなく、社内広報用のツールも多く開発されて公開されていますので、是非活用していきましょう。 http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html#head-3 精神保健福祉士北川佳寿美

働く人のメンタルヘルス対策は国の重要施策! ~ 企業の取り組みの現状 ~

国は「第12次労働災害防止計画」(平成25年度~29年度)で労働者の「メンタルヘルス対策(メンタルヘルスケア) を重点施策対策の一つに位置づけており、平成30年3月末までに対策に取組む事業所の割合を80%以上にすることを目標にしています。では、企業の取り組みの現状はどうなっているのでしょうか? 平成23年度に(独)労働政策研究・研修機構が行った「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査 では、メンタルヘルス対策に取り組んでいると回答している企業は、企業規模1,000人以上では7割を超えているのに対し、100~299人規模では5割を切っています。100人未満の会社になると3割程度しか取り組んでいないのが現状です。中小規模の事業所を中心に、まだまだ取り組みが遅れていることが分かります。 しかし、現在対策に取り組んでいない事業所でも、過半数が取り組みを強化したいと回答しています。つまり、施策の打ち方次第で、企業におけるメンタルヘルス対策の取り組みが飛躍的に促進される可能性があるとも言えます。 2015年12月に施行される改正労働衛生法によって、ストレスチェック制度が義務化されます。これまで取り組むことが難しかった中小規模の事業所こそ、これを機会にメンタルヘルス対策に取り組んでほしいと思います。 精神保健福祉士北川佳寿美